「ふへへ、ふへへへへへへっっ! サキちゃぁん! サキちゃんやぁ〜!! さぁさぁさぁさぁ、私にスリーサイズを教えておくれぇ〜♪」
「い、嫌ですよぉ!」
「えぇ〜? せっかく赤スパ投げたのになぁ〜?」
「そ、それは……う、ぅぅぅ……」
身体での支払いを求める借金取りか? なんて思ってしまった。コラボ配信を明日に控えた今日、リハーサルとして家に呼ばれたと思いきやいきなりこれである。相変わらず、なんて残念な人なのだろう。顔だけは美人だというのに……。
「じゃ、じゃあちょっとだけ……おっぱい揉ませてよぉ。魅惑のGカップ、私にはないその爆弾おっぱいを、ぜひ経験しておきたいのだよぉ〜!」
「お、お兄ちゃん……たしゅけて……」
「はぁ。アカネさん、そろそろその辺にして────」
「じゃあ代わりにお義兄様のおち◯ぽ見せて?」
「はぁ!?」
あー、もうこの人だめだ。両刀だとは言っていたが、まさかここまで見境が無いとは。俺の貞操の危機を感じ取ってか、サキが渡すまいと俺に引っ付いてしまったじゃないか。いや、なんか赤面してプルプルしててめちゃくちゃ可愛いけどな? それとこれとは別問題だ。
「あー、違う違う。別にお義兄様のおち◯ぽをどうこうしようって訳じゃ無いんだよ? ただこういう職業柄、全然出会いとか無いからさぁ。見れる時に見ておきたいなぁ、って。おち◯ぽ」
「何回言う気だ!! おち◯ぽ連打はやめろ!!!」
「じゃあなんて言えばいいのさ!! おち◯ちん!? 御立派様!? ペ◯────(自主規制)」
「サキ、お前は聞くな!! こんなド変態に毒されちゃダメだぁぁぁ!!!!」
アカネさんがとんでもないことを口走る寸前でサキの耳を塞いだのでなんとか大事には至らなかったが、そういった言動は本当に謹んでほしいものだ。何の汚れもない純粋な天使に毒を吹き込むなんて、死刑ものだぞ。
なんて、そんな事を考えながらそっとサキの耳から手を離すと。アカネさんはその瞬間を見計らっていたかのようにニヤリと笑い、言葉を再開する。
「むぅぅ。でも、こういうのって案外言えない子の方がむっつりさんだったりするんだよ? ホラ、もしかしたらサキちゃんだって頭の中ではエッチなこと、考えてるかも……」
「か、考えてません!! やめてくださいよ!?」
「本当かなぁ? 私はサキちゃん、むっつりなんじゃないかなぁと思ってるんだけど。お義兄様が隠し持ってたエロ本を没収して、コッソリ一人で読んだり使ったり、してない?」
「そ、そんなこと……し、しししてるわけないじゃないれすか!? え、えええっちな本なんて、読んだことありません!! お兄ちゃんから没収したことはありますが、ちゃんと捨てましたから!!!」
お、おや? サキさんなんか動揺しまくってない? もしかして俺のコレクション達、実はまだサキの部屋にあったりするのか……? コッソリ一人で読んだり、つ、つつ使ったり……してるのか!?
「ふふふ、そっかそっかぁ。まあサキちゃんがそこまで言うなら、そういうことにしといてあげる。そっちの方が、萌えるしね」
「萌えません!!!」
「いや、萌えるな……色んな意味で」
「ちょっ!?」
おっとしまった。つい本音が。でも実際、サキが俺が何度も読んだ本を読んであんなことやそんなことをしていると考えると……って、ダメだダメだ。これでは俺までアカネさんと同レベルになってしまう。
「おっ、ほん。さ、話はここら辺にしましょう? 一発目からド変態のセクハラばかりでしたが、一応今日はリハーサルなんでしょう?」
「えぇ〜? 私はこのまま、サキちゃんと今後迎える″夜の方の″あれやこれやのために今から愛のリハーサルをしてもいいんだけどにゃ〜?」
「アカネさんと夜のあれやこれやなんて迎えませんから!! 愛のリハーサルなんていりません!! そ、そんなこと……女の人となんて、できませんから!!!」
「あんれぇ? 私、何をするかなんて言ってないんだけどにゃぁ。むっつりスケベなサキちゃんは一体、夜のあれやこれやと聞いて何を思い浮かべたんだろうにゃぁ。アカネお姉ちゃんに、教えてほしいにゃぁ〜♡」
うわぁ、最低だこのド変態。サキがむっつりなのをいいことに、カマかけやがった。あの言い方、想像できるものなんて一つしかないというのに。ド健全な俺ですら想像できてしまうものを、むっつりスケベが想像できないはずがないというのに……。
「ほらっ♡ ほらほらぁ〜♡」
「う、きゅぅ……あぅぅ……」
明日のコラボ、本当にこの二人は大丈夫なのだろうか。サキよりも、むしろアカネさんがキチンとキャラを隠し切れるのかが心配になってきた。