道中は特になにもなく、デルタ町まで戻ってきた。
私たちはマロンと別れて、中央の露店を見に行くことにする。
道中のお店は、ほとんどが閉まっていて、閑散としている。たまにプレイヤーらしい人が歩いている程度だ。
今日はゲーム内時間で日曜日なので、普通のお店はお休みだった。
沢山あるわけじゃないけどユーザーの露店も出ていて、色々なものを売っているようだ。
薬草の露店も結構でていた。あとはウサギにオオカミとタコにトカゲの肉と皮。
一か所、焼肉屋さんをやっている人もいるようだ。携帯料理セットで焼くみたい。
味は塩
「トカゲの焼肉3つください」
「はいよ。焼けるまで少し待ってね」
「そうだよね。5時間かけて干肉にするぐらいなら、焼けばいいんだよ」
「ははは。そういうことです」
「露店だと串が問題だと思うんだけど、どうしてるの?」
「デルタ町では雑貨屋で木の串も売ってましたよ」
「あらほんと? 東村では売ってなかったから」
私と店主の女性と話していると、クルミがびっくりして割り込んできた。
「そ、そんな、わたしの木串作成の意味がないじゃん!」
「そういえば、たくさん作ってたね」
「よければ、買い取りますよ」
「あー。ほんと? じゃあお願いしていい?」
「何本あるのですか?」
「えっと50本ぐらい。後半はペンダント作ってたから」
クルミと店主がものを見て、値段交渉をして売買成立したようだ。
50本セットで1,000セシル。一本20セシルか。
このお金はクルミのお小遣いとなった。
「あのー。わたしトカゲ串もう一つください」
「はいよ、まいどあり」
トカゲの肉串君は1個200セシルだった。
追加分は自分で支払うみたいだ。お小遣い少ないのにえらいね。
ちなみにトカゲ肉ドロップ1個から3人分作れて、ギルドでトカゲ肉納品は300セシルだ。
ちょっと高い気もしないでもないけど、料理セットと串と調味料とかの雑費もかかるから、利益を考えるとぎりぎりだろう。
味はなんだろう食べたことのない肉だったけど、そんなワイルドな感じはしなくて、しいて言えば牛肉が一番近い。
そんなに固くなくて、肉汁もあって、塩も効いてて美味しい。
NPCにしか見えない売り子の女の子が少量ポーションを販売していた。5級ポーション1個500セシル。村の販売額と同じだ。
ついでに声を掛けてみよう。
「どう? ポーション売れる?」
「え、あ、はい。今日はたくさん作ったので、たくさん売れてもう少ししか残ってないです。ごめんなさい」
「そうなんだ。ちょっと相談なんだけど、私の作ったポーションの転売してくれない?」
「え、値段次第ではいいですよ。最近冒険者様が増えて、売り上げが急増してるんです。製造が追い付かなくて」
彼女はメルミちゃん13歳。薬屋さんの娘さんだそうだ。
私の作ったポーションちゃんたちを彼女に見せる。
「見たことないポーションですね」
5
なお彼女が作っているのは以前に村の雑貨屋で売っていたのと同じもの。
●5級ポーション
渋みがある。一番レベルの低いポーション。はっきり言えば不味い。
種別:ポーション、飲み物
レア度:1 ランク:2
HP回復:1分で50上昇
で、私のは以下の感じ。ツグミ、ブドウも効果は同じだ。
●5級ポーション(渋み控えめ)
HPが回復する。通常より渋みが抑えられていて、飲みやすくなった。
種別:ポーション、飲み物
レア度:2 ランク:4
HP回復:1分で70上昇
「ちょっとランクと効果が高いみたいですね。それに味がいいなんて珍しいです」
「でしょ。自信作だよ」
「分かりました。味なしは1つ1,000セシル。味付きは1つ1,300セシルで買い取ります。売るときは1,200と1,500セシルにします」
「っえ、結構高く見積もったね」
「ランクも高い上に美味しい。私たちではなかなか作れません。やはり神の使いの冒険者様だからですね」
「数多いけど大丈夫?」
「はい、なんとか」
普通のを51個ツグミが37個ブドウが37個で合計147,200セシルに化けました。
わーい、大金だ。
全部露店に並べるのかと思ったら、20個ほどだけ置いたらあとはアイテムボックスへしまったようだ。
「くやしいですが良い取引ができました。またお願いします」
「こちらこそ、ありがとう。また作って見かけたら持ってくるね」