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65. ボス後の処理


 ボスに勝ちみんなで、よろこび合う。

 ドロップも拾っておいた。

 レアドロップみたいなのも期待したけど、まったくない。

 えーって感じがしないでもないけど、現実を直視するしかなかった。


 ボスの部屋の奥に、いつの間にかワープポータルらしき光の柱が出現していた。


「あれ、ポータルだよね?」


 一応、私は確認する。


「あー。あれ、ああいうのよくあるよ。ダンジョン歩いて帰るとか面倒くさいじゃん。ゲームなんだし」

「まぁそうだけども」

「いいじゃないですか。ワープポータルで帰りましょう。楽ですわ」

「ほら、サクラちゃんも賛成してるし、ポータル行こうか」


 全員でポータルに乗ると、景色が暗転して、浮遊感が少しある。

 再び光が戻ってくると、そこは豪華な屋敷の庭にある東屋みたいな場所に出現した。


「どこここ」

「さぁ?」


 クルミと私が疑問に思う。


「ここは、領主館でしょうね」


 さすがアルク知ってるらしい。


「そうなんだ」

「ほら、門番が走ってくるよ」


 確かに門番が2名も走ってくる。デルタ町についたときにいた、門のところと同じような感じの兵士だった。


「失礼します! ボス攻略パーティーの人たちでしょうか?」

「はいっ!」

「さようですか。では領主様が時間を見て、なるべく早くお会いになります。建物の中でお待ちください」

「そうですか。案内、お願いします」


 私たちは門番に案内されて館の中に入っていった。

 豪華な建物は、さすが領主様という感じがする。

 応接室に入れてもらい、紅茶とクッキーを出されてしばらく待った。



 扉が開くと、豪華なドレス姿の女性が一人入ってくる。

 歳は30歳ぐらいだろうか。歳の割には若い感じの人だ。


「わたくしが、エレノア・K・デルタです。以後、お見知りおきを。神の使いの人たちもついにダンジョン攻略まで来たのですね。これから忙しくなりそうですわ」

「あはは」

「では、さっそくですが、ボス攻略の金貨を見せてください」

「はい」


 私たちは金貨をアイテムボックスから出して見せる。


「いいでしょう。ではこちらに名前を記載してください。それと記念硬貨を4枚差し上げましょう。これは商人などワープポータルを使う人にあげてください。ポータルの通行証になります」

「「「ありがとうございます」」」


 ポータル通行証の代わりの金貨だった。

 本人分とあと3人、知人を紹介することができるということになっている。

 使い回すとかするとどうなるかは知らないが、どうだろうか。


「あの、金貨を使い回すことは……」

「別に構いませんわ。一度に1人の攻略者に対して4人まで、という決まりさえ守っていただければいいんです」

「そうですか。ありがとうございます」

「いいえ」

「他には、質問などありますか?」

「いえ。あ、ポータルはどこに?」

「それなら、屋敷の正面すぐにありますよ」

「あ、分かりました。ありがとうございます」

「他には?」

「いいえ」

「では、よき旅を。神にお祈りさせていただきます」

「ありがとうございました」


 あー疲れた。口には出さないけど、偉い人と会談とか緊張する。

 私たちはそのまま、屋敷を正面ゲートから出た。


「これがポータルか」


 そこには地面に書かれた魔法陣と、その中央にある大きな魔法石が澄んだ青色を輝かせていた。

 しばらく観察していると、商人の人が金貨をゲート管理の人に見せて、ポータルで飛んでいく。


「よし、私たちも飛んでみよう」

「おお」

「今すぐにかしら?」

「うん」


 何事も挑戦だ。帰ってこれないということもないと思う。たぶん。

 商人と同じようにゲートの人に金貨を見せて


「王都へお願いします」


 そう言ったらすぐに景色がまた暗転して復活したら、そこは王都だろう大都市のど真ん中、テレポート場だった。


 新しい町だ。ついに、やったんだ。ここまできた。なんだか景色を見て、感無量、うれしさががぜん湧き出てくる。

 ボスを倒したときは、なんだかぱっとしなかったけど、これはすごい。

 ボス攻略の実感をかみしめた。


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