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0081 変態研究

おおよそ準備が終ると、あずさがピョコンと席につく。

そして、食事をモリモリ食べ出す。

ゲンも同時に食べ出している。

これが、木田家の食事が始まる合図なのである。


「おいしーー! 来て良かったー!!」


最初に声を出したのは愛美ちゃんだった。


「なあ兄弟話してもいいか?」


ゲンが、俺に話しかけてきた。


「ああ」


「偵察隊を増やして欲しい」


「どの位必要だ?」


「百は、ほしい」


「本当の数を言ってくれ」


「うむ、三百はほしい」


「じゃあ、千体作ろう。所で何があったんだ」


「うむ、調査をして見てわかったのだが、町から離れた田舎の集落には人が残っている。だが、それも永くはもた無いだろう。塩や調味料など足りない物が多い、補給が出来ていないんだ。こういう人を救う為には、偵察隊でこまめに探していくしか無い」


「なるほど、他にいる物はないか」


「あとは大量輸送の出来る物が欲しい。物資を発見しても運ぶ手段が無い」


「そうか、それも何とかしよう」




「きゃーーーー!!」


悲鳴が聞こえた。

俺たちは、悲鳴の先を見た。


「な、何だよ。少しスカートをめくっただけじゃねえか。みじけースカートをはいているんだから、ちょっとぐれーいいじゃねえか」


北条が、給仕のお姉さんのスカートをめくったようだ。

確かに短いスカートをはいている。

少しくらいなら、いい気がする。


「駄目に決まっているでしょうー。あんたに見せたくてやってんじゃねーんだよこっちわ」


お姉様方が北条を囲んで怒っている。

えーーっ、誰かに見せたくてやってたのー。

まあ、俺はリアルな女の人の下着には興味が無いからどうでもいいけど。

あっ、そうだ。名案が浮かんだ。


「シュラ、こっちへ」


シュラが呼ばれて嬉しそうにやって来た。

俺は、シュラのメイド服のロングスカートをガバッと上に持ち上げた。


「北条、見るのならこっちにしろ、滅茶苦茶美しいだろ。芸術品だ。人間の臭くてきたねーパンツとは大違いだー」


「な、なんですってー!!!!!!」


女性全員からすげー勢いでにらまれた。

シュラはペタンとへたり込んで、両手で顔をおおっている。

あずさが駆け寄って頭を撫でている。

ま、まさか泣いているのか?


こここ、こっ、これは、俺がとんでも無い下手をこいたという事なのかー。

だめだ、どこがいけなかったのか全くわからねえ。

みなさん、どんなセクシーな女の人がいても、スカートはめくってはいけません。のぞきも駄目みたいです。

ましてや、胸をもむなどもってのほかです。


矛先が俺に向いて、北条がほっとしている。

柳川がうつむいて、震えている。

爆笑しているようだ。

俺は下を向いて反省しているふりをした。


そんなもん、これのどこが悪いのか分かるようなら、彼女が出来ているでしょうよ。

わからんから、もてねーんだっちゅーの。

まあ、北条がかばえたのならそれでいいや。


しばらく、場が凍り付き、静かになったままだった。


「あ、そうだ、みんな聞いてくれ」


俺は唐突に思い出した事を話そうと思った。


「……」


全員が俺に注目してくれた。

会場がなぜか静かだったので丁度良かった。


「じつは、駿府で思ったのだけど、木田でも通貨を作ろうと思う。やはり買い物は楽しい。偽造できない通貨だ見てくれ」


俺はザラザラと通貨を畳の上に出した。


「一万円がアダマンタイト硬貨、五千円がオリハルコン硬貨、千円がミスリル硬貨だ。五百円は鉄とアダマンタイトの合金、百円はオリハルコンと鉄の合金、十円はミスリルと鉄の合金だ」


「おおおおーー」


手に取った者から歓声が上がった。


「これを、木田家と北条家、今川家で流通したいと思う」


「使うのがもったいないくらい」


あずさが目をキラキラさせている。

当然、俺がデザインしたのだから、硬貨それぞれに美しい装飾をしている。

反対意見は無いようだ。


食事会はまだまだ続きそうなので、お酒が出たタイミングで俺は中庭に出た。

外はうっすらオレンジに染まっていた。


千体の機動偵察陸鎧を作り、大型輸送用UFOを六機作った。

輸送用のUFOは、底面を四つに仕切り、物資が大量につめるようにした。

物資を積まずに、輸送空母としても使える様になっている。

これを木田に四機、今川に一機、北条に一機置いておく事にする。


俺が、中庭で作業をしていると、あずさが知らぬ間に来ていた。

ここまでは、すでに作った事がある物なので作業は速い。

ここからは、手探りなので時間がかかる。

実は、俺は列車を作ろうとしているのだ。


木田から東京、東京から静岡まで鉄道を動かそうと考えている。

こうする事によって、一般の人の商品の運搬が出来るようになり、人の行き来が可能になる。


俺は、まずミニチュアを作成する事にした。

それは、もう鉄道模型の様に見える。


「あの、とうさんは何をしているのですか」


ヒマリちゃんの声がする。


「うふふ、変態研究です」


おーーい。あずさー。言い方ー。

あたりは真っ暗になっている。

夜も更けているはずだ。

まわりを見ると、大勢が俺の様子を見ている。


「皆、もう夜も遅い、眠ってくれ、俺は眠らなくても大丈夫だから。それに見られていると集中出来ないから」


俺が、お願いすると大勢の人が、木田城の中に入ってくれた。

列車は、機関車をミスリルのゴーレム製にして、客車と貨物車はステンレス製にした。だが車輪だけは鉄製で作る。


翌朝、北条と今川、はるさんは帰っていった。

俺は、列車の完成まで不眠不休で木田城の中庭で変態研究を続けた。

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