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第61話『ペル・ゲーム5』

蒼空つばさが『フューチャーテイル』を初めて4時間。8人目の将軍を倒し遂に8つの鍵を手にした。


展開があまりにも早いような気もするが、このゲームのクソゲーたる所以の1つ。


『マップが狭すぎる』だ。


『フューチャーテイル』はフィードバックに町が1つしかなく。そこにシール屋や町。魔王城やモブトレーナーが出現する森エリアが存在しており、その周りを囲むように魔王八将軍の砦がある。RPGは色んな地域を冒険することも楽しみの1つだが、このゲームはそれがコンパクトに1つの場所に集まっているので『近所で起こった地域問題を解決するような感覚』の冒険をすることになる。


なぜ町の人たちは近所の問題受け入れているのか、なぜ地域の問題にわざわざ大統領が関わっているのかとツッコミし出したらキリがないが、つばさは魔王城に乗り込む前に6体のモンスターを強化しパーティーを完成させた。


『レンゴクウ』レベル30

『魔界騎士ヘルバスター』レベル30

『天空戦姫アルデリア』レベル30

『ドラゴンスライム』レベル30

『竜剣士ドラゴディア』レベル30

『堕天使ヒステリック』レベル30


転売とシール屋のガチャを繰り返しレベルも最大にしたパーティーで魔王サダオーンが待つ魔王城へと向かっていった。


【我に仇なす愚か者よ。そう簡単に挑めると思ったら大間違いだぞ】


魔王城に入るとこれまで倒してきた魔王八将軍がパーティーを強化して挑んでくる。更に〈ゴースト状態〉という物理攻撃による攻撃の命中率が25パーセントまで下がるデバフ付きで向かってくるのでまともに戦えば相手の攻撃だけが当たり。自分の攻撃だけが外れまくるという一方的に不利な戦闘を強いられる。

だが、それも攻撃アイテムがあれば解消することが出来る。〈火炎弾〉や〈風魔弾〉、〈雷鳴弾〉と言った3種類の攻撃アイテムを使えば必中かつ高火力ダメージで相手モンスターを倒すことが出来る。

しかも手持ちは最初に戦った時の手持ちに1体増えているだけなので、特に考える事もなく作業の様に倒していけばいいので、明らかに手抜きである。気を付けなければならないことと言えば攻撃アイテムの在庫であろう。八将軍との戦いの後に魔王サダオーンとの最終決戦が残っているので、攻撃アイテムが無くなったらクリアは難しくなってしまう。

だが幸いにも八将軍を倒しても魔王城の出入りは自由な設定だったので枯渇したアイテムを補給するためにシール屋の隣にある武器・道具屋に行って準備を整えた。


そしてついに魔王サダオーンとの戦いになる。


『魔王サダオーン。どうしてお前は世界征服を企んだ? あんなにモンスターと人間は仲良く共存していたじゃないか!』

『なぜこんなことをしたか? いいだろう。ここまで来たことに敬意を表し教えてやる』


魔王サダオーンとの会話でなぜ人間と敵対し世界征服を企んだのかを告白する。


『そう、それは我が大好きなバーチャルライバー・甲斐はるるの視聴前にお菓子とジュースを買おうとコンビニ行ったときだった』

『魔王がコンビニに行くのか?』

『金さえあれば誰でも客だろうが!』

『お客様ファースト何て考えが昭和だぜ?』

『まあいい。とにかく我はコンビニに行って新作の商品を吟味しながら買い物をいている所だった…』


魔王サダオーンは商品を選びレジに並ぼうとするとそこには平日だというのに多くの客が並んでいた。


『お客様。こちらの商品は在庫がなくて…』

『ああ!? 俺はセブンワイルドのゴールド1ミリしか吸わねえんだよ! 品ぞろえ悪いな!!』

『申し訳ありません』


『この支払ともっちの支払い。後コンサートのチケット5人分予約お願いします』

『かしこまりました少々お待ちください!』


『コーヒー1つ。砂糖3個でミルク2個』

『かしこまりました』


クレーム客、支払い客、コーヒー客。コンビニスタッフに負担を与える客たちによって行列ができ、通常の買い物で来ている客も並んで待つほど時間がかかっていた。


遂にサダオーンの番が来たがここで更に予想外の事態が起こる。


『店員さーん。コピー機の使い方教えてくれよー』

『説明書が隣に張り付けておりますのでそちらを見ていただければお使いできます』

『説明書見たってわからないんだ。教えてくれよー!』

『かしこまりました。少々お待ちください。…お客様すみません、対応をしてきますので』


コピー機の使い方がわからない高齢者の客の対応の為にスタッフがレジを離れ、待たされるサダオーン。店員はすぐに戻ってきたが、レジが突然エラー音を鳴らし店員が内部の金銭不足エラーを解消するためにレジを停止させ復旧作業をするアクシデント。


『すみません。大変お待たせしました』


レジを済ますころには5分もかからないはずの買い物が30分もかかっていた。帰宅する頃には配信が始まっており配信おつですコメントを入れる事も出来ず、サダオーンはやるせない怒りで満ち溢れていた。


『人間は愚かだ! あのような迷惑な奴がいるから戦争も悪政も収まらず我も推し配信を生で見れなかったのだ!!』

『アーカイブ見ればいいじゃん』

『五月蠅い! 我は人間達を滅ぼしこの世界を正しくするのだ! 自分勝手な人間どもは我の手で裁くのだ』


【魔王サダオーンが現れた!】


自己中心的でしょうもない理由で世界征服を企む魔王サダオーンは6体の同名モンスター【究極竜神シンフォニア】を使う。攻撃が完全命中し、弱点の無いモンスターである。ただし攻撃アイテムがあればダメージは通るので最終進化して火力の高い【レンゴクウ】にアイテムを使用させて6体の手持ちを全て倒した。


『まだだ! 我は世界征服をあきらめん! 我が相手だ!!』


魔王サダオーンは【究極竜神シンフォニア】と融合し、【真魔王・ドラゼウスサダオーン】となりラストバトルとなった。


最後に真の姿になるのは展開的に良いが、サダオーンはボスなのにターン1行動でしか攻撃してこずに、体力が多くあるだけの面白みのないステータスになっている。


故に戦略はパーティー総戦力でサダオーンの体力を攻撃アイテムで削っていくだけになる。総体力99999のサダオーンを20ターン賭けて倒し、ついに『フューチャーテイル』を攻略した。


画面にはエンディングが流れ、『THE END』の文字が表示されるとタイトル画面に戻った。


「お疲れ様です。クリアまでの総時間4時間58分。ゲームクリアとなります」

「やったわ!」


つばさがゲームをクリアし、清志チームたちに200万の金が手に入った。


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