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借金一億&病気の妹のためダンジョンに潜ることになった俺のヘルモードダンジョン攻略記。スキルがデメリットスキルなんだけど…
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現代ファンタジー現代ダンジョン
2024年08月06日
公開日
100,537文字
連載中
ソロ冒険者確定かよパッシブスキルのせいで俺だけリミットオーバーな件

もはや現代のゴールドラッシュ、世界中に現れたダンジョンから持ち帰られた品により、これまでの常識は一変した。
ダンジョンから与えられる新たな能力『ステータス』により人類は新たな可能性がうまれる。

そのため優遇されたステータスを持つ一部の探索者は
羨望の眼差しを受ける事となる……

そんな世界でどこにでも良そうな男子高校生、加藤光太郎は祖父の悲鳴で目が覚めた。確認すると裏庭にダンジョンが出現していた。

光太郎は、ダンジョンに入る事を猛反対されるが、病気の妹を癒す薬を取りにいくため、探索者となる事を決意する。

しかし、光太郎が手にしたスキルは、常時発動型のデメリット付きのスキル【禍転じて福と為す】だった。

効果は、全てのモンスターが強化され、障碍と呼ばれるボスモンスターが出現する代わりに、ドロップアイテムや経験値が向上し、『ステータス』の上限を突破させ、追加『ステータス』幸運を表示するというものだった。

「ソロ冒険者確定かよ」

果たして光太郎は、一人だけヘルモードなダンジョンを生き抜いて妹の病を癒す薬を手に入れられるのか!? 

※パーティーメンバー等の女の子が登場するのは第一章中盤か本格登場です(ダンジョン攻略6日目からです)

第1話 プロローグ

1999年七の月、


恐怖の大王が来るだろう、


アンゴルモアの大王を蘇らせ、


マルスの前後に首尾よく支配するために。


 この詩で有名な『ノストラダムスの大予言』や、パソコンが使えなくなると言う2000年問題はものの見事にハズれ、ミレニアムを迎え十数年。


 米国貿易センタービルに旅客機が突っ込んだり、2012年12月人類は滅亡するという古代マヤ暦の予言をはじめとしたオカルティックな滅亡論など、いくばくかの天災や疫病を乗り越えたかに見えたある日。


人類は初めてそれを目にした。


 ~~『ロシア東部・南シベリア』~~

バイカル湖付近を調査しに来た生物学者クーバット・イワノフ氏は奇妙な生命体を発見。それはアメーバーとは異なるゲル状の生命体であった。


同博士はすぐさま、ロシア連邦構成国家ブリヤート共和国の自治体と、連邦政府に通報。 検体を移送後、周囲探索を目的とした、護衛のための軍隊を含む専門の特殊探査チームが派遣された。 


 捕獲目的の戦闘時、流れ出た体液により、発見された数々の ”未確認生物” の多くが『鉄』ではなく『銅』を用いて酸素を運ぶ生命体であると判明、恐ろしい事にヒューマノイド型の存在もあった。


 そのあまりにも異質な風貌に連邦政府の一部からは、米国か中国の生物兵器説だったり、はたまたエイリアン説などがささやかれたりもした。


 そこでまずロシア連邦政府は正規軍内の秘密部隊を派遣。

その圧倒的な火力を用い、尊い犠牲を払いながらも侵攻。

やがて特異な生命体の巣窟……”ダンジョン”を発見するに至る。


 その発見に全世界が注目する中、その後あまり時間を置かずしてダンジョンは全世界中に次々と現れる事となる。 

ダンジョンはあらゆる環境・気候・地形に影響されることがなく、完全にランダムに発生、最悪いきなり街中に現れ、埋設されたインフラ施設を寸断し、国家規模レベルでライフラインを脅かす脅威となった。


 また、ダンジョン出現と同時に極めて局所的ではあるが『地震』に似た特殊な揺れ……ダンジョン地震クエイクを引き起こし、

 地震なれしていない土地で発生した場合、それらの被害は特に甚大であった。

 ある国では、都市一つが瓦礫の山となるほどの被害が発生、直接被害のなかった国民の多くもPTSDを患うなど、世界各地を阿鼻叫喚の地獄絵図に叩き落した。


~~日本はその優れた耐震・免振技術により、(それになにより国民自体がなれていたため)さほど被害は出ず、国としていち早く復興・対応した。

 そのおかげで、高感度地震観測網Hi-netやGNSS連続観測システム、そのほか地震関連の特許利用が増えて儲かったのは、また別の話。~~


 突如現れた多数のダンジョンに、世界各国は各々軍隊を派遣。

残念ながらロシア東部、オーストラリア中央、南アメリカの一部など、人里離れた場所に出現したダンジョンでは、その初動の遅れから、溢れたモンスター共の生息域になってしまった。

ただ、調査・探索が進むにつれ、ダンジョンは決して災害なだけではないことが判明してゆく。


 ダンジョン内には、御伽話やゲームなどの物語から飛び出してきたような怪物……通称 ”モンスター” が存在し危険があるものの、その体内に存在する鉱石が、石油より効率よいエネルギー源になる事が知られ、二酸化炭素をまったく排出しないため、環境活動家やヴィーガン受けが良かった。


また貴金属を始め、未知の金属を含む豊富な資源をその内部で確認。

さらにオーパーツとでも言うべき不思議なものを発見、報告されるに至り、近年戦争や天災・世界的疫病災害などで停滞・縮小していた世界経済の起爆剤として機能し始める。


結局人々はダンジョンの脅威より、目先の利益に飛びついたのだ。


 時のアメリカ大統領ジョーン・ジェイコブスは、ダンジョンの出現を「フロンティアの再誕」と表現。くしくもそれは、1890年の「フロンティアの消滅」と対となり、外に向けていた国力を内側に向ける事となった。


 さらに、ジェイコブス大統領率いる主民党は、一部のダンジョンを条件付きで一般人に開放し、迷宮探索者を管理・監督する組織、通称【探索者ギルド】を設立。


ダンジョンを解放した当初、多少のごたつきはあったものの収穫物が増え、それが実利となってゆく様を人々は傍観する事が出来なかった。


制度の修正、運用のノウハウが蓄積し始めると、特に武力に乏しい各国もそれに習うようにし、基準となる探索者制度が出来た。

 拒否権や金周りで昨今色々言われている国際連合は、世界ダンジョン機関を発足させ、ダンジョンの国際的な管理体制と連携姿勢を示した。


 ダンジョンが現れて5年。

 今や探索者は人々の憧れの対象として見られている。

 そして世界で一番有名な探索者チームは、アメリカの【Enterprise《エンタープライズ》】だろう。


 事故で失われた部位の再生、治療困難と言われていた病をも癒す可能性のある薬も発見されていると聞く。

 そんな薬が切実に必要な俺は、弱い自分を変えたいと願い、密かに探索者に憧れていた。


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