目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
第24話

――――――――――――――――――

加藤光太郎

Lv.1

 力:D → C

耐久:F → E

技巧:D → C

敏捷:F → D

魔力:I

幸運:I

《魔法》


皇武神の加護ディバイン・ブレス

・『南無八幡大菩薩なむはちまんだいぼさつ』と詠唱する事で金属に『鏖殺おうさつ』の特権を与える。

・『性質の強化』と、呪いカースに分類される耐えがたい痛みを相手に与える。


《スキル》 


【禍転じて福と為す】

・障碍を打ち破った場合。相応の報酬が与えられ、獲得する経験が上昇する。

・障碍が与えられる、また全てのモンスターの戦闘能力が上昇する。

・モンスターの落とすアイテムの質が良くなる。またステータス幸運を表示する。


――――――――――――――――――



「やった! 初めて《魔法》系の技能が発現したぞ!」


 ステータスを更新して、少し休んだことで少しだけ元気が出て来た。


「もしかして今回の報酬って、《魔法》なのか?」


 《スキル》【禍転じて福と為す】の効果は、障害を打ち破った場合相応の報酬が与えられる、というものだ。

相応の報酬と言うのが、この付与魔法という事だろう……


「でも、効果が何ていうか『フワッと』してるんだよな……

金属に『鏖殺おうさつ』の特権を与えるって、ワードセンスが中二病なんだよなぁ……でもテキストを読む限り、コン〇イ語やサイ〇構文ほど難解でもないので、要点は三点に絞られる……」


1、金属に『鏖殺おうさつ』の特権? を与える。


2、『性質の強化』


3、呪いカースで耐えがたい痛みを与える


 ――――と言う欲張りハッピーセットのような内容だ。


 これは詳しく検証しなくては……これからも《スキル》のせいで障碍しょうがいに見舞われるのだ。

十二分に検証しないと怖くて実践では使えない。


 一本で満足する激甘チョコバーを頬張り、お茶で流し込む。

 血の匂いにつられてきたスライムや、ダンジョンバットを蹴散らしながら少しづつ魔石を集めていく……


 その数は集めている現在でも、次から次へと押し寄せるモンスターを見れば僅かに減って行くにとどまっている。


「ええい! うっとおしい!」


 俺はオニキリカスタムを見つめ《魔法》を付与する。


「『南無八幡大菩薩なむはちまんだいぼさつ』」


 ゆっくりと力強く、呟くように唱える。

 すると、鈍い銀色の刀身が稲妻のような金色に輝く……


「黄金……いやかみなりの剣か……」


 光り輝く剣の周囲には、火の粉……いやホタルのような小さな光の粒が明滅している。

 それは夜空に舞う粉雪、あるいは月明りに照らされた桜吹雪、とでも言いたくなるような情景じょうけいだった。


 雷は古代日本では『神鳴かみなり』と言い、神様が打ち鳴らしている音を表した言葉である。その影響は『風神雷神図屛風ふうじんらいじんずびょうぶ』で、雷神が太鼓を持っている事からも明らかだ。


 「いなずま」と言う言葉もまた、雷に由来する言葉である。


稲は雷をうけて結実すると信じられていたため、雷と稲を関連付けて「稲の=配偶者」と人々は理解し、「稲妻いなづま」または「稲光いなびかり」と呼ぶようになった。

 いかづちと言う言葉も、「いか」に由来するとされ、「厳」は「たけだけしい」「荒々しい」「盛んな」などの意味がある。「つ」は助詞で「」は「水霊みづち」のように霊的・神秘的な力を持つものを表す言葉である。


 また水霊みづちみづちとも解釈され、雷神や雨の神は蛇や竜と関連付けられている。

 また西洋でも、裁きの雷や神々の武器として雷は登場する。

日本では隕石を神がもたらした剣としたり、天から降るものは特別視されているのだ。


「意識を向け詠唱する事で、『向上効果バフ』をかける事が出来るのか……」


 そんな時、目の前にコボルトが現れる。

未だ一撃では倒せない敵なのだが、何故か不思議と負ける気がしない。

それはステータスが上がったからだろうか? はたまた《魔法》【皇武神の加護ディバイン・ブレス】を手に入れ使用しているからだろうか? 全て否である。


 本来勝てるハズのない強敵を相手にし、己が知略と勇気で乗り越えたからだ。

 俺はただ冷静に剣を振う……

 『鏖殺おうさつ』の特権が付与された刀は、意図もたやすくコボルトの毛皮を切裂き、肉を断つ。


「なんだこれ……まるで別物みたいな切れ味だ……」


 1つ目の金属に『鏖殺おうさつ』の特権を与える効果のためなのか? はたまた2つ目の『性質の強化』によるモノのかは不明だが、武器を変え検証すれば良い。

 槍を手に取り、《魔法》を付与する


「『南無八幡大菩薩なむはちまんだいぼさつ』」


 穂先は黄金に光り輝き《魔法》が掛かっている事を示す。


「破ァ!」


 手元に引き寄せた槍を突く。

その動作は不慣れで不格好極まるモノだったが、ステータスのお陰で何とかカタチには成っていた。

 槍の素早い連続した突き攻撃で、ゴブリンの身体に穿孔せんこうを穿つ。


「今回は、刺突……貫通力そう言うものが強化されている気がする。

それに、もしかして、2つめの『性質の強化』って、例えば刀なら『折れず』、『曲がらず』、『良く切れる』と言う三つの性質を強化するって事かな?」


 強い、と言うか無茶苦茶過ぎる……


 なるほど槍は『刺す』、『狙う』、『払う』、『叩き付ける』みたいな基本的な使い方が強化されると言う事だろうか? 


 槍は狙った場所を刺し貫く武器だ。

という事は、弓矢や、槍、銃弾に狙った所に当たりやすくなるみたいな多少の追加効果エイムアシストがあるのかもしれない。


 これで二つ目の効果『性質の強化』の内容は朧気ながらに分かった。

ただ三つ目の効果。呪いカースは、一撃で葬れているため実感できない。

まぁこれはおいおいでいいか……

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?