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第20話「捕らわれた者達」

清志達が面接に挑んでいる中、捕らわれた参加者達は地下室にいたがしばらくしてスタッフが部屋から連れ出した。


そして広めの会議室のような場所に連れていかれると15人分用意されたパイプ椅子に座らされた。


「これから九樹様のお話がある。しっかり聞くように」


用意された机のパソコンがスタッフの手で起動され、壁に掛けられたプロジェクターに映像が映ると、せらぎねら☆九樹の姿が映し出される。


『参加者の諸君、ごきげんよう』

「き、九樹さん! 一体これはどういう事なんですか!?」

『落ち着きたまえ、それをこれから説明しよう』


慌てる太田を九樹はなだめて、話を始める。


『君たちにはこれから【合否でBINGO!】ゲームをしてもらう!』

「合否でビンゴ?」


【合否でBINGO!】は現在面接をしているペアを組んでいるメンバーが合格するか不合格になるかを予想して選び、当たれば仮にそのペアを組んだ相手が不合格であっても、予想が当たればゲームが続行になれるというゲームである。


『君たちが自分の意志で組んだ相手だ。信じるか、それとも自分が生き残ることを選ぶかに賭けるか。自分の意志で選んで欲しい』

「ちなみにですが、その場合は手持ちの金額はペアを組んだ時と同じですか? それとも1人分になるんですか?」


阿久津は持ち金の扱いについて質問する。


『勿論。失格者分の持ち金は没収されるので、残されたペアはその時点での手持ちだけで残り日数を過ごしてもらうことになる』


合格することを予想して当てれば手持ちもそのままにいつもの生活に戻れるが、もし不合格だった場合はペアを組んだ参加者と共に失格になる。だがこのゲームでペアを組んだ相手の合否判定を当てれば、最悪自分だけでも生き残ることが出来る。他人を信じるか自分を大事にするか判断を迫られるゲームなのである。


『しばらく住んでいた相手なのである程度判断は出来るでしょう。1人ずつ順番にペアの相手が合格するかどうか口頭で述べてください』


せらぎねら☆九樹の隣にホワイトボードが設置され、ペアを組んだ相手の名前が映し出される。


Lure‘sのメンバーの1人がペンで記録を書く準備をする。


『では我こそはという人から合格か、不合格かどちらかを予想してください』

「私からいいですか?」


阿久津が挙手して予想を言う。


「私は小坂は不合格と予想します。奴としばらく過ごしていましたが、あんなプライドだけで中身が無い目先の利益しか考えれない奴が受かるとは思えません。そんなのと心中するなんて御免ですね」

『はい。では阿久津さんは不合格予想ですね』


阿久津が話始めると、他のメンバーも次々に予想を上げ始めた。


「ぼ、僕は洋子さんが合格していると信じています! あの人は自分の夢に向かって前を向いている人だ! 絶対に受かります!」


太田はペアの洋子が受かっていると予想する。


「ボ、ボクもあずさちゃんが合格するって思います。彼女は優しいし、ボクの事を信じてペアを組んでくれました! だからボクが彼女を信じます!」


あずさとペアを組んだ淀川葵も相手が受かっていると予想する。


「信じているわけじゃないけど、私もあいつは受かっているとは思うわ。チャンスウは性格はあれだけど容姿がいいし、口も回る奴だから…」


秋月美香はイ・チャンスウの事をよく思っていないが、一応面接は受かるのではないかと予想する。


阿久津は不合格予想したが大半の参加者はペアが合格すると予想している。


「俺は…不合格を予想します。アイツが必ず受かっているってわからないし」

「私も不合格予想で…」


田中明と坂下将悟はそれぞれ保身のために不合格と予想をする。


「ワタシは…合格と予想しまス。チャンさんは私のペアなので信じたいでス」


外人の参加者でペアを組んでいるマルガリータ・フェルスキーは合格を予想する。


「俺は…綾善さんは信頼できると思っているので。合格と予想します」


立花連はペアの綾善が合格と予想する。


「秋穂は未熟だけど、芯は強い感じだから受かってるんじゃないのかな?」

「ありがとうアリスちゃん…」

「優子さんも信じてあげなよ」


黒江アリスはペアを組んだ秋穂の事を信じ、そして優子に信じてあげる事を薦めた。


『さて、最後はあなた一人ですがどうしますか?』


殆どの参加者が予想を発表し、優子が清志の面接結果を予想するだけになった。


(清志君…。確かここに来る前にコンビニで働いていたって聞いてたから面接の経験はあると思うけど…)


清志とペアを組んで過ごした生活を思い出す。

彼は年上の自分を気遣って率先して家事を手伝ってくれたりしてくれた。


若く、早くに親に先立たれ、借金を残されても意思を折り曲げず前に進もうとするあの真摯な気持ちに優子は魅力を持ったし、それは恐らく面接官に対しても伝わるだろう。


「私は清志君が合格…、必ず合格すると予想します」

『了解しました。ではここまでの予想を並べましょう』


ホワイトボードにそれぞれのペアの予想が書かれる。


伊藤清志・東雲優子ペア:合格予想


東雲秋穂・黒江アリスペア:合格予想


小坂学人・阿久津正義ペア:不合格予想


天城あずさ・淀川葵ペア:合格予想


イ・チャンスウ・秋月美香ペア:合格予想


チャン・フェイヤン・マルガリータ・フェルスキーペア:合格予想


桝谷平太・島雄二ペア:不合格予想


中井洋子・太田真ペア:合格予想


白石健司・大久保直美ペア:合格予想


春野すばる・二条奏多ペア:合格予想


松山綾善・立花連ペア:合格予想


三上康平・神木仁ペア:不合格予想


宮野次郎・田中明ペア:不合格予想


萩野紫音・原幸広ペア:合格予想


桐島修・坂下将悟ペア:不合格予想



『では君たちの予想にペアを組んだ相手が応えれるか願ってくれ。面接結果は今から3時間後に行われる』


そう言ってせらぎねら☆九樹は通信を切った。


「清志君…」


スタッフに連れていかれ再び優子たちは個室に戻された。


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