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第63話『ペル・ゲーム7』

―せらぎねら☆九樹の控室


『続いてのニュースです。法改正により死刑囚の刑執行が早期となり、本日は10人の凶悪事件の受刑者が死刑執行されました。犯罪者の取り締まりも強化され、犯罪防止のために…』


スマホでニュースを流しながらせらぎねら☆九樹はゲームの様子を見ていた。


「彼負けているようだけど大丈夫かしら」

「てめえの目は節穴か?」

「はあ?」

「落ち着いて下さい2人共」


梅村と樫本のケンカをせらぎねら☆九樹が抑える。


「合計金額では清志君は負けている。だけど彼はこのゲームの勝ち方に気づいているようだ」

「このゲームの勝ち方?」

「あいつ神崎の奴が無造作に高額賞金ミッションで賞金を得ている間、あいつはわずと外してカードの情報を集めていた」

「確かにこのゲームのミッションは成功すれば賞金を得れるが、確実に成功できるとは限らない。失敗すれば賞金を会得出来ないし、最悪チームメンバーが誰も挑戦できないようなミッションにあたってしまう」


ペル・ゲームは過去のミッションで【60秒以内にアクションゲームのステージ1をクリアしろ】や【スクワットを500回しろ】と言った内容があり、金がかかるとライバー達は必死になるがクリアできない事も多い。高額になればなるほど難しくなり、クリアできるミッションも減ってくるので最終的にパスを2回して失格になる場合もあった。


「今回はほとんどのミッションが成功しているから更にわかりにくくなっているのもあって『2回パスをさせる』事を気付けた方が勝者ともいえる」

「これまでの参加者は金がかかっているとはいえ失敗する事もあったしな」

「難易度調整も行ってミッションも作ってきたけど、まさかここまで成功するとは思わなかったわ」

「しかも神崎の金魚の糞みたいな室山はバラムツの刺身を食っちまったしな」

「昨日釣ってきた甲斐がありましたよ」

「九樹さんが釣ってきたんですか!?」

「そりゃバラムツなんて市場に出てくるような魚じゃないし、会場の準備は皆に任せていたから私も何かしないと思いましたし」


せらぎねら☆九樹はゲームの前日に楠を連れて釣りに言っていた。釣り系の動画の撮影もかねてのバラムツ釣りであり、他の連れた魚は刺身などにして食べていた。

昨年から趣味としてせらぎねら☆九樹は釣り動画も上げており、釣りが好きなLure‘sのメンバーと行ったり、個人で特定の魚を狙って釣りに行くことが多い。


「そもそもバラムツなんてネット通販でも出回ってねえしどうすんだと思ったけどまさか釣りに行ってたなんてな」

「梅村さんも今度一緒にどうですか?」

「インドア派だからパス。魚は店で買えばいいしな」

「楽しいから今度行きましょうよ!」

「いらねえって!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――― 


せらぎねら☆九樹たちが話をしている中ゲームは進んでいた。

神崎の命令によりバラムツの刺身を完食した室山の活躍によって高額賞金150万円を得て、合計金額は965万円となった。


「清志君…」


一方で清志チームの賞金額は673万円。その差は292万円。しかし残されたカードのミッション賞金額ではこの差は埋まらない。


秋穂は清志の作戦に乗ったとはいえ、これだけの差額で本当に勝てるのか不安になってきた。


「大丈夫よ」

「あずささん…」

「アイツとはサバイバルゲームからの短い付き合いだけど、アイツの人間として強い所は信じている。だからあんたも信じてあげなさい」

「そうですよね…!」


秋穂は清志を信じ、ターンが回ってくる。


「ここから3枚すべて成功させます。20番を選びます」


20番のカード。『800円』・『MISSION:数学問題集の最初のページを全問解け』。

このミッションを淀川が行い、中学2年生の数学の問題集を樒から渡されてそれを解いた。


スタッフによって採点され全問正解を確認されると800円が手渡された。


「次は24番」


24番のカード。『250円』・『MISSION:チームメンバー全員の集合写真を撮れ』。


清志は舞台裏に全員を集めて写真を取ることにした。蒼空つばさ、天城あずさ、太田真、中井洋子、宮野次郎、淀川葵。ここまで苦楽を共にしてきたメンバーが揃い、スマホで写真を撮るために並んだ。


「…本当に大丈夫なんだろうな。もう賞金額の高いミッションは無いんだぞ」

「宮野さん。ここまで来たら清志君を信じてあげましょう」

「それはそうなんだけどよお…」

「まあ、それはそれとして写真を撮りましょうよ!」


太田に言われてスマホをスタッフに貸して清志を含めて写真を撮った。集合写真を確認すると250円が渡される。


「最後に11番のカードを」


11番のカード。『2万』・『MISSION:四国地方の県を4つ答えろ』。


このミッションを太田真が挑戦し、四国地方の4つの県である徳島県・高知県・愛媛県・香川県の4つを応える事で達成した。


「良く答えれたわね!」

「以前雑学クイズの漫画を読んでたんで、知っていたんですよ」


ミッションに成功したので2万円の賞金を得た。清志チームは合計2万1050円を入手し、合計金額は675万1050円。合計金額は完全に神崎チームに負けているが清志は狙っていた展開になり、平静を保っていた。




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