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0008 身の上相談

食事が終わり、コウさんの事務所に戻ると女刑事さんはすでにいなかった。

ヒマリとエマは、マリアさんに自動車で送ってもらい俺は歩いて帰った。




翌日の放課後、俺はこっそり一人でコウさんの事務所に向った。

今日は、昨日のバイト代をもらうために行くのだが、せっかく専門家に会うのだから、俺の身の上相談をしたいと考えている。


「入ります!」


「どうぞ」


「おう、少年来たな」


見るとコウさんのひざには愛くるしいマイちゃんが座っている。

コウさんは応接セットの自分の前の席を勧めてくれた。

そこに座ると、すぐにマリアさんが事務机の上から封筒を取ると歩いて来た。


「はい、まずはお給料」


マリアさんがにっこり笑って、俺に封筒を渡してくれた。


「ありがとうございます」


「ふふふ、中を確認して領収書にサインと印鑑をお願いね」


「はい」


俺は封筒の中を見て驚いた。

十万入っている。

俺は顔を上げると目を見開いてマリアさんを見た。


「うふふ、いいのよ」


「そうだとも、少年はその位の働きをした」


「あ、ありがとうございます」


俺はそそくさと領収書を処理してマリアさんに渡した。

しかし、いいのだろうか?

ほんの数時間同行しただけで、しかもうまいものまで食わしてもらった。

昨日のエビチリはどう考えても伊勢エビのエビチリだったはずだ。

寿司も回転の奴じゃ無い。

その上でこんなに沢山のお金までもらってしまった。


「少年の顔は、あんなことでこんなに貰っていいのだろうか? と言う顔だな」


「は、はい」


「どうぞ」


ハルミさんが俺とコウさんにコーヒーを、マイちゃんには真っ白なミルクを出してくれた。

そして、コウさんの隣に座ったマリアさんに紅茶を出すと、おれの横に座って紅茶を飲み出した。


「少年、あれはすごい事だ。あの、おやじさんは誰にも助けてもらえずに困っていたのさ。高い費用で霊能者を何人も雇ったと言っていた」


「でも、コウさんにも出来るのでしょ?」


「出来るが、俺はいろいろ準備がいる。あんなに簡単に終らせられない。助かったよ」


コウさんは高校生の俺に頭を下げてくれた。

できた人だ。

俺はこの人なら信用できると思った。


「コウさん聞いてほしい……」


そして俺は、ヒマリの事件の事を話した。


「なるほどな」


「俺は人殺しになるのでしょうか?」


「今の日本の法律では裁く事は出来んだろうな。何しろ触ってもいないのだからな。自首しても無罪だろう。ところで少年、おやじさんや、若頭には怨霊は見えなかったのか?」


「!?」


俺は突然の質問に驚いた。


「少年、ポーカーフェイスを憶えた方がいいな。で、少年なら殺せるのか?」


「!?」


まただ、驚いて目玉が落ちそうになっている。

コウさんはニコニコ笑顔でうなずいた。

もう全て理解してくれているようだ。

だが、その後真面目な顔をして宙を見つめた。

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