「とうさん、少しは休憩しなよ。はい、お茶」
あずさが、静岡のお茶を出してくれた。
「ありがとう。そうだ、あずさ、そろそろ駿府の大田大商店へ戻ってくれないか。商品を大量に出すからそれを収納して、はるさんをサポートしてほしい。ヒマリちゃんとシュラも一緒で」
「……はい」
少し不服そうだが、理解してくれたようだ。
「そう言えば、ミサの姿がなかったな」
「そうですね」
「教祖様だからやっぱり忙しいのかな」
「そうですね」
うん、あずさの返事に感情が入っていない。
ミサが嫌いなのかな。
それとも、駿府に行くのがそんなに嫌なのか。
「まだ少し、時間がかかりそうだから。あと一日くらい、一緒にいようか」
「はい!!!!」
あっ、機嫌がなおった。
一緒にいると言っても、ここで俺の変態研究を見ているだけなのだが、それでも良いのだろうか。
「あずさ、少し話してもいいか?」
「はい」
「俺は、鉄道を急いでいるのは、来年四月から学校を再開したいからなんだ」
「えっ!?」
「教育は、とても重要だと考えている。列車で遠くからでも学校に来られるようにしたい。学校は、全て無料にして食事も三食出す。智力も体作りも両立出来る様にしたい」
「……」
「当然、全寮制だ。自宅から通えるのなら、自宅からの通学も可能だがそんな人は少ないだろう」
「はい」
「がんばってくれるかな」
「……うん」
少し嫌そうだが、納得はしてくれたようだ。
翌日、あずさは、ヒマリとアメリ、シュラを連れて駿府の大田大商店へ移動した。
列車を完成させて、試運転が終わると、正式運用を開始した。
こうして、木田から駿府までの鉄道が開通した。
しばらくは、全線無料で試験運用する予定だ。
機関車はゴーレムで、顔でもつけようかと思ったがやめておいた。
ゴーレム機関車は、自動で動くが一応運転手にも乗ってもらっている。
「さて、柳川、ようやく自由になった。甲州へ偵察に行きたい」
「そういうと思っていました」
「誰が空いている」
「あいにく、俺ぐらいしかいませんが」
「じゃあ、しょうがねえ。柳川で我慢するか」
俺と柳川、クザンの三人旅がはじまった。
まずは、ハワイで使ったUFOで真っ直ぐ西に向った。
甲斐の上空から見た感じでは、農地がとても多く感じた。
だが、相変わらず中央の人口密集地には、農地が無い。
もうじき実りの秋が来る、収穫出来そうな物が入手出来ないだろうか。
楽しみである。
上空から駐車場を探したら、ゴルフ場の様な物が見える。
そこにアスファルトの丁度良い駐車場が見つかった。
良い感じに町から離れているので、そこに着陸した。
「人は、いないようですね」
「ちょっと待て。探って見る」
俺は、体から糸を出すと、広範囲で調査した。
全く人気は無い。
「どうですか」
「丁度良いのか、悪いのか、まわりに人はいない」
俺たちは、のんびり甲斐の国の散歩をはじめた。