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24話 ウサギ肉の燻製


 シルクのパンツは思ったより高かった。

 イモムーの糸は空き時間とかに、それなりに回収している。


 暇になった俺たちが何をするかだよな。

 正直、鍛冶というのもちょっとだけやってみたかったのは本当だった。

 ただ炉が高いのはいかんともしがたい。


 切ってきたスギの木が、2本丸々入っていた。


「スギの木、何かにならないかな」

「そうですね」

「そうだ。あれやろう、燻製」

「燻製ですか。でもスギですよね」

「まあね、たぶん大丈夫」


 こうして噴水広場のうち、一番空いてる場所を選んでその真ん中に陣取る。

 そしてスギの木を出して枝打ちをしていく。

 その枝を短くして、たき火を作った。


 ウサギ肉は売れ残っていたので、それを使う。

 イモムシ肉は、ちょっと食べるのは躊躇するしイモムーもいるので、やめる。


 スギの木に火をつけると、思ったより煙が出る。

 その火の周りに、杉の枝に刺したウサギ肉を並べて煙に当てる。

 ウサギ肉には、ついでに塩コショウで味付けもしてある。

 広場から煙が昇って、けっこう目立ってしまった。


 ────────

 ▽ウサギ肉の燻製

 ────────


 ふむ。それらしいものができた。

 燻製肉とか、なんかスローライフっぽい気がするよな。

 ビバ、スローライフ生活。


 さっそく一口。

 うん、淡白なささみ系の肉に、煙の匂いがついて、それっぽくなってる。思ったよりもうまい。

 ジャーキーとも少し違う。


「うまうま」

「はい、おいしいです」


 とりあえず、あるだけのウサギ肉を燻製にした。

 どうせまた戦闘をすれば、ウサギ肉なんてすぐ溜まるし、露店で買ってもいい。


 せっかくできたので、売る。


「燻製、ウサギ肉の燻製、いかがっすか」


 味見をしてもらっても、それなりに好評だ。

 匂いが苦手という人も中にいるみたいけど、だいたいの人はいい感じらしい。


 こうしてウサギ肉を売って、また儲かった。



 またイモムーの吐いたシルクの糸がたまってきたので、機織り機を使って布を織った。

 俺は見てるだけだけど。


 そして、俺用の装備を作った。


 普通だけど、光沢があって美しい。ぶっちゃけ白くてちょっと恥ずかしいが、まあ悪いものではない。

 アカリのメイド服は俺の服よりも布も必要だし、染め物もしないとしっくりこないので、作っていない。

 とりあえず、早速装備してみる。

 現在のステはっと。


 ────────

 ▽ステータス

 ────────

  ステファン・マッサン

  男性 人族

  無職

  Lv 4

  HP 130/130

  MP 130/130

  攻撃力 5 +13

  防御力 5 +14

  魔攻力 5

  魔防力 5 +11

  残ポイント 3


  バトルアックス 攻撃力+13

  New クローラーシルクの冒険者の服 防御力+6、魔防力+4

  New クローラーシルクの冒険者のズボン 防御力+6、魔防力+4

  布の靴 防御力+2、魔防力+1

  白いミサンガ 魔防力 +2


  スキル:打撃Lv1、料理Lv2、栽培Lv2、伐採Lv1、昼寝Lv1

 ────────


 どうだろうか。前よりそれなりに強い。

 アカリ特製、白いミサンガも装備中です。

 ああ、イモムーをゲットする直前くらいにレベルも4になってる。

 このゲーム、ポイントは1ポイントしかもらえないので、序盤では装備更新によるステータス向上がけっこう効いてくるようだ。


 機織り機の横で雑談をする。


「そういえばさ、ログインボーナスでガチャチケもらえるなら、リセマラすればたくさんガチャ引けるんじゃ」

「それがですねマッサンさん、キャラの再作成をしても1日にアカウント当たりで1回しか引けないんで、リセマラはだめなんだそうで」

「なるほど、そりゃそうか」

「そりゃそうですよ、交換できるんで、ゲーム内がガチャ景品だらけになっちゃいます」

「だよな」

「はい」


 ちなみにキャラクターの作成は1人につきで1キャラまでだ。今のところ。

 名前の変更や見た目の変更とかもできない。

 あーあ、髪型は変更することができる。ゲーム内で切ったり、設定で伸ばしたりできるらしい。

 あとはフェイスペイントのたぐいもできる。ほっぺに星やハート、猫のひげみたいなペイントができるけど、あんまりしている人は少ない。


 それにしても燻製肉とか、リアルでは食べたことなくて、こっちで初めて食べたけど、なかなかおいしかった。


 追加で狩りにいき、イモムーを戦闘させる。

 イモムーとウサギはイモムーのほうが固いらしく、攻撃されてもたいしたダメージはなく、敵はイモムーの「体当たり」でそれなりにダメージだった。


「ささ、イモムーさん、どんどんお願いします」

「キュピピ」


 イモムーはうれしそうに、ウサギに突撃していって、ダメージを与えていた。

 あんな体当たりでダメージが出るのはゲームだからっぽい感じがする。


 俺とアカリは後方支援と、アカリのヒールをイモムーにたまに掛けるだけ。

 ちなみに、テイムモンスターは死亡すると魔石化して30分召喚できない。

 プレイヤーだけが死んだりログアウトした場合は、強制魔石化して、手元に戻ってくる。


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