『横須賀基地』
『厚木基地』
『横田基地』
東京近郊、首都圏にある
3つの在日アメリカ軍基地をことごとく破壊したギャンダムは
悠々と陸上を歩行して姿を消した。
横田基地から北西方向、近隣の山頂にあるゴルフ場を踏み越えて
奥多摩方面の山中に消えたと言われているが、それすらハッキリしていない。
ギャンダムは全高20.8メートル
地上で起立していてこそ巨大な印象ではあるが
じつはF-15やF-22といったおなじみの戦闘機(全長19メートル)と大差無いのだ。
それら戦闘機が山中に墜落すると発見に時間を要するように
たかだか20メートルほどの、しかもギャンダムは人型。
隠伏を意識してしゃがみ込む姿勢を取られてしまっては完全に森林に埋没。
上空からの目視での発見は甚だしく困難となる。
米軍による執拗な捜索が続けられていたが
地上を移動する物体はレーダーで追うことも出来ず、わだちも残さず移動されては
まるで足取りの手がかりが掴めない。
おそらく衛星からの戦車一台でも発見できる高精度赤外線探知も行われたはずだが
翌日になっても発見できずにいた。
さらにこの段階で、ロボットの動力が熱核反応炉である可能性を重視、原子力規制庁へ要請してモニタリングステーションシステムを使った詳細な空間線量率からの割り出しも試みられたが結果は芳しくなかった。
日本の報道は先述のごとく
破壊された『原子力空母ロナルド・レーガン』の放射能漏洩疑惑関係一色である。
そもそもアメリカ軍による日頃からの横田進入管制区
通称『横田空域』と呼ばれる広大な空域の航空管制のせいで
この手の大規模ニュースに欠かせない『上空からの撮影』ってやつが出来ない。
全体像がわからない。
視聴者は何と言っても見た目なので、それが地上からの建物越しの火災の様子やら、遠くからの望遠で撮影した現場の様子やらでは、いまいちインパクトが薄い。
アメリカ軍も見られちゃまずい部分は目隠ししちゃってるし
当然テレビ局による撮影の為の飛行なんて絶対に許可しない。
そんなこんなで、映像が地味な上にワンパターンで詳細もわからずじゃ、
一般人に長時間興味を持続できるわけもなく、
日本人のアメリカ軍基地被害に対する関心はイマイチ盛り上がらないままの低空飛行を続けた。
日本の安全保障上、重大な局面を迎えている状況にあるなんて、ほとんどの日本人が考えもしなかった。
明日も明後日も平和な日常がやってくることを誰も疑っていない。
なにかあったら自衛隊だけでなくアメリカや国連(国連を『国際救助隊』っぽいなにかと本気で勘違いしている日本人は多い。大学教授でも勘違いしている困ったちゃんはかなりいる。※注)
がなんとかしてくれるだろうと都合よく勝手に思い込んでいる上に、つまりそれは誰かが血を流すということだとはリアルに認識していない。
平和ボケだと言うのは容易いが
まるで肉を食うのにいちいち屠殺をイメージしないのと同じように
きれいな上っ面の下の無責任で不感症。すさまじくあどけない残酷な認識であり。
日本人にはそんな赤の他人が血を流してでも守るべき価値がある(どこに!?)と
本気で信じており、とんでもなく自惚れており。
しかも、一切うぬぼれを自覚なしに過ごしているのだ。
少なくとも日本のメディアが醸し出している空気には
それら傲慢さを顧みる気配が微塵も感じられなかった。
だがそれと反比例するように。
在日アメリカ軍の殺気立つというかなんというか、そういう緊張感がすごくなってきた。
やたらめたらヘリコプターやC-130輸送機(御巣鷹山で日航機墜落事故を見つけたやつ)が低空を飛び回ってギャンダムを捜索している。広範囲にだ。
こんなとこまで? という所でもだ。
段々とおかしな雰囲気が日本の空を覆いはじめる。
そう、ギャンダムは潜伏しているのか、それともすでにどこかに移動しているのか
それすらアメリカ軍には掴めないでいた。
日本は、全国各地に130か所ものアメリカ軍基地がある。
そのうち自衛隊との共用ではなくアメリカ軍の専用基地なのは81か所。
その中での主なアメリカ軍基地は、本州で
『三沢空軍基地(青森県三沢市)』
『横田空軍基地(東京都福生市)』【壊滅状態】
『横須賀海軍基地(神奈川県横須賀市)』【壊滅状態】
『岩国海兵隊基地(山口県岩国市)』
の4箇所。
九州では、『佐世保海軍基地(長崎県佐世保市)』
の1箇所。
──あとは沖縄の米軍基地群。
今回、本州4箇所のうちの2つもの主要基地が一度に壊滅状態となった。
残るは
『三沢空軍基地(青森県三沢市)』
『岩国海兵隊基地(山口県岩国市)』
の2箇所。
ギャンダムの狙いは在日アメリカ軍の殲滅か!?
次、狙われる主要基地はどっちだ?
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※注
国連は救助隊どころか、未だ日本を「敵国」と記し、
安保理の許可なく軍事的制裁を課しても容認されるとした恐ろしい条項が存在する。
この『敵国条項』、現在は「死文化」しているとはいいながら、第二次大戦の戦勝国側であるロシアをはじめ、近年でも都合よくそれの適用を試みる国は少なからず存在し、また放置されている。
──このような機関をどこまで信用して大丈夫なのか…?。
……敗戦国は、何年経っても敗戦国。次の戦が起こるまで外様の立場は変わらない。
勝者は敗者におもねらないのだ。