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14話 露店で情報収集


 お昼のお客がいなくなり、俺たちは暇をしていた。

 人通りは多いが、ほとんどは素通りして露店のほうへ行っていた。


 お茶を飲んでくれる人はいるけど、お茶請けが天ぷらとかサンドでは、ちょっと多いというか違うというか、雰囲気的な問題もあった。


 露店を一度閉じて、ウサギ狩りないしその先をしてもいいし、薬草やウサギ肉なんかを売ったりすることも必要なので、どうしようかというところだ。


「露店でいらんもの売り買いしたりする?」

「どうしましょうか」

「俺が聞いてるんだけどなぁ」

「そうですね。じゃあ一度露店は閉店しましょう。情報収集も重要ですよ。とくにこういうゲームでは」

「情報収集ねぇ、俺、人とあんまり話したくないんだよな」

「だめですよ。仮面を張り付けてもいいから、会話できるようにならないとです」

「そうだよな。じゃあ仮面ちょうだい」

「いや、そっちは比喩ですからね」

「なんだ。まあ本当に仮面なんてつけるほうが恥ずかしいか」

「そうですよ」


 露店を見て回る。

 初級ポーションがあふれまくっていた。

 薬草も安値を更新したみたいで、買い手市場になっているらしい。

 ビンなんかはリサイクルができるので売り買いも活発になっていた。

 ビンは逆に売り手市場、余りが少ないのかやや高めで推移していた。


 誰でも作れる初級ポーションは露店の花形だけど、みんなが真似して、今は飽和状態だそうだ。


 俺たちは変な野草料理を結果的に選択したので、競合他社がいなくて、売れているということだ。

 雑草を外で集めるのは、それなりに面倒でもある。

 畑で雑草を育てる人は変わった人だろうし、野菜を購入して販売すると材料費が結構かかるので、あまり儲からないらしく、そういう人も少ないとか。


 なるほど、アカリと他の冒険者の話はためになることが多いな。


 石拾いマンも何人かいた。

 狙い目は鉄鉱石だけど、違う石も手にもって拾うところまでは同じなので、拾ってマーカーを確認してから、捨てないでアイテムボックスに収納してくるらしい。

 残念アイテムである小石も1つ5イジェルで売っていた。なんでも投擲アイテムとして一部のプレイヤーには人気なんだとか。


 なるほど、投擲か。


 俺も50個ぐらいは集めてあった。


 ちょっとした料理の販売よりは、高額のレアアイテムや、生産品のほうが、儲かるのかなと一瞬思った。

 俺は別に無職で適当に料理を始めただけなので、別に料理人道を極めるつもりもなかった。

 家ではホログラムなのでアカリは料理をしてくれないけど、知識はあるらしい。

 今度、高いけど、アカリのボディを購入できないか、親に相談してみよう。


 べ、別にエッチな目的で買うんじゃないんだ。ほ、本当だ。


 料理に、洗濯に、って家の中で活動できれば、便利だなと。

 あとは外に出ることがもしあれば、一緒にいてくれるとうれしい。いや一緒にいてくれないと、俺は外に出る勇気がそもそもない。



「アカリ、このロッドいいんじゃない?」

「ロッドですか。確かにヒーラー用みたいですね。でもいいんですか?」

「いいよ。買っておこう。いつまでも果物ナイフってわけにもいかないでしょ」

「そうですけど」


 聖属性のロッド、なんていうか錫杖みたいな感じのものといえばわかるだろうか。

 頭に飾りがついていて、その頭がちょっと重い。それでそれなりの長さがある。

 だから振り回して、殴ったり、防御したりすることができる。


 もう少しかわいければ魔法少女の武器みたいな感じのものだ。


「よし、アカリは魔法少女を目指そうな」

「嫌ですよ。恥ずかしいぃ」

「お、照れてるのも、その、なんだ」

「なんですか、はっきり言ってください」

「か、かわいいです」

「んにゃぁ」


 アカリが変な猫みたいな声を出して、ふにゃんと顔を緩めた。


「そ、んなことない、です。もう、からかっていやですよぉ」

「あはは」


 2人とも照れて収拾がつかなくなった。


「おほほん、それで買う? 買わない?」

「あ、すみません。買います!」


 お店のお兄さんも苦笑いで聞いてくる。

 ロッドをお買い上げ。4,000イジェル。結構高い。

 買うというと、とたんに笑顔になったお兄さん。


「ところでこのロッド、なんで中古に出してるんですか?」

「ああ、実はな。俺、治療術師してたんだけど、野良パーティーが合わなくてな。もうソロ、剣士に転向しようと思ってさ」

「なるほど、が、がんばってください」

「おお、お買い上げありがとう。俺はもうそっちは未練ないから。まあケースバイケースさ」

「はい。ありがとうございました」


 ────────

 ▽ステータス

 ────────

  ステファン・マッサン

  男性 人族

  無職

  Lv 3

  HP 120/120

  MP 120/120

  19,650イジェル

  攻撃力 5 +5

  防御力 5 +6

  魔攻力 5

  魔防力 5 +3

  残ポイント 2


  ゴブリンのこん棒 攻撃力+5

  布の服 防御力+2、魔防力+1

  布のズボン 防御力+2、魔防力+1

  布の靴 防御力+2、魔防力+1


  スキル:打撃Lv1、料理Lv2、栽培Lv1、昼寝Lv1

 ────────


 ────────

 ▽ステータス

 ────────

  アカリ

  女性 猫耳族

  治療術師

  Lv 3

  HP 110/110

  MP 130/130

  19,650イジェル

  攻撃力 2 +3

  防御力 5 +8

  魔攻力 3

  魔防力 7 +9

  残ポイント 2


  入門者のロッド New! 攻撃力+4→+3 魔防力0→+5

  メイド服セット 防御力+6、魔防力+3

  布の靴 防御力+2、魔防力+1


  スキル:斬撃Lv1、ヒールLv1、料理Lv2、栽培Lv1

 ────────


 俺がこん棒だから打撃、アカリはナイフで斬撃らしい。

 でもロッドは殴り武器だから打撃だろう。ちょっとだけもったいないことをした。武器を反対にすればよかったのだ。

 あ、でもそうすると俺の攻撃力が低いから、敵を倒すのが大変になる。

 まあいいや。細かいことをいちいち気にしていてもしょうがない。


 お金はAIパートナーとは、半ぶんこにする設定があるので、それを使っている。近くにいないと適用されないけど便利だ。

 いざというときに、アカリがお金がなくて困ったり、俺が困ったりしたくない。


 まあ俺は1人で出歩くのも遠慮したいんだけど。


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