毎回毎回プロには任せられる程、探索者として稼ぎがある訳じゃないからな……
お陰で料理をしてくれている祖母や、庭の作物を収穫している祖父から、『切れ味が良くなった』と好評をいただき、砥石を買って貰えた。
包丁でも使える日本刀では中間の砥石と粗目、細目の三種類だ。
そして、二日間で100体以上モンスターを倒した結果がコレだ。
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加藤光太郎
Lv.1
力:I → F
耐久:I → G
技巧:I → F
敏捷:I → G
魔力:I → I
幸運:I → I
《魔法》
《スキル》
【禍転じて福と為す】
・障碍を打ち破った場合相応の報酬が与えられ、獲得する経験が上昇する。
・障碍が与えられる。また全てのモンスターの戦闘能力が上昇する。
・モンスターの落とすアイテムの質が良くなる。またステータス幸運を表示する。
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最初のゴブリン以外が全て、【禍転じて福と為す】の効果で戦闘能力が上昇しているお陰か、基礎5種のステータスの伸びが異常なほど良い。
まぁ魔力は魔法を手に入れないと伸びないと言われているので、事実上全てのステータスが伸びたという事に成る。
『力』の上昇は、0.7〜1.4キロはある日本刀を片手や両手で振り回したお陰だろう。
『耐久』は、ダンジョンバットの群れに襲われた時に鋭い犬歯に噛みつかれ吸血されり、ゴブリンに蹴られたりしたお陰だろうか。
『技巧』は、ダンジョンバット先生が文字通り『身を持って』教えてくれた的斬り大会で、刀と体捌きを理解出来た事で、上昇したのだろうと辺りを付ける。
しかしその理屈だと、『敏捷』が上がっている事が説明できないのだが……まぁ長距離を移動したり、暗殺している時に走っているので、そのお陰と今は考えて置こう……
豊川の祖父母の家から愛車GASGASパンペーラ250を走らせ、9時55分に地下駐輪場に愛車を止めて、オニキリカスタムを預けた店に向かう。
店に付くと、開店ラッシュは成りを潜め、少し落ち着いた雰囲気が店にはあった。
開店ラッシュは結構キツイ、今までバイトをしていた店で、嫌と言う程経験していたからな……
「あ、コウタロー君だ! 刀出来上がってるよ!」
自動ドアを抜け、入店したばかりの俺を見つけ声を掛けて来たのは、華やかなで明るい髪型の笑顔が眩しい少女だった。
武具店の制服なのだろう。顔に似合わない。やや地味な服装をしている。しかし容姿と雰囲気のせいで埋没しておらず、きっとオタクの俺には理解できない。着こなしやセンスというものがあるのだろう。
華やかな見た目とは、裏腹に不思議とけばけばしい印象はない。とにかく目立つ容姿の若い女子である。
「ありがとう。でも名前は流石に恥ずかしいよ」
「じゃぁ私の事名前で呼んでいいから……」
「えっと……」
正直昨日名前を一度聞いた限りで、苗字すら知らないのに名前で良いと言われても正直困る。
「あ、ひっどーい。私の名前忘れてるでしょ? 春先に一度。名乗ってるんだけどなぁ~~」
ハリセンボンのように頬をぷっくりと膨らませ。非難の意思を示す。
うん。あざと可愛い。
俺がおっさんなら援助してしまうかもしれない。魔性と言うには幼く、小悪魔と言うには可愛らしい。命名するならぷちデビルと言ったところだろうか?
「どこであったっけ……」
少なくとも俺には心当たりがまるでなかった。
ダンタリ〇ンの書架で見た「三人の知人が居れば、間接的に全人類と知り合いである」と言う理論が脳裏を過った。
これはアメリカの心理学者。スタンレー・ミルグラムが提唱した。『六次の隔たり』と言うものが元ネタであり、このネット社会ではその隔たりはより小さくなり、2011のミラノ大学と大手SNSの調査によると任意の二人を隔てる人数は、平均4.74人であると言う。
SNSがこれだけ普及した現在では2,3人の隔たりと言った所かもしれない。
―――――と言う訳で、まさかクラスメイトの友人と言われたところで、俺が顔を覚えて居るハズはない。
「クラスメイトだよ? 私は一発で分かったのに……ひっどーい」
あーなるほど、クラスメイトだったのか。だがしかし、こんなに派手なギャルを覚えていないハズがないに……
「もしかしてイメチェンした?」
「だいせーかい。ピンポン! ピンポン! イエーイ 私が
そう言って喜んでいる。
分かるハズねぇーー!
女は化粧で文字通り顔面が変るのに、メイクとヘアカラーで雰囲気まで変えられたら、骨格と身長、体重、カップ数で判断するしかないじゃん! 俺は心の中で叫んだ。
「おとーさん……店長曰く『朽ち込みが出始めていたので、早く持って来て貰えてよかったです。刃毀れも酷かったので、太刀筋を整える事をオススメします』だそうです。
えっと……朽ち込みって言うのは、錆びの事で血液には鉄分や脂が付いているので、血汚れは研がないと取れないそうです」
アルコールで拭えば汚れは取れると思っていたけど、応急処置程度って事か、幸い本も砥石も買ってあるから今度やって見よう。
「店長が探索者向けに、研ぎ方を説明する講座をこの夏季はやっているので良かったら参加してください。参加費通常2000円の所を
俺はひたすら謝って褒めて、機嫌を良くしてもらうのに10分ですんだ。妹で慣れているお陰だろう。