次第に強くなるボスと雑魚的に苦戦しながらも清志はゲームを進めていった。アーカイブに溜まっていく『鍵付きの日記』は3つほど溜まるがどうやって使うのかわからないアイテムである。
『鍵付きの日記』は3のタイトルに〈‥キシ‥〉。2のタイトルに〈・ラ・ ‥ル〉と穴あけの様に書かれており、その詳細はまだわからない。
「まるで人の名前みたい」
マルガリータはそう予測するが、それよりも3つ目の町に行く方が優先だった。幸いにも強い敵はいないので新たに加わった戦力のウメムラを使って圧倒していく。ウメムラはエンジニアであり、銃を使った攻撃をして物理アタッカーである。他にも罠などがあれば解除してくれるので助かっている。
ウメムラはハッキングで3つ目の町・兼盛町に救済使途がいるという事を突き止めたので早めに行くことにした。
兼盛町は自然保護のため森が多く残る場所だ。だが開発派による都会への開拓を望んでいる派閥もいるギスギス争っている人々がいる。
『ヴィオ様のお告げだ! この町はこのまま自然と生きるべきなんだ!』
『うるさい! いつまでも住み心地の悪い町でいきるなんてこりごりだ!』
自然保護派の殆どはヴィオの手下の信者であり、彼らのはこの町のボスであり実力者である救済使途五人衆・オオチがいるため簡単に開発派は動けなく、批判をするしかなかった。
オオチは他の場所から信者を集めて町人にしてるためこの町に元々住んでいる開発派は不利になる一方であった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―蒼空つばさの家
「つばさちゃん…」
「このキャラクター…父さんがモデルだわ…」
かつて紫龍院教の信者であり、信者達から金を巻き上げていた大智福士。つばさの実の父親がモデルのボスキャラである。
『俺は悪い事なんてしていない。俺はただ彼らを助けるための手段を与えているだけに過ぎない! 選んだのはあいつらだ!』
自分はあくまできっかけを与えるために銃を与えただけで、引き金を引いたのはそいつの責任と言わんばかりのオオチに嫌悪感を覚える。
特段強い訳でないのでナインウッドを含めた3人のパーティーで倒すことができた。オオチは倒された後、苦しみながら言葉を残した。
『俺は何も悪くない! 簡単に騙されるようなバカ共が悪いんだアアア!』
悪びれる事無く自分には責任の無いような言葉を吐いてオオチは消滅した。彼がいなくなった後、町の信者はいなくなり開発の人たちは森を開拓し住み心地の良い町にしていった。
その後この町に囚われていた3人目の仲間であるクスノキが加わる。3つ目に『エレメントクインテッド』をもらい、彼女にオオチのいたアジトに向かうように言われる。
『オオチが残していたアイテムがあるからそこに案内しますね』
オオチはヴィオに信者から集めたお布施を管理していて、主人公たちが来る前にすでに送金していたが、アイテムが少しばかり残っていたらしい。
装備品の『聖なる剣』、お金『10000ポコペン』、そしてメッセージらしきものが残っていた。
『あの人の元にいれば人生を変えれると思った。しかし家族は私から離れ、毎日麦飯と白湯で空腹をごまかす日々。ヴィオの奴は私が貧困に苦しんでいる間、信者から巻き上げた金で女遊びをしていた。今日もどこかのキャバクラにいくらしい。どうせ地獄に行くなら奴も道連れだ。奴はお布施の一部を金品に変えて保管している。このメッセージを見つけた奴はどうか私の意志を継いで探してほしい P:4のT』
最初に見つけたメッセージ同様、最後に謎の暗号を残している。だがこのメッセージに、桝谷は動揺を隠せなかった。
「このメッセージ…。それが本当なら奴は死ぬ前にどこかに金を隠したのか!?」
「…確証かはわかりませんが…。これが本当なら被害にあった人たちを救えるかもしれません…」
「せらぎねら☆九樹…。奴はどこまでしっとるんや!?」
