目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
10話 初めての戦闘


 ゲーム内の朝に合わせてインしたので、今は早朝だった。

 6時ぐらいだろうか。


 朝日が降り注ぎ、町が活気だす。空気が澄んでいるように見える。

 現実の世界も、朝は同じような感じだけど、それでもやっぱり何か違う。

 現実よりも「きれい」に見える。

 大気汚染は現代ではかなり改善されているのに、やはりまだ完全とは言わないのだろう。

 石油や石炭系はほぼなくなり、今は水素の時代になっている。

 それでもごみ焼却工場や火葬場など、燃やすものがゼロになったわけではないということなのだろう。


 パンは売り切れてしまったので、パンを買いに行く。

 3,000イジェルで、買えるだけ買った。

 パン1個50イジェルぐらい。60個の大量買いだ。


 朝ご飯を食べに来る客を狙って、朝に営業を始めたばかりの肉串屋さんの隣にまた露店を開いた。


 リアルの時間がちょうど夜のゴールデンタイムなので、お客さんがたくさんくる。

 食べている人を見ると、食べたくなるのか、いい宣伝になり、次々と売れていった。

 雑草をパンに挟んで提供した。

 サラダがいい人には、ハーブサラダも売る。


 すでにリピーターになってくれている人も何人か見かける。

 俺は顔を覚えるのは苦手なんだけど、なんとなく覚えている人がいた。


 朝なので、外で戦闘するのだろう昼用のパンを購入する人もけっこういた。


 朝のパンがなくなったので、露店は中止にした。


「結構売れたね」

「だいたい12,000イジェルですね」

「お、おう」


「異世界ファンタジーらしく、そろそろ、わたしたちも戦闘とかするといい気がしませんか?」

「あーそうしようか。3日目にしてやっと町から出る、遅い冒険者さん」

「そうですね」

「無職だからしょうがないね」

「はい」


「武器は何か買わないと」

「露店にありそうですか」

「あるといえば、ありそう」

「もう中古武器売ってるんですか?」

「ああ、自分に合わないのとかあったんじゃないの」

「なるほど」


 露店を見て回る。

 いわゆる朝市みたいになっていた。

 薬草がたくさん売っている。

 あとは石を集めまくっている人もいる。鉄鉱石は分けて置いてあった。

 ゴブリンのこん棒が安い。50イジェル。でもこれはちょっとやだなぁ。まあ何もいいものがなかったらこれにしよう。

 こん棒は5個もあった。


 そういえば調理用だけどナイフは買ったんだった。場合によっては武器になる。

 今はそれでもいいかもしれない。

 とりあえず、最強無職様なので、こん棒1個だけ買って、いってみようか。


「こん棒1つください」

「はいよ。これ使うつもり? それとも何か生産職さん?」

「いやぁ、使ってみようかと。無職なんで」

「無職選んだんだ。なんにでもなれる無限の可能性、それが無職。かっこいいね」

「まあね。ありがとう」

「お買い上げ、ありがとうございます」


 結局、こん棒を買った。


「それじゃ外いこっか」

「はい。回復は任せてくださいな。ヒールが初期魔法みたいですね」

「そりゃあいい、よろしく。あ、ポーションとか傷薬とかなくてもいいのかな」

「大丈夫ですよ、たぶん」

「そっか」


 ────────

 ▽ステータス

 ────────

  ステファン・マッサン

  男性 人族

  無職

  Lv 2

  HP 110/110

  MP 110/110

  17,050イジェル

  攻撃力 5 +5

  防御力 5 +6

  魔攻力 5

  魔防力 5 +3

  残ポイント 1


  ゴブリンのこん棒 攻撃力+5

  布の服 防御力+2、魔防力+1

  布のズボン 防御力+2、魔防力+1

  布の靴 防御力+2、魔防力+1


  スキル:料理Lv1、昼寝Lv1

 ────────


  戦闘で関係ある所持アイテムは、薬草のクス草がちょっとあるぐらい。


 ────────

 ▽ステータス

 ────────

  アカリ

  女性 猫耳族

  治療術師

  Lv 2

  HP 105/105

  MP 115/115

  17,050イジェル

  攻撃力 2 +4

  防御力 5 +8

  魔攻力 3

  魔防力 7 +4

  残ポイント 1


  作業用ナイフ 攻撃力+4

  メイド服セット 防御力+6、魔防力+3

  布の靴 防御力+2、魔防力+1


  スキル:ヒールLv1、料理Lv1

 ────────


 アカリのステも見せてもらった。

 俺とあんま変わらないけど、数値のステータスが防御よりになってる。

 お金は2人で半分こにしているので同じだ。

 ナイフはアカリの武器にしてみた。

 こん棒のほうが強いんだなっていうね。


 2人とも、作業をしただけだけど、経験値がたまったらしくLvは2になっていた。


 道を歩いていき、外へ向かう。

 門があって衛兵がいた。よくあるやつだった。


 門から出てしばらく進むと、ウサギがいた。


 ────────

 ▽ワイルドラビット

 ────────


 おう。野ウサギちゃんだ。

 ただし普通のウサギよりもかなり大きい。一応でもモンスターなのだろう。


 接近してこん棒で殴る。ちょっとかわいそう。

 しかし敵だと思って頑張って攻撃する。

 横からアカリもナイフで切りつけている。

 切りつけても、ちょっとエフェクトっぽいのが出るだけで血は出ない。表現規制だろうか。


 なんだかよくわからないうちにウサギを倒して、粒子になって消えていった。

 その場にウサギの皮とウサギの肉が落ちていたので拾う。


 こうしてあっけなく、最初の戦闘を終わらせた。

 なんだかあまりぱっとしない戦闘だったけど、こんなものなのだろう。


 それから周囲でしばらく、ウサギ狩りをした。

 30匹ぐらい倒したところで、お昼近くだったので一度戻ることにする。


 レベルは3になった。さてステータス用ポイントがもらえたけど、どうしようかな。

 1ポイントで1ずつ増やせる。今すぐでもなくていいので、後回しにしようか。


コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?