プロトタイプ錬金釜(カクヨムで5話まで投稿した後削除。本編6話から10話に当たる部分)はテオが主役でした。錬金無双する話の予定だったんですが……。
作者に錬金術の素質がない!!!!!!
マリーのアトリエでPS買った人間ですわ!(リアルタイム) 気を抜くと錬金術があっち方面になってしまう!
あまりぶっ飛んだ錬金術は(私には)できない!
ということで、一旦書くことを中断し、その間に構想したけど1話しか書いてない「異世界で魔物動物園の飼育員になりました」という小説の設定から、「魔法が消えゆく世界」をもってきて。この国の話は、本編にグリーンドラゴンの鱗の供給元としても出てきます。
無尽蔵に魔法で何でもできてしまうのではなくて、もう世界が魔法から科学へと脱却する時代。科学によって魔法が追いやられ、世界の闇が消えていき、それが科学を進歩させて更に魔法が消えてゆく時代。
錬金術が実際に機能したせいで、地球とは少し歴史の流れが違うけど、魔法が消えゆく中で産業革命の流れに飲み込まれる寸前の、中世終わりの時代。
魔法を持たないけどアグレッシブな女の子の主人公と、魔法を持ってしまったために流されてる男の子と、魔法的な存在のために超越して非常識な精霊。
本編はそんな構図で書き直しました。カモミールがやってるのが化粧品というところは同じですが、まだプロトタイプの時点ではヴァージルの詳しい設定はできてなかった気がします。同じファイルに上書きしてったから、どこまでが最初にあった話で、どこからが後から付け足した部分なのかがいまいちわからん。
テオのキャラ付けは最初から最後まで一貫してたけど、ヴァージルには途中でモデルが増えました。……あれ? でも最初から「ふわふわ」って書いてあったので、最初はビジュアルイメージだったのかな? アンミナのヴァージルは名前が一緒なだけで、モデルではないかなあ。
一方、カモミールは主人公なので、これといったモデルは存在しません。
過去作も主人公に関しては、モデルがいないことが多いです。
錬金釜で言うとモデルが存在する(途中から「この人あの人だ……」と思ってモデルと認識したのも含め)のはテオ・ヴァージル・キャリーの3人です。意外に少ない。
このうち、3次元に存在するのはキャリーさんのモデルです。お仕事がバリバリできて、クールで、ちょっと冷笑したりする癖がある(本人はそう思ってないかもしれないけど)。
後から気づきましたが、なんか私の中には「事務方有能キャラ」というくくりがあるらしく、「いただきます」の高見沢とキャリーさんはこの同じくくりのキャラでした。パワフルで理知的で口が悪い。
○化粧品&石けんについて
とにかく「自分が知ってることで書こう」と。
手作り石けんとアロマテラピーは、一応私の専門分野です。アロマテラピーはプロ資格を取ったし、石けんは20年以上作ってるし、ネットショップもやってたし。
今は流行ってませんが、20年くらい前に手作り石けんブームがあったんです。そこから香り付けに使いたいからアロマテラピーを勉強し、手作り化粧品もやりました。敏感肌で、当時はまだ「市販の化粧水が沁みて痛い」とかがあったので。数年前までは化粧水も自作したものを使ってました。最近は面倒なので買ってる……。
ハンガリアンウォーターなんかは、きっとこの世界では違う名前で出回ってるだろうなあとか思いながら書きました。
白粉には作中タルクなどの粘土クレイを使ってますが、この一時代前だと有名なのは鉛と水銀! これは最初に知ったのは「JIN ー仁ー」でしたが、「薬屋のひとりごと」にも出てきましたし、割と知らない人がいない話になってきました。
現代だと、ファンデーションを手作りしたいとなると、クレイで着色するキットが一般的に売ってます。私も使ったことあるけど、アメリカの製品だったので日本人の肌色に合わず残念。
でもカモミールたちはナーロッパですし、外見的に白人の特徴なのでそれが使えました。
ちょうど終盤を書いているときに「北政所様の御化粧係~戦国の世だって美容オタクは趣味に生きたいのです~」を読んで、凄っ!! となったんですが、こちらではタチウオの鱗などがアイシャドウの材料として使われてましたね。
雲母を材料とした「輝く粉」を考えてたとき、材料に関しては調べたんですが、「タチウオは……この世界観ではないかなあ」と使えなかった奴です。日本ならでは!
○世界観について
作中の年代が「産業革命一歩手前」なので、発電機などがありました。でもこれはエネルギーとして発電をして何かに使うのではなくて、電気分解に使ったりの程度でした。大規模な発電が、この時代ではまだできていないのです。
夜にも煌々と灯りが付いてる時代になると、もう魔法は完全に過去の物になりますね。ガス灯の普及までもうちょっとかな。
○地理について
とても大雑把に、大陸マップを頭に描いてました。
地球に当てはめると、大体フランス中部から北部辺りが舞台です。王都は完全に北部、カールセンはギリ中部くらい。書いててちょくちょく湿度のことを気にしちゃいましたが、日本と違うので夏の湿度はあまりない!
作中の時期はだいたい4月から10月くらいまででした。夏でも夜は涼しいという気候だけど、「今がおかしいんであって、私がこどもの頃は夏でも30度超える日は数えるくらいだったよな-」と懐かしく思います。(神奈川での話)
ロフ川が昔の国境であり、300年前の侵略戦争に負けた結果、ゼルストラはフォールズ辺境伯領にあたる地域を割譲。現在はここが国境です。
○お茶について
作中紅茶がちょくちょく出てきますが、チャノキは実はもう少し南がメインの産地で、「クイーン・アナスタシア」は産地がインドの辺り。これはアールグレイですね。
中世あるあるですが、生水を飲むことで疫病が流行したせいで、沸かしたお湯でお茶を飲んだり、水代わりにワインを飲んだりします。(グリエルマ先生はお酒に弱いんですが、後から調べたら、ヨーロッパの白色人種の人のアセトアルデヒド脱水素酵素Ⅱ型の不活性率は0%だそうです! 酒を飲めない人がいない! 凄い! 日本人は40%くらいですね)
紅茶は輸入するしかないので基本高級品。庶民はハーブティーです。
余談ですが、主人公の名前がカモミールなのは、作中的には「カモミールは植物のお医者さんとして、農家で重宝される」というのが農家生まれの彼女にその名前が付いた理由です。あんまりメジャーな名前ではありません。
メタな話だと、私がUOでやってた錬金術師がchamomileだったからです!
カモミールは穏やかな作用のハーブティーとして有名で、赤ちゃんでも飲むことができます。夜泣きに効くと言われますね。うちの子は飲んでくれなかったけど。(水でも選ぶ面倒な赤子だった)
こんなところでしょうか。あとはエリカとジョナスをくっつけるかどうかは最後まで迷ってたとか、割とどうでもいい話です。