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19話 武器を決めよう


 こんだけプレイしてて、まだ武器も決まってないとか。俺だめじゃんね。

 でもさ、大事なことだよ。

 そんな、ほいほい決められないよ。


「うーん、武器どうしよ」

「そうですねぇ」

「うーん」

「とりあえず剣でも振って、いまいちなら変えればいいんじゃないですか」

「そうだな、そうしよう」


 武器屋に行って剣を見る。

 安い剣、鉄の剣、3,000イジェル。


 よしこれでいいや。


 鉄の剣 攻撃力+10。それなりだ。


 剣を振ってみる。お、おもったよりはいい感じ。

 剣道なんてやったことないけど、バットを上下に振るみたいな感じでいいみたい。


 と、買う前に、ふと棚に飾ってある斧を見た。

 あれ、斧って思ったよりかっこよくね。

 バトルアックス、戦斧。

 英語も日本語もカッコいい。形もカッコいい。


「うし、俺、バトルアックスにするっ」

「もちろんいいですよ」


 アカリの許可も出た。バトルアックスだぜバトルアックス。


 ハルバードじゃないのかって、残念ながら置いてなかった。

 ハルバードもカッコいい。槍斧だね。


 ついでに木こりプレイもできるぜ。


 鉄のバトルアックスこちらも3,000イジェル。

 ちょっと向きに気を遣うけど、やはりバットみたいにぶん回せば、大丈夫、だと思う。


 斧には両刃のものと片刃のがあるけど、これは片刃で、まっすぐのほうにスパイクがついている。

 これでハルバードほどではないが、槍みたいにも使えるらしい。


「見てみてカッコいい」

「はい、それなりにカッコいいですね」

「あれあんまりうれしくない?」

「まあちょっと野蛮な感じが。筋肉マッチョが持ってるイメージないですか。もしくは戦士、ウォーリアというか」

「あー、あるといえばあるね。でも俺的にはシャープな感じのバトルアックス装備の魔法少女のイメージがあるから」

「ああ、確かに魔法少女の中にはそういう武器の子もいるみたいですね」

「うん、カッコいいんだよ。彼女たちは」

「わかりました。スタイリッシュでカッコいいんですね」

「そそ」


 武器屋に行ったら、あっさり決まった。

 まあこんなものだろう。



「それじゃあ外に行って、木を切ろう」

「え、敵と戦うんじゃないんですか」

「アックスだよ斧だから木を切るんだ」

「まあそうですけど」

「いいじゃん」

「はい、では外へ行きましょう」


 バトルアックスは攻撃力+13だ。剣よりちょっと強い。その代わり振り回すのが大変なので、手数が減る。

 アックスは回数じゃなくて、一撃で強い攻撃をするタイプといえるだろう。


 草原を通過中、ウサギにも遭遇する。


「おりゃぁ、あ」


 ウサギさんは一撃でした。

 斧を振り下ろしたら、粒子になって消えて、肉と毛皮になるウサギさんたち。


「さすがですぅ、お兄ちゃん、強くなってぇ」


 アカリは楽しそうだ。

 まあいいか。

 最初はかわいそうなウサギたちだなとか思ってたのに、もうなんだかモンスターにしか見えない。


 ウサギを倒して進む。


 門からだいぶ離れてきたとこで、敵がグリーンクローラーに替わってきた。


「キュピー」

「お、おう」

「あらイモムシさん」


 グリーンクローラーは糸吐きによる妨害と、体当たりをしてくる。

 それなりに大きい毛のほとんどない緑のイモムシちゃんだ。


 俺たちは大丈夫だけど、人によっては気持ち悪いと思うかもしれない。

 次々にイモムシを倒していく。

 ウサギと違って、素早さがあってないようなものなので、簡単に倒せた。

 これはモンスターとしてどうなんだろうか、とは思う。


「あれ、この子黄色い」

「うん……」


 普通のグリーンクローラーは深緑なのだが、1匹だけ黄緑の鮮やかな子を発見した。


「なんだかレア個体だぜ」

「はい」

「よし、決めた。テイムをしようと思います」

「えっ、できるんですか」

「わかんないけど、やってみよう。提案」

「あ、はい」


 こうして俺たちとライトグリーンクローラー君とのにらめっこが始まった。


「キュピ、キュピピ」

「おうおう。なるほど葉っぱがほしいと」

「キュピ、キュピ」

「よしよし、じゃあとっておきの雑草をあげよう」


 俺は今までの行動により雑草コレクターと化しているので、あらゆる雑草を持っていた。

 人間が好きな草が好きとは限らないのだ。

 とりあえず、どんどん出して、食べるかどうかを見た。


 食べない。また食べない。これも、だめ。


「あー全然食べない」

「そうですねぇ」

「じゃあこれ、変わり種。アマアマ草。甘いの好きか、ん? どうだ?」

「キュピ、キュピ」


 お、アマアマ草を少し口に近づけて、おお、いくか、いくんか。


 食べたー。


 この感動をみんなとも分かち合いたい。

 数々の雑草を与えても食べず、そしてメジャーなアマアマ草を食べるクローラーちゃん。


 クローラーちゃんは持っていたアマアマ草をすぐに食べ終わると、次の催促をしてくる。

 さすが、よく食べる。


「よしじゃあ次もアマアマ草だ。どうだ。うまいか?」

「キュッピー」


 お、ちょっと鳴き方に変化が。これはよろこんでいるのかな。


 テイムの基本は、餌付けだと、古来からの文書にはある。

 基本に忠実なだけだった。


「はいはい、お、システムログにスキル取得のメッセージが」


 そこには『スキル、調教Lv1を取得しました』と書かれていた。


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