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37. 薬師のレッスン


 畑からの帰り道に、城門すぐ外側の林になっている場所を散策した。


「これが落雷草。麻痺まひ解除薬になる。こちらがマヒル草。毒消しポーションになる」


 おじいさんは、林に生えている草を次々名前を言っては、用途を教えてくれた。

 私たちはメモを取る。と見せかけて、知識システムが自動で記録してくれる。


 このゲームでは、一度教わったことは、自動で知識システムに内容が記載される。

 項目別になっていて、とても見やすく、絵というか写真なども掲載されていて分かりやすい。

 そのかわり、採取ポイントへ行っても、マーカーが出たり光ったりしないので、採取する前に、その草を自分で識別する必要があった。

 間違った知識を教えられた場合どうなるかは、まだわからない。


 公式掲示板やwikiで読んだ内容も、脳波スキャンされているらしく、ある程度記載されていた。


 ここは領主様の林で、勝手にとってもいいものの、取りすぎると怒られるとか。

 自分で消費する分にはばれないが、大量にギルドに持ち込めばすぐばれる。


 薬草類とキノコを採取して、町へ戻った。


 農業ギルドへ行って、トマトとジャガイモの代金を受け取った。

 収入を得て、ニコライド夫婦の生活は少しは良くなるだろう。


 もう夕方になってしまったので、薬草類で、乾燥させるものは陰干しだけする。


 美味しい夕ご飯を頂いて、各自部屋へ戻った。


 クルミとサクラちゃんは、今日も部屋でペンダントを作っている。

 今日は工夫をするのだとか、違うものを作るとか言っていた。


 私は掲示板とwikiをざっと眺めてから、数学の勉強をして過ごした。

 リアルで私は浪人生だった。

 こうして毎日少しずつでも忘れないように勉強もしている。

 6倍速で勉強したら、ものすごいたくさん勉強できるね。

 2人も勉強はしているらしい。全然そんな気みせないけれど。


 家族や友人と直接通話は、6倍速の関係上無理だけど、テキストチャット系ソフトがあるので、問題なかった。

 お母さんも始めようかしら。とか言っているが、今からでは入手不可能だろうし、結構なお値段なので、つらいと思う。



 15日目。

 今日も美味しい朝ご飯、ジャガイモのポタージュとパンとサラダだ。


 私は朝から、薬草類から作る各種耐性ポーションや耐性薬を作る。

 空き瓶はおじいさんに頂いた。


 おじいさんは意外と指導は厳しくする主義らしく、ビシバシ指導された。


「擦り方がなってない。もっとこう、均一になるように心がけて外と中側を交互に回すんだ」


 各種ポーションはどれもランク3だった。

 最後に5級ポーション(渋み控えめ)を作ることになった。


「なるほど、60度で淹れるのか。ポーションは熱湯で作るのが常識だったから、盲点だったな」


 私は、おじいさんにオリジナルレシピを見せて、認められたようだ。


 ●5級ポーション(渋み控えめ)

  HPが回復する。通常より渋みが抑えられていて、飲みやすくなった。

  種別:ポーション、飲み物

  レア度:2  ランク:4

  HP回復:1分で70上昇

  満腹度水分:4上昇


 はじめて、ランクが4になった。一連の調合作業でスキル薬師もLv5になった。

 おじいさんの指導の賜物ですね。

 成果が目に見えるって本当に素晴らしい。やりがいがある。


 一口飲んでみるおじいさん。


「渋み控えめ、というか渋みはほとんど感じないな。むしろほのかな甘みがある。不思議なもんだ」

「そうでしょう。私頑張ったよ。アイディアはサクラちゃんだけど」


 ポーションは、あまりNPCには需要がない。

 もちろん冒険者をしているNPCも存在していて、そういうキャラには需要があるはずなんだけど、人口比でいえば、そこまで多くない。


 レシピは秘密にして、商品だけ卸すようにすると良いと指導された。

 それが職人の世界の常識だそうだ。


 ついでに、調子に乗って、違うポーションも作る。


 ●5級ポーション(ツグミ味)

  HPが回復する。ツグミ味で飲んでもおいしい。

  種別:ポーション、飲み物

  レア度:3  ランク:4

  HP回復:1分で70上昇

  満腹度水分:4上昇


 ●5級ポーション(ブドウ味)

  HPが回復する。ブドウ味で飲んでもおいしい。

  種別:ポーション、飲み物

  レア度:3  ランク:4

  HP回復:1分で70上昇

  満腹度水分:4上昇


 ツグミはストレージに残っていたのを利用。

 ブドウ味には、おばあさん作成のブドウジャムを入れた。


「なかなかやるじゃないか」

「私頑張ったよ。やっぱりアイディアはサクラちゃんだけど」


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