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第6話「序章編:4 盗賊団襲撃」

クソゲ雑学・1

【ドラグーン・ブレイド】の主人公がどうして「吟遊詩人」に設定されているのかを、制作会社のゴールドキャッスル社の社長、金城栄氏に尋ねたところ、

「他社のゲームとは違う個性を出すためにそうした。基本的に主人公は向こう見ずの熱血漢かクールでハイスペックな無双するやつばかりなので、周りに頼るヘタレ系を目指しサポート型にした。そうすれば主人公に対して愛着が湧くと思った。

 また夢を目指す下積み時代の若者は大体ミュージシャンを目指しているから、この冒険を始める主人公も吟遊詩人が適している」

という意見を述べた。


 なおこのゲームを実況したプレイヤーからすれば、

「せめて貧弱なステータスをカバーするアイテムを取得するイベント位欲しかった。それくらい主人公のステータスは低いし、嫌がらせに近いレベルだ。というかサポート型を目指していたのならせめて戦闘外で、フィールドでも使える移動スキルやサポート魔法を習得させれるようにするべきだったと思う」

とコメントしていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 

―フロンテイション・広場


「へっ! 冒険者にもなっていない未熟者か」

「なあ良かったらオレ達のチームに入らねえか? 悪い思いはさせないぜ!」

尚樹に声をかける怪しい盗賊風の男達。彼らは非正規冒険者である盗賊ギルド『バットハウンダー』。冒険者ギルドを襲撃し、アイテムを横取りする非正規のギルドである。


「どーせお前もレベル1なんだろ? オレのチームの入ればすぐにでもレベル5にしてやれるぜ! 冒険鑑定士のツテがあるからよ~!」

『バットハウンダー』のリーダーであるハワードは下衆な笑みを浮かべ勧誘してくる。手下の盗賊たちはみなハワードに誘われ仲間になった者たちだ。彼らは冒険者ギルドを見境なく襲うので煙たがられている存在である。


 だがハワードは実力者であるし、頭数は多いので裏取引でモンスターの討伐を受けたり、

抗争がある地域で傭兵として、報酬を条件に雇われることが多いのだ。非正規ギルドならではの仕事を受けたりしている。


「お断りします」

「何?」

「ボクは冒険者になり、魔王軍を倒すためにここに来ました。大切な仲間もいます。ですからその誘いは受けれません」

尚樹はそう言って立ち去ろうとしたが、

「待てよ! ハワード様に恥をかかす気か!?」

「冒険者になった所でギルドマスターズに中抜きされたシケた報酬しかもらえねえのによお!」

「つーか今どき魔王軍を倒すとか時代遅れにもほどがあるだろーよwww! 勇者はそう言って魔王と相打ちになって犬死にしたっていうのによー!wwww」

「全くだ! 冒険者だって今はビジネスの時代なんだぜー!!」

盗賊ギルドの面々は尚樹を嘲笑するが、彼はそれでも折れなかった。

「とにかくボクには関係ない話です」

「レベル1のお前に選択権があると思うのか?」

ハワードが仲間に指示を出し、尚樹を取り囲みサーベルで脅す。

「今仲間が少し減って人数が足りねえんだ。テメーみてえなガキでも欲しいんだよ」

「何度も言いますがボクは仲間には入りません」


 この突然現れた盗賊ギルドは実はこのゲームがクソゲーと呼ばれている理由の一つであり、

『街中で突然エンカウントする盗賊ギルド』である。


 彼らは先の説明通り冒険者を襲撃するギルドである。しかもレベル1の初期から登場する上に、モブの盗賊の平均レベルが3~5なので、初期にエンカウントされると絶対勝てない上に、ゲームオーバーにされて、セーブをしていないと最初からやり直しになるのだ。


 しかもストーリーが進むごとにレベルも10~20まで上昇するので、お使いクエストやボス戦後に街に帰って襲撃されると、状態次第で負けることもあるので魔王軍より厄介な敵であり、レベル1の状態では負け確定の初見殺しの要素である。


 ちなみにこの盗賊ギルドの面々を倒しても経験値を貰えないので、完全に無駄な戦闘である。(ただし盗賊ギルドを撃退すると、ギルドマスターズから報酬金900Gがもらえる)ちなみに1度完全撃退するとその街では2度とでないシステムになっているのでそこは恩赦であろう。

ちなみに救済策として、先のジョセフのイベントでシェリーに出会ってペンダントを渡した後、逃走アイテムである【煙幕】を10個もらえるのでこれで盗賊ギルドから逃げることが出来る。


そのイベントをしなかったので【煙幕】を持っていないが、仕方がない。ヴェルザンディに会うためにもここは自力で逃げるしかない…!

「体に教えてやるぜ! 大人に逆らうとどうなるのかをよお~!!」


盗賊が剣を振るって尚樹に襲い掛かるが、タックルで盗賊を押し返し剣を奪い取る。

「このガキ!」

「やっちまえ!」

「くっ!」

慣れない片手剣での戦闘。だが転生前の剣道を応用し、なんとか対応していく。しかし、レベル差、頭数、全てにおいて不利な状況であった。2~3人を追い払ったが、後ろから羽交い絞めにされ、ハワードに力の限り殴られる。


「生意気なクソガキめ!」

「うぐっ!?」


打撃音と共に地面に転がされる。

「簡単に逃がさねーぞ!」


ハワードは鞭を取り出して尚樹に振り降ろす。

「ハワード様。流石にやり過ぎじゃあ…」

「ガキの躾にやり過ぎなんてもんはねえんだよ! ガキは大人に黙って従ってりゃいいんだ!!」

ハワードの躾を被った暴力に尚樹はなすすべなく、背中にミミズ腫れができ始める。

「ホラホラホラ! その身にオレ様に逆らうとどうなるか教えてやるぜ!!」

「教えてもらおうじゃねーか」

「!?」


ハワードが力を込めて振ろうとした瞬間、斧戦士のジョーがタックルをしてそれを防いだ。


「コノヤロー! まだそんなこすい真似してんのか!!」

「ぐあっ!? ジョーテメエ!」

「ガキ相手に大人げねえことしてるんじゃねえ!!」

ジョーがハワードを殴りつけて気絶させる。

「うわあ! ジョーだ!」

「頭数はこっちが上だ! やっちまえ!!」

「どんだけいようと烏合の衆じゃ相手にならないよ!」

と、もう一人女戦士が現れて、鞭を振るい盗賊団達を纏めて攻撃する。

「げっ! マイまで来やがったぞ!」

「ハワード様を連れて逃げろ!」


 盗賊団はハワードを抱えて逃げていった。

「はあはあ…ありがとうございます…」

「大丈夫か!? 今すぐ手当てしてやるからな!」

「ヴェルザンディさんに…」

 尚樹は話の途中で受けたダメージの影響で気絶した。

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