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Re:現役JKアイドルの幼馴染が何故か俺を必死で守ってくれる話~「え? 俺が10日後に死ぬってマジっすか!?」
沙坐麻騎
現実世界ラブコメ
2024年08月07日
公開日
16,834文字
完結
陰キャぼっちの俺は屋上で不良共にイジメられていた。
しかし一人の少女が颯爽と現れ、不良共を撃退してくれる。
少女は三年前に別れたっきりの幼馴染『咲崎 美玖』。
今をときめく現役のJKアイドルだ。
再会した美玖は俺に向けて、いきなりこう告げる。

「――キミ、あと10日後に死ぬんだよ」

っと……。
どうやら美玖は俺の死亡ルートを回避するため、タイムリープしてきたみたいだ。

(10日目で完結します)

1日目

 昔、好きだった幼馴染に「キミ、あと10日後に死ぬから」と言われたら、果たして受け入れることができるだろうか?

――1日目

「おい、遊佐ッ! 金持ってんだろ? とっとと、よこせやぁ!」

 学校の屋上にて、クラスメイトの井上に殴られてしまう。

 他の不良共も薄ら笑いを浮かべ、一緒に蹴りを入れ理不尽な暴力を振るわれる。

 何も抵抗できない。これだけの人数に敵うわけがない。

 だってクラスでは陰キャラのぼっちだから……。

 俺は、遊佐ゆさ 芯真しんま。高校二年生。

 容姿も平凡で冴えなく、特に勉強もできる方でもない。

 おまけにコミュ力もなく、誰かに話しかけられても気の利いた返事もできない。

 唯一、ゲームが得意なくらいだ。

 だから目を付けられたんだと思う。

 不良共の中で身長が高く、容姿が優れたリーダー格のクラスメイト。

 井上 健太だ。

 こいつはワイルドな風貌から、女子の間でも「某ダンスユニットのボーカルみたい」と囁かれ、とても人気が高い。

 おまけに運動神経も抜群で間違いなくカースト上位の人物だ。

 そんな恵まれた奴が、ただの陰キャである俺への仕打ちは、きっとただのストレス解消目的だと思う。

 弱者を踏みつけて、自分をより強く見せる。

 ただの自己満足。

 こんな連中に、残りの高校生活を踏みにじられると思うと地獄でしかない。

……いっそ、死んでしまった方が楽なのだろうか?

 殴られながら、ふと頭に過った。

 そんな時だ。

「――あたしのシンシンをイジメるなぁぁぁっ!」

 どこからか女子の声が響いた。

 シンシン?

 なんだろう……とても懐かしい響きだ。

 俺を唯一、そう呼んでいたのは……。

 確か――?

「ぐわっ! なんだ、この女は!?」

「つ、強えぇぇぇっ!」

 激しく殴る音。

 不良共の悲鳴。

 俺は静かに目を開けた。

 ――不良共が全員、地面に倒れている。

 唯一、井上と少女が一人対峙していた。

 私服姿で帽子を深々と被り、マスクにサングラスを変えた小柄な少女。

「ひぃぃぃっ! 誰だ、テメェ!? 俺を誰だか知っているのか!? 井上 健太だぞ! この学校で知らない奴はいないんだからな!」

「知らない」

 少女は言い放つと井上に突進して行く。

「う、うわぁぁぁっ!」 井上は拳を振り下ろすも、あっさり躱されカウンターの蹴りを顔面に喰う。

「ぶぎゃっ!」

 無様な悲鳴を上げ、井上は宙を舞い回転して転げ落ちる。

 そのまま動かなくなった。

 つ、強い……でも何者なんだ?

 少女は「はぁ~っ」と呼吸を整え、俺に近づいてくる。

「ひぃ……」

 今度は俺の番だと思、びびって喉を鳴らしてしまう。

「シンシン、大丈夫? 怪我な~い?」

 少女は穏やかで可愛らしい声で訊いてくる。

「え? シンシンって……誰? いや、俺をそう呼ぶのはただ一人だけ……」

 ――思い出したぞ!

 俺は気づいた瞬間、少女は帽子を脱ぎサングラスとマスクを外した。

 艶やかで長い黒髪が靡かせ、くっきりと大きい二重の瞳と小さな鼻梁と形の良い唇を覗かせる。

 色白でスタイル抜群の、誰がどう見ても正真正銘の美少女。

 けど、俺の幼馴染。

「……美玖みくか?」

「ピンポーン! やったぁ、覚えてくれたんだぁ!」

 そう。

 この子は、咲崎さきざき 美玖みく

 俺の幼馴染である。

 そして、俺にとって片想いで初恋の……。

 美玖は嬉しそうに、俺に飛びつき抱きついてきた。

「痛ててっ!」

「ご、ごめん! シンシン大丈夫!?」

「ああ……でも、どうして美玖がここに? 確か東京へ引っ越したよな? 芸能活動のために……」

「うん、ちょっと理由があってね。お仕事はお休みして、しばらくこの街で暮らすことにしたんだぁ」

「向こうで何かあったのか?」

「違うよ」

 俺の問いに、きっぱりと美玖は首を横に振るう。

「違うって?」

「うん、シンシンのため」

「俺の?」

「あのね、シンシン。よく聞いてね……」

 美玖は一呼吸置き、俺の瞳をじっと見つめてくる。

「――キミ、あと10日後に死ぬんだよ」

 好きだった幼馴染に、いきなり死亡フラグを立てられた。

 俺は美玖に問い質すも、彼女は何も答えてくれないまま離れていく。

「今日はね。手続きに来ただけなんだぁ。あと、キミの顔を見に……そしたら、こうでしょ? 思わず頭に血が上っちゃったぁ。えへへ」

 美玖は恥ずかしそうに微笑み、「じゃあ、また明日ね」と手を振っていた。

 俺もそれ以上、言及できず呆然としてしまう。

 確かに言ったよ? 俺が10日後に死ぬって……どういう意味なんだ?

◇◆◇

【芯真が死ぬまで、あと9日】

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