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第22話 彼氏専用ASMR1

 それからニ、三時間かけてサキをボコボコにした後、ようやくスマファザをやめて晩飯を食い終えると、サキはその後片付けへ。同時に俺は、シャワーを浴びに浴室へと入っていた。


「はぁ〜、疲れたぁ……」


 身体こそ動かしてはいないものの、元々目があまり強くない俺は、ゲームの画面を長時間見続けるのは中々辛いものがある。


 まあなんやかんやと言ってサキとやる分には楽しいから何時間でも出来てしまうのだが、終わった後にこうしてどっと疲れが襲ってくるのだ。


「でも、この後はいよいよ……だもんな」


 俺が風呂を上がった後は、おそらく入れ替わりでサキがシャワーを浴びるだろう。その後にお楽しみの時間が待っているわけだが、もう今からそれが楽しみでならない。


 サキのお風呂上がりでモチモチな太ももの上に頭を置きながら、優しく耳掻きをしてもらう。もしサービスで甘い囁き声なんかも貰えたら、もう幸福感で昇天してしまいそうだ。


「ぐへへ、ぐへへへへへっ」


 浴室で一人、気持ちの悪い下卑た笑みを浮かべた俺は、最高の気分で自分の身体を丁寧に洗うのだった。


◇◆◇◆


「ん〜、いいお湯だったぁ。……って、和人何やってるの?」


「何も?」


「あー、ごめん。質問の仕方を変えるね。なんで、床の上で正座してるの?」


 お風呂上がり。ツヤツヤの肌に下着とシャツ一枚というなんとも無防備な格好でリビングに戻ってきたサキを、俺は正座しながら迎えた。


 なんで、と言われれば……そうだな。犬で言うところの餌を待ちわびながらお座りして待っている状態に近いのだろうか。


「気にするな。それより……」


「あー、はいはい。そんなに焦らなくても耳かきは逃げませんよぉ」


 白い綿棒を指でクルクルと回しながらそう言ったサキに安堵の表情を向けると、早速横のソファーに寝転がるように指示を受ける。


「じゃあ、早速しよっか。……って、なんでそんなに不満そうな顔してるの?」


「……くらが、いい」


「?」


「膝枕がいいですッッ!!」


 俺が素直にそう叫ぶと、サキは顔を真っ赤にしてシャツの裾を押さえながら、それを全力で拒否する。


 お風呂上がりはやはり暑いようで、今のサキの下半身は太ももが半分以上も露出しているかなり小さな短パンのようなものを履いている。つまり、今膝枕をしようものなら俺の頭は直接肌に触れることになり、その感触をより鮮明に味あわれることになるのだ。


「私の太ももなんかより枕のほうが気持ちいいよ? だから早くソファーに……」


「馬鹿野郎ッッ!! サキの太ももの方が柔らかくてモチモチで……気持ちいいに決まってるだろうが!!」


「なんてことを大声で叫んでるの!?」


 触ったことなどないが、断言できる。


 あの若干太めで、それでいて真っ白なモチ肌の太もも。間違いなく一級品だ。きっとどんな枕だって、他の誰の太ももだってあれに敵うことはない。


 そんな太ももを枕にしながら耳掻きをしてもらえるチャンスを、みすみす見逃せるだろうか。いや、見過ごせない!!


「わ、分かったよ……でもせめて、ズボンは履かせて? 流石に直接は……」


「直接じゃなきゃ意味ないだろ!? 俺はサキの太ももの上に、直接寝転がりたいんだよぉぉ!!」


「ああもぉ! 分かった! 分かったからっ!! だから大声で駄々こねようとするのやめて!?」


 サキは、死ぬほど押しに弱い。今だってちょっと隣の部屋の人に聞こえるかもしれないなぁくらいの声で太ももについての熱弁を叫んだだけですぐに了承してくれた。こういうチョロいところも魅力の一つである。


「ほんと、変態なんだから……」


「失礼な。変態なのは俺だけじゃない。世の中の男子、全員が変態だ」


 俺が自信満々の顔でそう言うと、「開き直らないでよ」とサキは小さくため息を吐いていたが、気にはしない。事実、世の中にこんな最高の太ももを目の当たりにして冷静でいられる男など、存在するはずがないのだから。 


「でも、本当に期待とかしない方がいいよ? 普通に考えて、枕の方が気持ちいいに決まって……」


「いいからいいから。サキの太ももに勝る枕なんて存在しないって。ほれ、はようはよう」


「はぁ、なんでこんなことに」


 少し抵抗感のある顔をしながらも、やはり流石のチョロさ。俺が手招きすると猫のようにひょいひょいと近づいてきて、俺の目の前にちょこんと正座した。


「あ、あんまり変なこととかしないでよ?」


「おう。分かってるって」





 そうして一度立ち上がった俺は目の前に差し出された世界一の太ももの上に、そっと……頭を乗せた。

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