無事に私たちはウルフを倒した。この世界には本や洋紙もある。
私ことトエは状況を紙にまとめてみた。
まずメンバーについて。全員が八歳前後だ。
リーダー格の私こと、トエ。
ピンク髪に水色の目だ。
火、水、風の三属性が使えて、土人形も使える。
(あ、基本四属性全部つまり俗にいう全属性使えるけど、これは公然の秘密だ。
転生者であるのも領主の娘であるのも秘密。秘密の多い女とかいうのはなしだぞ。)
私の使える魔法については後述。
次に隣のベッドで食事の席も隣のサエナちゃん。
金髪に緑の目。
孤児院では古株でかなり小さいころからお世話になっているそうだ。
私と一緒にヤギのミルク絞りがお仕事だった。
魔力量小、水属性。
ウォーターの魔法が使える。
その次はシリスちゃん。一個下。
茶色髪に茶色い目をしている。
ちょっとクールで口数が少ない。孤児院内にお姉ちゃんがいる。
ヤギのミルク絞り仲間だ。
魔力量中で風土属性。
ウィンド、アースの魔法が使える。
その次はミリアちゃん。
背丈が小さい。短い黒髪、黒目。猫耳、猫尻尾の生えた猫人族。
魔力量微、強火属性。
獣人さんは魔法適性があることが少ないので、強火は珍しい。
ファイアの魔法を使う。
おまけとして、エミリーさん。年齢は二十五歳くらいかな。
冒険者ギルドにいたお姉さんだ。C級冒険者。
普段は別のパーティーに所属しているけど、たまたま非番で付き合ってくれた。
魔力量小、火属性。ファイアの魔法を使う。
それから魔法について。
私は探索魔法、リソース・サーチをよく使う。
これは何といっても採取品などを探すのに便利だ。
近い範囲の資源の微量な魔力を探知する。
これとは別にエリア・サーチがある。
こちらのほうが魔力消費量が多い。
探知範囲が広い代わりに、強い魔力しか引っかからないため、主に魔物を探すのに使用する。
それから自分は使えないけど逆探知リバース・サーチといって他の人が探知魔法を使ったのを感知するパッシブスキル的な魔法がある。
攻撃魔法としては、よく見かけるのはファイア・ボールだろうか。
ファイアよりも大きな火の玉ができる。
それから私は「土人形」と呼んでいる魔法がある。
土の人形を作って制御する魔法だ。
じゃあ次、モンスターについてもまとめておこう。
出会った順だけど、どちらというと思い出した順だね。
まずはスライム。魔核を取り除くと死んでしまう。
魔核は宇宙みたいな色をしていて綺麗だ。一個銀貨一枚。
次はホーンラビット。一角ウサギのことだ。
茶色い兎で、角が売れる。お肉も売れるよ。
お肉は食べることが多い。味は淡泊だけど、けっこう美味しい。
魔核は火属性なのか赤色をしている。
次はノリス。野リスだね。
これは動物で魔物ではない。他にヘビなんかもいる。
カワイワガニ。沢にいたカニさん。
食べると出汁が出て美味しい。
フォレストウルフ。外の森に棲んでいる。
縄張りがあってその中をいつも移動している。
群れで行動しているので初心者には危険だった。
肉は食べ応えがあって美味しい。
綺麗に取れた毛皮は高値で売れる。
コボルト。
犬の顔をした亜人のような魔物だ。
言葉は通じないし攻撃してくるから敵とみなされてる。
食べたりはしない。
ビッグスラッグ。オオナメクジね。うん……。
食べるとアワビのように美味しい。温和で生きたまま連れて帰る。
ブラッディベア。おっきいクマ。とても強いらしい。
オーク。実物は出てこないけど私たちはオーク革の装備をしている。
外の森の奥にいるらしい。
ここからは植物編。
ホワイト草。葉っぱが白いのが特徴のポーションの材料。
あちこちに生えている。やや日陰に多い。
ブラウンシメジタケ。これは食べると美味しいキノコだ。
サルノコシカケ。滋養強壮によく。薬の材料になる。
大きいものはかなりの値段で取引される。
キイロヒラタケ。これも食べると美味しいキノコ。
サクラ草。ポーションの添加剤。
そこそこの値段で売買される。
春にサクラ色の花を咲かせる。
キイチゴ。木になってる苺で木苺。
赤い実をたくさんつける。食べると美味しい。
夏ミカン。黄色い大きなミカンだ。
食べると美味しい。甘酸っぱい。
その他、鳥馬ラミーニャという家畜がいる。
速く走る鳥で、荷運びに使われる。
もちろん馬車を引っ張っている普通の馬もいる。
こうしてみるといろいろな物に出会ってきたと思う。
まだまだ出会っていないモンスターも多い。
魔法も使っていない種類が沢山ある。
この世界は広い。もっといっぱい冒険したらたくさん色々なことを知れるだろう。
なんだかそう思うと、遠くまで行ってみたいかもしれない。
でも孤児院生活も満足しているので、迷ってしまう。
地理とか魔物、植物など冒険者に必要な知識をこうしてメモして本のような簡易的な冊子にしてまとめてどれがいくらぐらいという風に書き記したら便利かも。
今までそういう難しい専門書はあったけど、冒険者ガイドみたいなものは見たことがない。
なるほど「トエの冒険者ガイド」か。
そういうのも悪くはないかもしれない。
わたし、えらい。えっへん。
こうしてまとめたものをみんなに見せた。
「お、なんだこれトエちゃん。すごいね」
「見る」
「私にも見せてにゃ」
みんなで回し読みをして今までの思い出を語った。
それぞれの項目について、みんなとの大切な記憶がある。
一番大切なのは、一緒に冒険してくれるお友達なのかもしれない。
私たちの冒険は、これからだ!