このゲームを進めることが事件の真相に近づけるのではと感じた桝谷はつばさと共にゲームを続けることにした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
―清志の家
3体目のボスを倒し、4体目のボスがいる清神町へと向かった。そこはヴィオの信者たちが運営する町。ナインウッド達は信者を装って町中に侵入する。
『ヴィオ様を称えよ! あの方はこの世界の救世主なり!!』
『まずは入会に1人100000ポコペン払ってもらおう!!』
信者の男にそう言われるが現在の所持金は57634ペコポンしかない。1人分の入会すら満たない金額だ。
『お願いします。我らの救世主ヴィオ様の為に働きたいのです』
心にもない嘘をいってクスノキは信者達に訴える。
『…しかたない。ならば足りない分は奉仕活動で払ってもらおう。我らが神のヴィオ様を称えよ!』
こうしてナインウッド達は新神町の信者達が集まる集会所で奉仕活動をすることになった。
『お前たちには2週間ここでタダ働きしてもらう。朝6時から夜11時まで、我々が指定した仕事をしてもらうぞ!』
朝起きると玄関前の周囲の清掃をして簡単な朝食をもらう。それが終わると信者達が集会を行う会場の清掃。名簿の確認、物資運び。午後になったら30分休憩をして昼食作りと他の集会所の清掃と雑用。夜になると晩御飯の準備と次の日の集会の準備をし、風呂掃除をして雑用は終わる。
これが6日も続くとウメムラが掃除用具を床に叩きつけて怒りをあらわにした。
『やってらんねえ! さっさとここのボスを倒してヴィオの奴を倒しに行こうぜ!』
信者達に預けている防具を取り戻し、この町いる4人目のボス、救済使途五人衆・カムロを倒しに行くことにした。
クスノキとヒイラギが倉庫にいる管理人の気を引き、ナインウッドとウメムラが裏から侵入して自分達の持ち物が入った荷物を取ると管理人を気絶させて、カムロがいる集会所にむかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
『アンタ達がヴィオ様に逆らうお方ね! この救済使途五人衆の紅一点のカムロがヴィオ様の名の元成敗してくれるわ!!』
女性ボスのカムロが4人の信者を召喚して戦いが始まった。
苦戦するようにも思っていたが、このころには全体攻撃できる必殺技や、強力な魔法攻撃を備えていたので、雑魚敵の信者達を倒すと後は強力な攻撃でカムロを追い詰めていくだけだった。
『た、助けてヴィオ様ー!!』
だが戦いの途中でカムロは戦意喪失し戦いは終わった。
カムロを失った信者達は勇者ナインウッドを恐れ立ち去ってしまった。
清神町に囚われていたカシモトを開放し仲間にして4つ目の『エレメントクインテッド』を手に入れた。
『最後のエレメントクインテッドはヴィオが持っています。ですがヴィオを倒す前に5人目のボスであるマーチを倒さないといけません』
カシモトの案内で5つ目の町、帝皇町へと向かった
最後の救済使途五人衆・マーチ。
彼は5つ目の町の目の前に仁王立ちして待ち構えていた。
『ご苦労だったなナインウッド。お前の冒険もこれまでだ!!』
マーチは最後の『エレメントクインテッド』を取り出し、頭上にかざす。
『何!?』
『私の持つエレメントクインテッドは時空を歪ませる力がある! これで勇者ナインウッド! 貴様の冒険を消滅させれるのだ!!』
マーチの元にナインウッドの持つ4つのエレメントクインテッドが集まり、画面がゆがむと暗転した。
〈残念ながら勇者ナインウッドの冒険はここで終わりました。だけど貴方があきらめなければ、まだ冒険は続きます。あきらめるな勇者、あきらめるなプレイヤー! 君の勇気が未来を変える事を信じている…〉
【GAMEOVER】
ゲームオーバーを知らせる画面が現れた。
「ば、バカなこれは一体?」
突然の事態に清志は驚きを隠せなかった、どのボタンを押しても反応せずゲームを閉じて再起動するしかなかった。