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0246 パワーアップ

熊野の道は、右を見ても左を見ても木に囲まれている。

凄い山道だ。

それでも道路は舗装されているので移動は楽だ。


「ちょ、ちょっと、お待ち下さい」


オオエが、快調に進む俺達を止めた。

カンリ一族全員が肩で息をしている。


「どうしました」


「そろそろ、休憩をしないともちません」


「そうですか」


俺も、上杉一行も全然疲れていない。

ホリス達ゴーレムは、美術館の掃除を頼み同行させていない。

その後は、あずさが来たときのサポートを頼んでおいた。


「え、え、え」


面倒なのでオオエをお姫様抱っこで抱えた。


「オオエ、パワースポットまでの道はわかるのだろ?」


「え、あ、はい」


「じゃあ、俺達は先に行く、お前達はゆっくり休憩をして追いかけてくれ」


ぜーぜー言っている、カンリ一族の者を切り離し置いて行く事にした。

どうせ行くのなら、少しでも速くみて見たい。


「はっ」


左近が代表して返事をしてくれた。


「じゃあ、みんな、行きましょう」


俺は上杉一行にそう言うと走り出した。

カンリ一族は人間離れした速さだったが、俺達だけならもっと速く走れる。


「凄いですね。ゆっくり走っていてくれたのですね」


オオエが驚いている。


「まあな」


「私達カンリ一族は、いつまでこのスピードについてこられるのかと、内心意地悪く思っていたのですよ」


「まあ、カンリ一族の方が生身としてなら上だ。俺以外はバイクに乗っているようなもんだからな」


「あっ、そこを曲がって下さい」


旧道なのだろうか、細い道がある。

そこを入ってからしばらく行くと、小さな集落があった。


「ここは?」


「ここが、カンリ一族の日本国民としての住居です」


「なるほど」


カンリ一族が家の窓から興味津々でこっちを見ている。

オオエは、自分の姿が恥ずかしいのか真っ赤になっている。

だが、降りる気は無いようだ。


「さ、さ、このまま、進んで下さい」


「す、進んでくださいはいいが、道が無いぞ」


途中まではあぜ道のようなものがあったが、山に入るところで消えている。

恐らく山の中に、黄金で出来た鳥居が有り、黄金で出来た眩しいほどの祠があるのだろう。楽しみだ。


道なき道を進んで、ずいぶんと歩いた。

かなり山の中に入ったはずだ。

すると開けた場所に出た。

何も無い草むらだ。


「ここだけ、木が無いなあ」


「はい、木が生えてきたら、全部抜いています。そうしないとすぐに大木に育ってしまいます」


「すると、この場所が」


「そうです。ここがへんな、ではなく、禁足地……熊野一、いいえ日本一のパワースポットです」


「ふむ、何の変哲も無い草むらだなあ。うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」


な、なんだ、なんなんだここは。

不用意に近づいてしまったが、俺のエネルギーが凄い勢いで吸い取られた。

パワースポットどころか、パワーダウンスポットだぞ。


「どうされました」


上杉達が心配そうに聞いて来た。


「う、うむ。お前達は何か感じるのか?」


「は、はぁ。あまり強いパワーは感じませんが、皮膚の表面がゾワゾワするくらいは感じます」


なるほど、これは、持っている者からは奪いとり、持っていない者には分け与えるという事なのか。

まるで昔の日本とは真逆だなあ。

貧乏人からは奪いとり、上級国民のようなお金持ちにはどんどんお金を分け与える……。

この場所は、俺にとっての最大の脅威だ。

やばい、長時間いれば弱体化してしまう。

誰にもバレないようにしなくては。


「オオエ、ここにいれば、誰でも力を得られるのか」


「はい」


その言葉を聞くと上杉もスケさんも、カクさんも響子さんもカノンちゃんもパワースポットの中央で座禅を組み、目を閉じている。

俺は、パワーを吸い取られない所までこっそり後ずさりした。


「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!


スケさんが俺の真似をして大声を出した。


「ど、どうした? スケさん」


「パ、パワーを感じます。うおおおーーー!!!」


これは、あれだ。

体育会系の悪ノリってやつだ。

暑苦しい。


「オオエ、今日中には五人とも強くなるのか?」


「えっ。あっ、そ、それは……」


うん、なんだか急に歯切れが悪くなったぞ。


「どうした。続けてくれ」


「十年くらい、ここにいれば少しパワーアップします。一日だと肩こりが取れる程度でしょうか」


「はあーーーっ」


上杉達が座禅をやめてしまった。


「あっ、でも肩こりがよくなったかも」


響子さんが喜んでいる。


「あの、皆さん。力の解放がしたいのですか?」


オオエがすまなそうに聞いて来た。


「まあ、出来るに越したことはないが、十年は長いなあ」


「もともとサヨコ程ではありませんが、私もカンリの巫女でした。結婚してパワーが半減しましたが、それでもよければ出来ます」


「それは、何か副作用のようなものはあるのか?」


「副作用?」


「そ、そうだ。異性に興味をなくすとか」


「それは、ありません。私が出来るのは、もともと持っている力を使える様にするだけですから」


「どうする皆?」


「お、お願いします」


全員が、間髪入れず頼んだ。


「はい」


オオエは笑顔で答えた。


「うむ、悪いな。では、オオエ頼む」


「あ、あの……」


「どうした。なにかあるのか、まさか準備に十年かかるとか」


「いえ、もう終っています」


「えーーーっ!!!!!」


「今度は、はやいなー」


俺が驚いていると、草むらに強い風が入り。

ざーっと、音を立てて揺れた。

山の木々もザワザワいいだす。

それはまるで、上杉一行のパワーアップを祝福している様だった。


さらに強い風がふくと、響子さんとカノンちゃんのパンツが丸出しになった。

それを見て、俺はパンツ丸出し女を二人以外にも最近見た気がする。

喉まで出かかっているが、誰か思い出せなかった。

歳だからしょうが無い。まあいいか。

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