「サキ、その格好……!!」
「あんまり見ないでってば! 私だって本当は、水着着てくるつもりだったんだよ。でも高校の時のやつ、もうサイズ合わなくなってて……」
身体をもじもじとさせて赤面するサキの身体を改めて見ると、やはりとても綺麗だ。
もちもちとしていてシミなども一つもない色白な肌に、細い身体なのに少し太めでしっかりと質感のある太もも。そして何より、グラビアアイドルのように大きい二つの巨峰。ハッキリ言おう。最高だ。
「か、和人……視線、えっちだよ? 今おっぱいと太もも交互に見たでしょ」
「き、気のせいだ! というかサキだってさっきからチラチラ見てるのバレてるんだからな!!」
「っ!? そ、そそそそんなところ、見るわけないでしょ!?」
どこを、とは言っていないのに「そんなところ」なんて言って自ら知らないうちに自爆してしまうあたり、やはり可愛いなぁ。
まあでもこれ以上弄って拗ねられてもあれだし、ここら辺でやめておこう。
「まあその、なんだ。……めちゃくちゃ可愛いぞ、サキ。こんな可愛い彼女と風呂に入れるなんて、本当に夢みたいだ」
「そ、そう? 良かった……」
そう言うと、サキは椅子に座っている俺の背後に回り、胸元を手で隠しながらゆっくりと両膝をついた。
そして近くの壁にかけてある身体を洗う用のタオルを手に取ると、ボディーソープを染み込ませて両手でこね回し、泡を立てていく。
「後ろ、ゴシゴシしてあげるね。あ、前は自分でやってよ?」
「勿論だ。前までやられると色々ともたないからな」
「もたない? ……っあ!? ば、ばか!!」
俺の正面に設置されている鏡越しに背後でサキの顔が真っ赤に染まるのを見て思わずクスりと笑ってしまった。
サキは俺のことをムッツリだの言う割に、実はそういう知識をそれなりに持ち合わせている。本人は頑なに否定するが、こういう場面で具体的なことを言わなくても想像できてしまうようだから、いわゆる「隠れムッツリ」というやつだ。もしかしたら俺から没収した本も、捨てずに密かに読んでたりしているのかもしれないな。
「もぉ……じゃあとりあえず、始めるからね」
「ん。頼む」
「はぁい」
ぴとっ。泡に濡れたタオルが、俺の背中に押しつけられる。続いてそのタオルはゆっくりと上下左右に動きながら、背中を移動した。
「んっ……っあ。かず、とぉ……どぉ? 気持ち、いぃ……?」
「お、おぉ。めちゃくちゃ気持ちいいぞ……」
きっと本人は真面目に俺のことを思って頑張ってくれているのだろうが、力むたびに出る甘い嬌声が俺の気持ちを昂らせる。
一度そういう風に意識してしまうと中々意識を晒すことは難しくて……その色っぽい声は段々と、喘ぎにすら聞こえてくるようになってしまった。
「和人の、おっきぃ……かっこいいよ」
「はっ!? おま、何言って!? 大きくなんてしてないっての!!」
突拍子のない爆弾発言を浴びせられて思わず自らのモノを確認するが、なんとかまだその気配はない。いや、ぶっちゃけかなり危ういが、なんとか耐えている。
「え? これはどっちかって言うと大きい方じゃない……? 少なくとも私から見たらおっきくて、逞しくて……素敵だと思うんだけどなぁ」
「待て! それ以上は……!!」
コイツ正気か? 大きいとか逞しいとか……いつからそんな破廉恥なこという子になっちゃったの?
「というかサキ、なんか他の男と比べるような言い方してたけどさ……俺以外の、見たことあるのか?」
「え? しょっちゅう見てるけど?」
「しょっ────!?」
「でも、やっぱり和人の背中が……一番、落ち着く」
「へ!? あ、なんだ背中か。驚かせるなよ……」
いきなりコイツは何を言い出すんだと思ったが、どうやら背中の話だったようだ。本人は未だに何のことか分かっていないようでキョトンとしているが、俺は「気にしないでくれ」と言って無理やり誤魔化したのだった。
「んっ……んっ。こんな感じ、かな。背中流すねっ」
泡まみれで背中全体がぬるぬるになると、サキはそう言ってシャワーを手に取り、お湯で背中を丁寧に流してくれた。なんだか絵面に介護に近いものを感じるが、気持ちよければなんでもいい。
「よし、ピカピカ! はい、タオル。これで前もちゃんとピカピカにしてねっ♪」
「お、おぅ。そうだな」
俺はサキに後ろから見守られながらタオルで身体の前の方と脚をキチンと洗い、すぐにシャワーで流した。
なんだか後ろにいるサキはそれを見ながらずっと顔を赤らめていろんな場所を鏡越しにチラチラと見てきていたが、気づかないふりをしておくことにした。
「じゃあ、湯船浸かろ? ポカポカの湯船に二人で……きっと気持ちいいよぉ♪」
「え? おいおいサキさん。何か大事なことを忘れてないかい?」
「大事な、こと……?」
「ああ。とっても大事なことだ」
まだ俺たちが湯船に浸かるには、一つプロセスが足りない。俺の方はもう完璧だが、まだサキの準備が整ってはいないだろう?
「次は、サキが身体を洗う番だろ? お返しに背中、ちゃんと洗ってやるからな」
「………………えぇっ!?」
ただでさえ赤かった顔を更に真っ赤にして茹で蛸のようになったサキを椅子に座らせて、俺は背後でタオルを持ちながらニッコリと笑いかけた。