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28話 大グモ


「ステファンさん」

「あい」

「マッサンさん」

「あいあい」


 俺は適当に返事をする。まったり機織りをして2日ぐらい経った後だった。

 相手はつるっぱげの40ぐらいの日に焼けたいい感じの人だ。


「あのですね、俺たちマッサン機織り組なんですけど」

「ちょっとまって、その名前なんなの」

「機織り組ですか?」

「その前」

「マッサン機織り組ですか?」

「そうそう。それなんで俺の名前ついてるの?」

「だってこの機織り機、マッサンさんのじゃないですか、やだなあ」

「そうだね。で名前はいつの間に」

「いや、結構前ですよ」


 確認したら、初日だった。知らなかったよ。


「で用件は?」

「そうでした。レベルがもうちょい行ってる人たちはですね、今度、森へ行ってサイレントスパイダーをですね」

「ああスパイダーね」

「ご存知でしたか」

「いや知らない」

「あっはい、そのスパイダーをテイムしようという作戦でして」

「すでにテイムした人はいないの?」

「まだ目撃情報はないですね」

「その前人未踏のテイムをしに行くと?」

「そうです」

「で、なんで俺に聞いたの?」

「一緒にどうですか。ぜひ、テイムの知恵を出してほしくて。あとリーダーとして何となく、それから運が高そうなので、いるとプラス補正かなとか適当に」

「適当なんだ」

「あっはい」

「まあ、いいんじゃないですか、ご主人様」

「ちょ、まあ、いいか」

「はい、もちろんいいですよね。ご主人様」


 アカリが割り込んできて勝手に承諾した。

 いいのかよ。ホイホイくっついていって、足手まといとか勘弁願いたいんだけど。

 もちろん俺のことだ。アカリではない。

 むしろアカリはヒーラーとして便利だろう。しかし俺は違う。


「まあいいじゃないですか。ユーザーイベントみたいなものです」

「なるほどユーザーイベントね」

「そうです」

「まあいいか」

「はい」


 まるめ込まれた、というかまあいいや。

 俺はゲーム内では無職。ニート。行き当たりばったりが人生というものだ。あはははは。




 草原を進んでいる。全部で6人だろうか。

 このゲームではパーティーの最大数は何人だったかな。そんな細かい仕様までいちいち覚えてるわけないやんけ。

 パーティーとかアカリとしか組んでないわ。

 とりあえず全員を入れることはできたので、6人以上だろう。サポートAIはカウントされてテイムモンスターはカウントされないみたいだけども。

 ほうほう。テイムが入らないということは、最大で12人分まではいけるということだな。

 例えば吸血鬼のモンスターを鞭打ってテイムとかすれば、いひひひ。


「あ、ご主人様が悪いこと考えてる顔してます」

「え、そんなことないよ、みんなの前で何言ってるのかなこの子は」

「えーだってぇ」

「極めて健康的です」

「健康的??」

「あ、違った健全的です」

「ああ健全的ね、ふーん」


 周りの俺たちを見る目が痛いじゃん。ほらアカリどうしてくれる。

 非難の視線をアカリに向けたら、静かになった。ほら俺が正しい。


 とにもかくにも、草原を抜け、森に入った。


「俺ここから先、始めてだわ」

「では一応、みんなで周りを固める感じでいきます」


 つるっぱげおじさんがカッコいいことを言って、俺たちをガードする陣形になった。

 なるほど、これは頼もしい。

 ちなみにテイムモンスを連れているのは俺だけの模様。




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