阿久津は、小太りで小心者の男子生徒だ。いつも窓辺の席に座って、一人小説を読んでいる。
「あの……僕が今から話すお話は、僕が作った怪談なんだけど」
へぇ。そういえば、彼は文学部だったな。と思いだした。
「これは、囚われた男と、女の悲劇」