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第二十四話 地球滅亡まで三ヶ月

「私は、ウルトラウーマン。よろしくね」


ミサの呼びかけに最初に反応して駆けつけたのは、金髪で胸の大きな美女だった。

あまりの大きな胸に、目が釘付けになった。


「俺はアンナメーダーマンです。よ、よろしく」


「あ、ああこれ、これはライトタイマー。普段は青色で、体力が消耗してピンチになると赤くなるのよ。地球上では体力の消耗が激しくて、一分で赤くなってしまうわ。でも、ここは宇宙空間だからずっと青のままね」


俺の視線に気が付いて説明してくれた。

良く見たら、胸の谷間の奥で少しだけ顔を出している。

これがライトタイマーか。確かに青く光っている。

でも、俺はそんなの気がついてもいませんでした。

純粋に胸の方が気になって、胸だけを見ていました。


「俺は、アイアンバリアだ、ここのバリアを作っているのが俺だ。アイアンファングの双子の兄弟だ。他にテレポートも使える」


ガリガリに痩せた、貧相な男があいさつをしてきた。

他にもあいさつをしてきたが、すぐに上の空になった。

何故なら、現れた超能力者達が全部で二十八人いるからだ。

ミサを入れると二十九人、あずさを入れれば三十人だ。


俺のような特殊な者が現れれば、他に三十人は、いると思ったが現実のものとなった。

何故か俺は、それがむしょうに嬉しかった。

まるで数学者が、自分の見つけた法則が証明されたときのように。


「あずさ、三十人いるぞ!!」


あまりのうれしさに、そのうれしさを分かち合おうと、あずさにこの事を伝えた。


「はっ!?」


だが、何の事かわからなかった様だ。

そりゃあそうか。突然三十人いると言われても、はあぁー! だわな。


「何だか、呼吸が楽になっていませんか」


ミサが、気付いた様だ。

さっきから、ここの空気が汚れているので、俺の体内の空気と入れ替えていたのだ。


「とうさ……アンナメーダーマンが、空気を入れ換えてくれているのよ」


あずさはわかってくれている様だ。


「あなた、そんな事が出来るの。すごすぎる」


ミサが驚いている。


「まあ、俺にはその位しか出来ないからな。そうだあずさ……アスラーマン、ハンバーガーを皆で食べよう」


「そうね。抽出!!」


ハンバーガーとポテトとコーラのセットが三十一セット出て来た。


「うわーーっ、な、何なんだこれは」


超能力者達が驚いている。


「くすくす、お近づきのしるしです。遠慮せずに食べて下さい」


驚いた事にハンバーガーは熱々で出来たてのまま、コーラは氷もそのままでキンキンに冷えている。


「な、何これ! こんなのアニメで良くある収納魔法じゃないのー」


ミサが驚いている。

鋭いなー。


「魔法ではありません。私の超能力です」


「ふふふ、まあいいわ。そういう事にしておきましょう」


食事が終ると、全員持ち場に戻って行く。

ゴミは当然俺が処分する。


「真面目な人達ばかり、素敵です」


あずさが、感動しているようだ。

まあ、実際俺もすごいと感心している。

隕石が衝突するとわかったその日から、ずっとここで作業をしているのだ。

ありがたくて俺は自然に頭を下げていた。


「さて、俺はこの人達の邪魔にならないところから、作業に入るとするかな」


「はい」


俺たちは、あずさの魔法で、この場所の正反対から作業を始めた。

俺は右手を前に出すと、体内の蜂蜜さんに隕石を食べる様にお願いした。

右手がブワッと広がり、隕石の表面を覆い出す。

まるで蜂蜜が表面にこぼれて、広がっているようだ。

少しずつ、広がっていく。


「やっぱりか」


「とうさん、どうしたの」


「うん、蜂蜜さんのやる気がない」


「大丈夫?」


「まあ、ここから先は蜂蜜さんに任せるしかない。様子見だ」






三ヶ月が過ぎた。

隕石の半分を覆い尽くす事に成功しているが、このままでは間に合わないかもしれない。


「大丈夫なの?」


心配してミサが様子を見に来てくれた。


「うむ、ギリギリだが何とかなると思う」


ふふふ、無理だとは言えないよな。


「くす、無理とは言えないわよね。あーあ、こんな宇宙のゴミに地球が破壊され、最期を迎えるなんて……」


「お、おおおおーーーっ!!!」


「ど、どうしたの?」


「ミサ、でかした。蜂蜜さんのやる気スイッチが入った!」


どうやら、ミサのゴミに反応したようだ。

蜂蜜さんは、ゴミならやる気が出るが、ゴミではないものは基本食べたくない様だ。いままで、いやいや、やらされている感があったが、今は、がぜんやる気が出ているようだ。

倍速で表面を覆い始めている。

地球滅亡まで三ヶ月だが、この調子なら滅亡せずにすみそうだ。


作業は蜂蜜さん任せなので、俺とあずさは基本暇だ。

あずさは、バリアの中で机と椅子を出して、そこで勉強をしている。


「とうさん、私すごい事に気が付いちゃった」


「んーーっ、いったい何に気が付いたんだ」


どうせ、ろくなことじゃないはずだ。


「うふふ、あのねとうさん……」


あずさは、俺の耳に顔を近づけて小さな声で話し始めた。


「なっ、なにっーーーー」


俺は、その内容に、仰天した。

そ、そんなの、アニメでも初めて聞くぞーー。

俺が知らないだけなのかもしれないが、あずさの話は驚きの内容だった。

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