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8話 ハーブサラダ


 宿屋から出ると爽やかな朝の晴天だった。


「何しようかな」

「さあ」

「実はちょっとだけ考えたことがあるんだ。露店しよう露店」

「雑草売るんですか?」

「うん」

「うんっていったい」

「まぁいいから。料理系なんだ。とりあえず客に出す皿を用意しないと。雑貨屋にいこうか」

「わかりましたよ、お兄ちゃん」


 先日マッピングした中から雑貨屋らしい店に向かう。


 そこで10組ほどの木のお皿、フォーク、あと塩、コショウ、サラダ油、砂糖を購入した。

 合計で1,500イジェルぐらい。

 砂糖はちょっと緑がかっていて、これはアマアマ草からできているらしい。


「買ったものは普通だね」

「まあね」


 そして噴水広場に戻ってきた。

 噴水で手を洗う。

 まあゲームなので菌とか大丈夫だとは思うんだけど、気分だ。


「雑草、全種類1つずつ出して」

「はい」


 そう思いついたのは、肉串お姉さんが言っていた、サラダだった。

 雑草サラダ。または薬草サラダだ。


 薬草、えっとクス草をはじめみんな試食してみた。

 万が一毒とかになったら、急いで解毒ポーションを買ってこよう。

 大丈夫、アカリもいる。


「うーん。クス草は葉っぱっぽい味だけど、まずくはない。食べられる」

「そうですね、大丈夫そうです」


 アカリも葉っぱをかじってみていた。


 こうして何種類もの雑草を食べて、不味いものは除いた。

 食べられそうな種類の草に塩ドレッシングを入れて、完成。


「はい、完成。薬草サラダです」

「おおー、さすがお兄ちゃん」


 ハーブのオクシ草は独特のにおいがあってアクセントだ。少量だけ入れよう。

 ルーデ草の青いきれいな実は、数粒こちらもアクセントとして上に乗せる。甘みがあって食べやすい。

 メインの葉っぱは一番大量にあったルク草という、平べったい葉っぱだった。

 レタスみたいに癖がなくて食べやすい。

 残りのクス草も入れてある。


「じゃあ露店の位置は肉串屋さんの近くで」

「了解ですよ」


 葉っぱを水で洗い、手で葉っぱをちぎって、ドレッシングを掛けるだけ。

 ドレッシングを掛ける直前までお皿の分だけ作り置きしてアイテムボックスにしまった。


「ハーブサラダですよ、お肉の後にはぜひ、サラダどうでしょうか?」


「そうだね。バランスよく食べないとね、お姉さん」

「はいっ、おひとつどうです?」

「いくら?」

「えっと200イジェルです」


 そう安いお肉よりも高い。肉串の100イジェルは異様に安いのだ。

 プレイヤーメイドなので、ちょっと高めでも売れる。といいな。


「わかった。200ね、はい」


 サラダ1つめが売れた。

 俺とアカリは、客の男性の顔をじっと見る。

 サラダを食べる顔は、まあ普通というか、変な顔はしていない。


 そのままバリバリ食べて、完食してくれた。


「はいごちそうさん。お皿返すね。癖のない葉っぱもアクセントもよかったよ。また機会があったらくるわ。今度は俺も彼女を連れてきたいね」

「彼女いるんですか?」

「いや、いない」

「そ、そうですか」

「あははは。冗談。まあまた来るのは本当。じゃあね」

「はい、ありがとうございました」

「ありがとうございました」


 他のプレイヤーも周りで興味深そうに、俺たちの露店を見ていた。


「なに、おいしそうじゃん、俺たちにもくれ」

「すみません。2人分、いただけますか?」


 サポートAIなんだろう犬耳のお姉さんが隣のおじさんと2人ぶん注文してくれた。

 彼らにも好評だった。


 俺は、接客はアカリに任せて、戻ってきたお皿を噴水の下のほうで洗って、再びサラダを用意した。


 こうして、ちょくちょく売れていきハーブサラダは完売した。

 売り上げは10,000イジェルにもなった。ただ俺たちは2人組なので1人当たりでは5,000イジェルの売り上げだ。


 ────────

  スキル:昼寝Lv1、料理Lv1

 ────────


 おし、料理というのも生えてきた。

 ただ料理はあまり売り上げの効率がよくない。というのもお皿は返却で、その場で食べないといけないので、買い置き注文がないのだ。

 お皿をたくさん買い込むべきだった。

 そうすれば、持ち帰り用に5個とか買ってアイテムボックスにいれておけばいいんだから、売り上げもお皿の分も含めてうまくいく。


 働いた時点で、負けなので、もはやニートでも無職でも何でもない気がする。

 まあいい。変な称号とかもついてないし、大丈夫だろう、働いても。


 ちなみに広場で露店を出すのに許可とか利用料とかはないらしい。

 いや本当に助かる。


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