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39. ポーション量産計画


 薬師の師匠は、村長もニコライドおじいさんもいるから、他にも何人もいると思われる。

 ただ、そこまでたどり着く人が圧倒的に少なかった。

 このゲームでは、ただクエストを受動的に処理するだけではだめで、何か自分からお願いしたり、人間としてちゃんと接しておかなければいけない。

 そうしないと生産系のスキルを取得するのは難しいみたいだった。


 警ら隊がお使いから帰ってきた。

 薬草200個、空き瓶60個しめて、21,200セシル払う。

 薬草は今回だけ特別で、今度から大量に欲しい時は注文制と言われたそうだ。

 スポットでは30個程度しか売ってくれないとのこと。

 ツグミは全部で60個ぐらい手元にあり、ポーション1つで4つ使う。

 渋み控えめを14個、ツグミ味を13個、ブドウ味を13個作ることにした。


 ヒカリちゃんが起きてきて、調薬作業を眺めている。


 クルミとサクラちゃんは、別の部屋でペンダント作りに夢中だ。


 ツグミの実も、薬草も足りない。

 ツグミは良く分からないけれど、警ら隊曰く雑貨屋で売っていない。

 おじいさんに相談したら、どちらも知り合いの農家が専門に栽培しているので、掛け合ってくれるそうだ。


 水をぐつぐつ沸騰させ、冷ましている間に、葉っぱをすりつぶす。

 そして、葉っぱをお湯に入れて、抽出する。


 ヒカリちゃんが途中から手伝ってくれた。

 センスがいいみたいで、可愛い鼻歌を歌いながら、薬をすりつぶしてくれた。


 ツグミ味にするには、後でツグミの実をすりつぶしてポーションに混ぜて、コス必要がある。

 ブドウ味もだいたいは同じ作業だ。


 忘れていたスキル確認をする。薬師:Lv5のまま、釣り:Lv2そして園芸:Lv2に上がっていた。


 ヒカリちゃんに確認すると「薬師:Lv1」「鼻歌:Lv3」だった。

 鼻歌とかスキルなんだ。どんな効果か気になる。

 ヒカリちゃんに鼻歌について確認する。

 しかもすでに、過去にも歌っていたようでLv3になっている。


 知識データベースにはスキルについても記述があった。

 でもあまりはっきりしたことは書かれていない。


 鼻歌は『上手な鼻歌は術者および周囲のキャラクターの集中力を高める効果がある』と書かれている。

 集中力とは、なんだろうね。命中補正とかかな。生産ならランクが上がるとかだったらいいな。


 私の補助という扱いにちゃんとなっているらしく、ヒカリちゃんは初めてだけれど、ランクは4のままだった。

 それとも、ヒカリちゃん補正なのか? そうなのか?


 おじいさんの知り合いの農家との交渉は警ら隊の人たちにお願いした。

 何件か回ってもらった。

 ツグミの実100個@70セシル、薬草400個@70セシルで融通してもらい39,000セシルの出費。

 額がちょっと高いのは、ツグミの木の苗と薬草の種も一緒に売ってもらえたから。

 空き瓶も追加で60個買ってきてもらった。こちらも1,200セシルの出費。


 ヒカリちゃんと私で協力してポーションにする。

 追加分はツグミ味を25個、ブドウ味を25個、普通のを残り30個新しく作る。


 その間に、警ら隊にまたお願いして、苗と種を畑に植えてきてもらう。

 おじいさんが、空いている畑があるから、使っていいと言ってくれたので、私たちはただで畑を借りた。

 収入ができたら、おじいさんたちに還元しようと思う。


 どうやら、この世界では、植物は驚くくらい早く育つという。

 NPCの畑は普通で、プレイヤーの畑だけ1日とかで育ったら不公平だろう。


 ブドウも1年に1回の収穫ではなく、何回も取れる。


 うわ大変そう。農家舐めてました。


 まだ、人がいないので、すぐに売れないのが問題だけど、今日は全部で120個のポーションを量産した。


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