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22話 ログボガチャ


「ところで、みなさんはログボのガチャチケ、何か当たりました?」

「ああ、私はティッシュボックス、あはは」

「私は、フライパンとかでした」


「お兄ちゃん、ガチャチケってなんですか?」

「忘れてた、ごめんごめん、引いてみるか」


 このゲームは月額課金なので、基本的には課金者有利いわゆるP2W、Pay To Winではない。

 でも、一応というかおまけ的にガチャがある。

 そして一緒にログインするAIパートナーにはガチャチケット配布がない。


 そう、俺はすっかりインターフェイスを表示していなかったので、見逃していたんだけど、ログインボーナスのガチャチケットが15枚、たまっていた。

 最初に初回ログインボーナスが10枚。そして2日目からのログインボーナスが5枚だった。

 不覚だった。

 ゲーム操作とかのマニュアルは読んだけど、このへんの記載は読み飛ばしていたので、覚えてなかったのだ。


 それをミサンガ教室で教えてもらった。


「ということで15枚あるんですけど」

「おお」

「何が出るかな」


 インターフェイスから指と思考操作でポチポチする。


「ではいきますよ」

「待ってました」

「楽しみです」


 女の子たちが応援してくれる。なんかこういうことは、久しぶりというか、もしかしたら初めてかもしれない。

 恋は始まらないけど、すごくうれしい。

 コミュ障だからって女の子と一緒にいて楽しくないわけがなかった。


 ホログラムで表示されたガチャを回すボタンをポチっとな。


『初級ポーションx5が当たりました!!』

「初級ポーションだった」

「ハズレですね」


『シンプルミニスカート白x1が当たりました!!』


「お、シンプルミニスカート白だった」


 そういってアイテムボックスに送られてきた当選品を実体化させる。


「普通のスカートですね」

「まぁまぁですね。どちらかというと当たりですよ」

「これはアカリさんにプレゼントかな」

「……そうする」


 俺が履く、というわけにもいくまい。まあネタでなら履いてもいいけど。

 次を引く。


『初級ポーションx5が当たりました!!』

「ハズレ」


『初級ポーションx5が当たりました!!』

『初級MPポーションx5が当たりました!!』

『初級ポーションx5が当たりました!!』

『初級復活ポーションx5が当たりました!!』

『クス草x10が当たりました!!』

『初級ポーションx5が当たりました!!』

『初級ポーションx5が当たりました!!』

『イモムシ肉x10が当たりました!!』

『初級MPポーションx5が当たりました!!』

『クス草x10が当たりました!!』

『クス草x10が当たりました!!』


「なんかゴミとまでは言わないけど、ハズレばっかりです。次でラストです」


『携帯炉が当たりました!!』


「うおおお」


「どうしたんです?」

「なに出ました?」

「なになに」


「携帯炉が当たった」


「すごい」

「すごいです、マッサンさん」

「さすがお兄ちゃん。いい引きですよ」


「これはあれか。俺に鍛冶師になれと」

「えっと、どうなんでしょう」


「あの、何か、違うものと露店を見て交換してもらうとか」

「でもでも、携帯炉でもすごいです」

「本当、さすがお兄ちゃんです」

「えらいです」


 女の子たちはどんどんほめてくれる。なんだろうこの全肯定感。

 うれしいけど、なんか逆にちょっと怖いというか。

 なんかもうみんな、目がうれしそうだし、ちょっとうっとりしてる。

 ヤバめじゃない? なんか。


「私、あっちのほうで機織り機のトレード希望を見ましたよ。どうです?」

「「「それだ」」」


「イモムーの糸で生地を作ると」


 こうして俺たちは露店を走っていき、携帯炉と機織り機とトレード交渉をした。

 交渉は簡単にいき、機織り機のほうが高いらしく、20,000イジェルを加えてトレードになった。


「機織り機を手に入れましたね」

「まずは糸を集めないと」

「イモムー、さあアマアマ草をお食べ」


 イモムーにアマアマ草をたっぷり食べさせる。

 食べなくなったら、今度はお願いをする。


「さあイモムー、ミサンガより細めの糸、出し続けられるかな」

「キュピピ」


 頭を上下に振って、糸を吐きだし始めた。

 それはまごうことなき、真っ白な光沢のある糸だった。


 ────────

 ▽クローラーシルク

 ────────


 そう。イモムーはイモムシであるからして、シルクだった。

 いや、薄々気が付いていたけど、やっぱりね。

 糸巻きにイモムーのシルクを巻き取っていく。

 ちなみに俺が着てる布の服は綿か何かで、少しごわごわしてる。


 イモムーの糸は、合成繊維みたいにきれいでまっすぐだ。

 これを服として手で編んでいくのは至難の業だろう。

 ミサンガ用は何本か束ねてから、よって、編むだけなので、なんとかできていた。


 経糸と横糸ぶんが必要なので、かなり長時間イモムーには頑張ってもらった。

 その間、ずっと吐きっぱなしのイモムーには頭も上がらない。


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