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第10話「序章編8:救済のグレネード」

クソゲー雑学:5

なぜレベル上げをこのような面倒なシステムにしたのかをゴールドキャッスル社に聞いてみた所。

「それがこのゲームの個性だからです。開発するにあたって様々なゲーム・漫画作品を吟味し、面白いと思ったシステムを我々なりにアレンジしてこの様な感じになりました。

 それに苦労してレベルを上げた分、プレイヤーの達成感もありますし他のゲームでは味わえない面白さだと思います」

とコメントした。


なおプレイをした実況者からは

「個性の出し方を間違っている。ただでさえ戦闘のテンポも悪いのに、レベルを上げるのに長時間がかかるのは、どのRPG作品と比べてもストレスが超越している。しかも仲間のレベルも上げるとなるともう殺意すら湧く」

とのことだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 


 コマンドゴブリンとの戦いが始まり、不意打ちを受けたもののジョーのローリングアックスで手下のゴブリン兵達を一掃し、コマンドゴブリンとの一騎打ちとなった。


「念撃!」


ヴェルザンディの攻撃がコマンドゴブリンに命中するも、特殊攻撃に耐性がある彼にはダメージを当たられない。

高火力の打撃か武器攻撃でしかダメージを狙えないが、打撃攻撃担当のジョーはダメージを受けすぎて回復が間に合わない。

既に回復アイテムは品切れである。マイは何とか耐えてるが、地力の差で完全にコマンドゴブリンに負けていた。


「女戦士にしては見事だ。しかし種族の差は捻じ伏せれぬ!!」

「くっ!」

マイは剣が破壊される前にコマンドゴブリンに蹴りを入れて距離を取る。攻撃力に加えて防御力のある頑丈な肉体が厄介であり、電撃鞭も対して通用しない。手詰まりに近い状態。


「早くしてよ尚樹…!」


だがマイはあきらめない。今は時間稼ぎに徹している。尚樹がコマンドゴブリンを倒す秘策があるというのでそれに賭けることにしていた。

尚樹はジョーと共にタイミングを見計らっていた。


「まだかよ」

「すいません、絶対に当たるようにしたいので」


 尚樹は手に持っている攻撃用アイテム【フレイムグレネード】を見る。

このアイテムはドラグーン・ブレイドに置いて攻略に必須のアイテムである。

プレイヤーの攻撃力×20のダメージを与える効果があり、火力の高いキャラに使わせれば短時間でボスに勝てる優れものである。

プレイヤーが攻撃アイテムを使うと仲間も攻撃アイテムを使うようになるので、このゲーム内での救済アイテムとも呼ばれている。

「マイさん…!」


尚樹はアイコンタクトでマイにタイミングを伝え、マイはコマンドゴブリンから離れる。


「勝負を捨てたか!」

コマンドゴブリンは剣を振り下ろす。


「今だ! 」

尚樹はフレイムグレネードを放ち、コマンドゴブリンに攻撃する。爆発と共に火炎がコマンドゴブリンに大ダメージを与える。


「ぐわあああー!!」


フレイムグレネードは使ったキャラの攻撃力に20の倍数をかけた分のダメージを与える。いかれた計算で行われるのでボス戦はあっさり終わることが多い。

だが、コマンドゴブリンは火炎を振りほどき回復を試みようとしている。


「これで終わりだー!」


だがそれを許すまいとジョーの攻撃である疾風斬がコマンドゴブリンに致命傷を与え、ついに倒すことが出来た。

「くっ…、まさか人間に…冒険者の見習いに負けるとは…!!」

コマンドゴブリンは息絶え絶えながらも最後の時を迎える前に何かつたえようとしていた。

「だから私は反対だった…。今は攻め時ではないと…!」

「それはどういう意味ですか!?」

「冒険者よ、貴様の名は?」

「尚樹です」

「ナオキ…。魔王軍の力はこんなものではない、精々あがくのだな‥」


 そう言ってコマンドゴブリンは消滅した。

「よっしゃー! 魔王軍の奴を撃破だぜえええ!!」

「五月蠅い! それより早く街に戻るわよ!」

「これでクエスト達成よね!」

 コマンドゴブリンを倒したことでクエスト達成になり、ギルドマスターズの元に帰還することにした。

尚樹帰る中で考えていた。コマンドゴブリンの言葉はまるで本当は戦う気が無かったが、仕方なく戦いに来たような口調だった。


(そういえばコマンドゴブリンはブルーブラッド2世とは関係が良くなかったって言う設定があったがそれと関係あるのだろうか?)

コマンドゴブリンがゲームとは違う出現をしたことは自分の転生と最初は関係があるような気もしたが、何かそれとは違う理由がありそうな感じもした。

だが今は戦いで傷ついた体を回復させるため街に戻ることを優先させることにした。

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