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第29話 緊急発進にアドリブは無い

 戦闘攻撃機を呼び出すとかもね。


 基本ドキュメンタリーなどで度々見る機会のある、領空侵犯の緊急発進って、

 あれは完全に想定してあることだから数分の早業で発進! って出来るのであって。

 しかもあれ、侵犯される前、そろそろ来そう……の段階で発進準備を済ますからね。


 今回のギャンダムのような同盟国内で陸戦兵器相手に戦うというのはまったく別の話になる。


 まず、領空侵犯は文字通りお空が舞台となる、敵は絶対飛行機だから。

 対抗するコチラ側が用意するのは『対空ミサイル』。

(航空機という「空中」を高速移動する打たれ弱い非装甲目標をやっつけるのに適したミサイル)


 アニメみたいに、なんでもかんでもやっつけられる便利ミサイルなんて都合よく無いので、ちゃんと相手に合わせて。

 この場合は決め打ちで対空ミサイルを装備してある。


 ていうか『スクランブル(緊急発進)対応機』というのが予め用意してあって

 当然、『対空』戦闘装備がしてあって。

 それ以外の機体は武装どころか燃料も入ってなかったり、そんな感じだという話。


 なので急に対地攻撃装備で飛んでこいと言われても。

 想定していない状況で急に呼ばれてもね。


「であえ、であえーーーーーー!」

「曲者じゃ、斬ってしまえ~~~~!!」ってなノリで呼ばれてもね。

 戦闘部隊が『ババババーッ』と現れて武器を構えて『はい、戦闘準備OK!』的な、すばやい対応を期待されても出来ません。


 到底無理です。

 もちろん大急ぎで用意しますが、すぐには無理。

 フィクションみたいなスピーディーな対応は無理。


 っていうかこれ、『同盟国内』というのがなぁ?

 まぁ、ようするに他人の家なワケで、つまり他人の家で乱闘をやるわけで。

 それには、それ相応の理由が必要になる。


 もうひとつ

『同盟国』と言ってもその扱いは国同士による相対的なものであるからして。

 日本はアメリカにとってどういう扱いの国かというのがハッキリする。

 ハッキリしたらマズいのか?


 これもハッキリしたらマズい場合と、そうでない場合がある。

 大体において、粗末な扱いをハッキリするというのは、非常に『同盟関係』においてよろしくないわな? そりゃよろしくないわな? なんだよ! 同盟ってなんだよ! なんだこの扱いは! って険悪になっちゃう可能性が大だわな!


 そういう場合は、もうにっちもさっちも行かない、どう思ってるか、おまえなんか同盟でもなんでもねーよって腹の中で思ってます、ってのがバレても。もう別にいーや! って状況の場合が一番心置きなくGOサインが出しやすいんですけど。そこまで行かなくても、ヤクザが女をさんざん自己都合でドツキまわしたあと、泣きながら謝ってセックスしてチャラにする。なんてやり方が通用する場合もまたGOサインが出しやすいわな? 日本のケースはこっち側かな? 在日アメリカ軍という下っ端が少々やらかしても、親分が余裕のパワーゲームで日本という金づる女を黙らせてくれると。


 ただその辺の見積もりも、親分の手を煩わせることには変わりないので、ある程度前もって決めていないと、決断するまでの時間をロスする原因になると思われます。


 あと、基本的に極東地域における、そういう大事な決断をする親分が、日本本土ではなくハワイ基地にいらっしゃるので、自分は痛くないので。いまいち危機感に欠けるという部分も大きいそうです。ギャンダムに遅れをとるのも、そりゃ仕方ないかと。いつも現場が泣かされるのは、自衛隊だけでは無いのでありました。



 ──── まぁ、初見はね。




 そういうお話です。





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