第二章☆美香
株式会社アイロニー。
仁と隆はビルの正面玄関から中へ入った。
二人の受付嬢がにこやかに出迎える。
「やっぱり受付は会社の顔だけあって、美人が配置されてるよなぁ」
仁が呟くと、受付嬢たちは嬉しそうに笑った。
「ご用件は何ですか?」
「社長さんに会わせて欲しいんだけど」
「アポはお取りですか?」
「それが……残念ながらツテがなくてね」
「一応、都合を聞いてみますが、面会理由は?」
「赤と青のカプセル」
「は?」
「赤と青のカプセル。そう言ってもらえれば伝わると思う」
「かしこまりました」
片方の受付嬢が内線で連絡をとっている間、仁はもう一人の受付嬢にウインクしてみせた。案の定真っ赤になる。
「社長が大至急お会いなさるそうです!」
「サンキュウ。……美香ちゃん、またね!」
仁と隆がエレベーターに乗ると、受付嬢たちが、「なんで名前知ってたの?教えた?」「いいえ!」と騒いでいた。