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ネズミの話⑧

 起きた。起き上がる。


 ああ、そうか。自由だ。拘束が解かれている。私は伸びをした。

「んんん~~~~!」

 バキバキバキと骨のきしむ音がする。随分とベッドに磔にされていたのだから当然だ。


 ベッドから降り立って、

「いでッ」

 転んだ。私の足は、全体重を支えるのにまだ慣れていないらしい。


 痛みが治まったらゆっくりと、ベッドのへりにつかまって立ち上がる。立てた。ゆっくりと、手を放して、1歩、2歩、歩く。大丈夫そうだ。


 ここで、ものすごくおなかが空いているに気づく。そうだ。病室の外に出よう。暇だし空腹を満たすものがあるかもしれないから。


 取っ手をつかみ、ドアをスライドさせて開ける。昨日まで見つめることしかできなかったドアは、いとも簡単に開いた。

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