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第3話

 二人は謁見の席に案内される。

 城の君主はフリートという名の真っ赤な王冠と真っ赤なドレスを纏った女だった。髪の毛も真っ赤だ。



「それで“人の生き血によって染色した真っ赤なドレス”を求めて、この地にやってきたのですね?」

 フリートは陽気そうな顔をしている。



「ああ。タダとは言わねぇ。言い値で買う。俺の依頼主は言い値で買ってくれるそうだ」

「そうですね。確かこの城の何処かに置いております。探す為に城内を一緒に見てみませんか?」

 女王フリートは楽しそうに言った。

 そして、三名は城内の見て回る事になった。



 真っ赤な図書室。

 本棚も、本の背表紙も全て真っ赤だ。



 真っ赤な博物室。

 置いてある恐竜の骨や調度品など全てが真っ赤に塗られている。



 真っ赤な天文台。

 天体観測の道具が全て真っ赤に塗り潰されており、地図や天球儀なども全て真っ赤に塗られている。



 真っ赤な絵画室。

 全ての絵画が真っ赤に塗り潰されている。有名な裸婦像や風景画。宗教画などが全て真っ赤な複製品として展示されている。



 真っ赤な地下牢。

 牢獄も真っ赤で拷問道具などの類も全て赤く塗り潰されていた。もはや血痕なのか元々の色彩なのか分からない赤が広がっている。


 全ての部屋が装飾品が、家具が赤く、赤く赤く赤く染め上げられていた。


 イリーザは城内巡りをとても楽しそうな顔で見ていたが、セルジュは完全にぐったりとした表情をしていた。もはや赤色以外の色彩を見ないと発狂しそうになりそうだ。

 そして、最後の部屋に辿り着く。



「確か、この部屋に入れていたかもしれません」

 フリートは部屋の扉を開ける。

 すると中には、一際、真っ赤に……いや、赤黒く染まったドレスが透明なガラスケースの中に展示されていた。

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