――8日目
今日も何事もなく学校が終わる。
そして帰って来た夕方頃。
――美玖が帰ってきていた。
「美玖ッ!」
「ただいま~っ、シンシン!」
玄関先で俺に飛びつき抱きついてきた。
俺も彼女の背中に手を伸ばし、ぎゅっと抱擁する。
美玖の優しい温もりと香り、柔らかな感触。
その存在全てに癒されていく。
俺の中で、彼女はもう掛け替えのない愛しい存在なのだと認識する。
「お帰り……待ってたよ」
「やばい、超幸せ~……くすん」
俺の胸の中で嬉し泣きする美玖。
そのまま優しく、艶々した黒髪を撫でる。
「俺も……だよ。こんな気持ちにしてくれる美玖に感謝しているんだ」
「えへっ。あたしの方こそ……感謝だよ♡」
可愛さと愛しさが入り混じり、俺は溶け合うように強く抱きしめた。
その一方では、
(ぐぅ……おにぃが……おにぃが取られちゃう……このまま彼女いなかったら、わたしが一生傍にいてあげようと思っているのに……)
小春がリビングから、ちょっこりと顔を出して、俺達を覗いていたとは露知らず。
◇◆◇
【芯真が死ぬまで、あと2日】