廃墟になった旧校舎は、しんと静まり返っていてまるで異世界の建物のようだった。
「うわぁ……きったなぁ」
「靴、そのままでいいよね」
「いいんじゃない。だって秋になったら取り壊されるんでしょ」
わいわい言いながら、私たちは埃まみれの旧校舎に足を踏み入れた。
「この教室、一番きれいだよ」
「じゃあ、そこでやろうよ。百物語」
「うん」
「おっけー」
「さんせーい」
こうして私たち二年三組のクラスメイト達は、百物語をはじめたのだった。
このあと、惨劇に巻き込まれるとも知らずに――。