「えへへ、行ってきます」
「行ってきます」
「行ってきますぅ」
朝の登校に新メンバーが加わった。
新一年生の妹、エリカだ。
こうして右に巨乳のララちゃんをブラさげて左には縋り付いてくるエリカがくっついて登校している。
まったく両手に花とはこのことだ。
エリカも贔屓目に見ても美少女なので、かなり目立つ。
特に病院生活が長かったので、その透き通るような白い素肌はめちゃくちゃ綺麗だ。
ララちゃんもエルフ由来なのだろう肌が白い。
そうやって両方に美少女を侍らせて学校に行く。
目立ちまくりんぐ。
俺たちも二年生の新年度が始まった。
「おはようございます。担任の
「灯里ちゃん先生、今年もよろしく」
「はいそこ、先生をちゃんづけしない」
「だって去年も灯里ちゃん先生だったじゃん」
「まあそうですね。今年はもうちょっとお姉さんになろうと思ったのにぃ」
「残念でした」
「あははは」
ひとクラス四十人だ。クラス替えは五クラスなので八人ほどが同じクラス出身となる。
俺とアキラとハルカとララちゃんもこれはたぶん政府の要請で同じクラスになったのだろう。
今年は一組だった。
「海外からの留学生のララちゃんもいますので、みなさん仲良くしてくださいね」
「「「はーい」」」
先生は海外とか信じているんだろうか。
一応エルフであることは話していないが、どっからどう見てもララちゃんのお耳はエルフそのものだ。
「それでは自己紹介をお願いします」
順番に自己紹介をしていく。
「
そうそうハルカも帰宅部なんだよな。
俺以上に頻繁にエリカのところへ通っていたせいだ。
「アルクメニスタン出身のラーラミン・ハイッペロット・トワイライトです。ララちゃんって呼んでください。みんなそう呼ぶですぅ。帰宅部ですぅ」
そういえばそんな設定だったな、と思い出してみる。
よく覚えていたな。
まあララちゃんは記憶力もいいんだっけ。
日本語と漢字もすぐ覚えたみたいだし。
「
一瞬笑いが起きる。
ララちゃん係はいい得て妙だ。
わざわざ言わなくても同じ学年ならだいたい知っていると思う。
でも一応アピールしておくといいこともあるかもしれない。
クラスの係などを決めていく。
俺たちは特に係などにはならなかった。
アキラも今年は他の人が学級委員をやってくれたので免除されていた。
初日は午前中のみでさっさと帰る。
「見てみてツクシ」
「おおぉ、ほんとだ」
この辺にはまだ田んぼが残っている。
そのあぜ道のところにツクシが並んでいくつも生えていた。
「これがツクシですかぁ」
「そうだよ、こうやってつつくと」
俺がツクシの頭をデコピンの要領でつつく。
「花粉が飛ぶでしょ」
「はいっ」
うんうん、こういう長閑な話題もたまにはいい。
「このスギナの花なんだ」
「へぇ全然形違いますね。でもこの王冠みたいな部分は似てますぅ」
「そうだね、さすがララちゃん鋭い」
だいぶ暖かくなってきた。
それに従って服が薄くなりララちゃんのおっぱいがぽよんぽよんすると。
チューリップも咲いてきたし、アブラナ科の花々もよく見られるようになった。
今年はあまり雪も降らなくて暖冬でよかった。
もう上着もいらない。
春ワンピースとか着ている女の子を見るとホッとする。
「なあララちゃん」
「なんですかぁ」
「部活とかやってみる?」
「部活ですかぁ」
「うん」
今年度からはエリカも病院に通わなくていいらしいし時間が余る。
何かやってみてもいいんじゃないかと思ったのだ。
「そうですねぇ、まだ大丈夫ですよね」
「うん。申請期間は五月までだから」
四月中が一応の期限だ。ただしそのまま入らないで過ごして途中で入部とかもできるので実際には期限はない。
「スポーツは苦手だと学習しましたぁ」
そういって自分で胸を持ち上げる。
おっぱいがぽよんぽよんしている。
おおぉぃぃ、下校中の男子たちの視線がララちゃんに集中する。
確かにスポーツには不向きだろう。これ見れば一発で分かる。
想像できないほうがどうかしてる。
「じゃあ文系ですかぁ?」
「例えば新聞部。季節の記事とかも書けるよ。月刊壁新聞があるんだ」
今ではパソコン製作になったが壁新聞がある。
四月は決まって入学式の記事を取り上げていた。あそうそう、小さくだけどうちの妹の紹介記事もある。病院生活からの奇跡の復活ってやつ。
俺の妹は職員室では有名人だ。
あとは新任の先生の紹介とかもあった。好きな物とか得意なこととかが書いてあって、ちょっと先生に詳しくなれるので意外と人気だ。
「パソコン部。えっとうちのパソコン部は電子新聞部みたいな感じで公式サイトで情報発信をしてるんだ」
「あぁそれ面白そうですぅ」
「新聞部とも提携してて壁新聞の電子版も配ってる」
「へぇ」
誰それが何で賞を取ったとかも記事になる。
意外と創作活動とかをしている人も多い。去年の記事で一番びっくりしたのは大手ライトノベルの公募で金賞を取って書籍化した人がいる。
現役ライトノベル作家とかめちゃくちゃカッコイイ。
ただ肝心の名前は忘れた。
俺たちもララちゃんの異世界生活とかそのまま日記みたいなものを思い出してもらって冒険者生活を小説に起こしたらヒットするかもしれない。
「ああ小説とか書いてる文芸部とかもあるよ。ファンタジーに詳しい」
「いいですね。ファンタジー」
もちろんエルフにも詳しい。ララちゃんのほうが絶対詳しいけど。
こうしてしばらく文芸部に通ってみることになった。
さてさてそれから日曜日、今度は春といえば桜祭りがある。