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13. 平原とプリン


 デルタ町方面は平原が広がっている。

 真ん中を、地面が茶色になっている道が蛇行しつつ、向こうの見えなくなる所まで続いている。


 どうも、掲示板、wikiによると、北東の森はLv1の時点で行ってみて「敵が少ないので、効率が悪い」と書き込みされていて、多くのユーザーは、町側の平原で戦っていたようだ。

 敵は「草原ウサギ」で茶色の毛をしている。

 もう一種類、スライム系モンスター「プリン」がいる。


 周りが見渡せる平原では、何人ものユーザーたちが散らばって、戦闘しているのが見える。

 私たちは村の畑から出てすぐに、モンスターをさっそく発見する。


「これはこれは、どう見ても『プリン』ですね」

「わーい。キャラメルが上にかかってるよ~」


 そうなのだ。プリンは横から見ると台形の形で、上が平らになっていて、半透明の黄色。

 側面に目と口が付いている。

 そして、一番上に茶色い部分があり、どう見てもキャラメルプリンだった。

 上下にプルプル震えている。


「おいしそうだね」


 いつもの陣形で、戦いに挑む。

 サクラちゃんが、さっそく盾を構えつつ、ナイフで攻撃する。

 私とクルミも攻撃を開始する。


 プリンはナイフや槍で攻撃しても平気な顔をしている。

 逆に、私の魔法を当てると、目が><になって、ビクッとするので、魔法が弱点のようだ。


 しばらくすると、プリンがいきなり火魔法を使ってきた。

 魔法はサクラちゃんの盾に真正面からぶつかって砕けたので、ダメージは特にない。


「魔法に弱くて、魔法攻撃キャラなんだね」

「そのようですわ」


 プリンは、ウサギより防御かHPが高いようだ。

 私は、いつもより魔法攻撃を気持ち多めに攻撃する。

 その甲斐あって、プリンをやっつけることができた。


 ドロップアイテムはと。


 ●プリンの欠片

  とくに使い道は分かっていない。

  種別:素材

  レア度:1  ランク:2


「なんだろうこれ」

「さー。なんだろうね~」

「食べられるのかしら」


 サクラちゃんが変なことを言う。

 確かにプリンだったら食べられるかもしれない。

 サクラちゃんはちょっと舐めてみる気らしい。


「味は、特にしませんわ」

「……そうなんだ」


 その後も、プリンと草原ウサギを倒していく。

 ウサギは森ウサギと、特に違いがないように感じる。


 草原には、薬草とタンポポ草、そしてキノコは生えていないようだ。

 代わりに1本だけ、小さい赤い木の実がなっている低木をみつけた。

 知っている植物でいうなら、赤い色のブルーベリーという感じだ。


「これ、ぜったい食べられるよね」


 さっそく1つだけ採取して、アイテム表示を見てみる。


 ●ツグミの実

  美味しい木の実。ほのかな酸味と甘みがある。

  種別:食べ物

  レア度:2  ランク:2

  満腹度:1上昇


 あれ、知らない植物は「?」になるんじゃなかったのかな。

 良く分からないシステムだ。まあいいや。

 まず3つぶ収穫して、3人で食べてみる。


「んー。なんというか、味はイチゴ系かな?」

「そうですわね。ケーキとかにするとよさそうですわ」


 例によって木に実っている半分40個程度を採取する。


 その後もプリンと平原ウサギと戦闘しつつ移動する。

 しかし夕方になっても、他のツグミの木は見つからなかった。


 雑貨屋で「ウサギの毛皮茶色」x35を売却し3,500セシル増加。

 プリンの欠片x20なんだけど、雑貨屋では0セシルだったので、ストレージの肥しになっている。


 また村長の家にお邪魔する。

 うさぎの肉35個を干肉に加工する。

 これは私の仕事だが、今日はサクラちゃんが手伝ってくれた。

 たった15分でカラカラになるのも不思議だ。そのへんはファンタジーである。

 クルミは何かごそごそ1人でやっている。


 お肉が干しあがるころ、クルミが伸びをした。


「んー。できたぞー」

「なんでしょう? 何ができたのですか?」

「えー。それはまだ、ひ、み、つ。ご飯食べた後ぐらいに発表するぴょん」


 できた干肉105個を私は回収して、村長宅を後にする。


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