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048.ハウジング&お店


 しばらく経過した。

 あれから俺たちは、砂漠を渡りオアシスの交易都市を通ったりして、先へ進んだ。

 冒険のほうも進んでみんなのレベルも上がり強い敵も倒せるようになった。

 だから収入も増えて、鉄製品の武器の生産とかもできるようになって、お金も貯まってきた。


「というわけで、お金を集めて、クラブハウスを王都に借りたいと思います」

「「「はーい」」」


 女の子たちは、みんな可愛い声で答えてくれる。

 一見すると俺のハーレムだが、前にも説明したようにこれはオムイさんシンパなので、俺のハーレムではない。


「どうする?」

「さあ、冒険者ギルドで案内してくれるよ」


「じゃあみんなで決めようか」

「「「はーい」」」


 オムイさんが指示をするとみんなも賛成のようだ。

 冒険者ギルドにすでに集まっているので、受付に行き空き部屋のカタログを紹介してもらう。

 まぁあれだ。希望を聞いてそれに沿った部屋の用紙を出してくれる。

 簡単に言えば、不動産屋で部屋を借りるのと何も変わらない。


 俺たちの要望は部屋数はそこそこ。あまり高級なところではなく、コスパのいい少し安めの物件を探している。

 この世界の人たちは複数の家族で共同生活するような物件が多いので、部屋数が多い物件がたくさんある。

 これが核家族制度の世界だったら、狭い部屋ばかりで大家族向け物件は豪邸とかになってしまうので、クラブハウスのようなものは借りにくい世界になる。


 みんなでワイワイ言いながら、こっちがいい、あっちがいいと言い合う。

 女の子たちはお風呂シャワーがある物件がいいと言い張って、最低でもお風呂付を宣告されてしまった。

 その中でも比較的安い、貸し物件をチョイスする。購入という手もあるが、なにぶん凄く高い。いくら冒険者がリスクが高い分高給取りと言っても限度がある。


 古いゲームでは、こういう家、ハウジング要素は、移動式の個別の家を「召喚」するタイプや、同じ家をインスタンスマップで空間座標は共有しつつ、ドアの先の家の中が別々の空間になっているような仕組みで、家を全員分確保することも多い。

 しかしVRでそのようなインスタンスマップを多用すると、あまり「オープンマップ感」やリアリティの問題があるため、なるべく広いマップを使って現実のように家を借りるという方法をこのゲームでは採用したようだ。

 ということで、この世界で俺たち専用のマップ空間を手に入れることができる。


 最終的に3件ぐらいに絞り、それぞれ見て回ることにした。

 町の中を移動して、該当物件を見る。


 一件目は裏路地の静かな住宅街にあるちょっと値段の高いところ。

 部屋数も多く、お風呂も広い。

 俺的には特に不満はないが、女性陣はキッチンダイニングの構造が気に食わないといって、パスをした。


 二件目は商業区の端の方にある表通りの場所で、ここはお店にもできる店舗兼住宅みたいな場所だった。

 部屋数もそこそこ、お値段そこそこ。

 特に不満はない。保留。


 三件目は高級住宅地に入るちょっと手前で、部屋数は多い。お風呂も広い。

 そしてお値段が思った以上に高い感じ。馬車置き場もちゃんとある。

 ダイニングが広すぎるぐらいで、不満点は値段だった。


 結局、二番目の場所がコスパとか雰囲気とか総合していいということになり、店舗兼住宅を手に入れた。


 そこが俺たち「あるあるクラブ」のギルドハウスもといクラブハウス。そしてクラブショップになる。

 クラブハウスといっても音楽やスポーツをするわけではない。ただし冒険者稼業はある種スポーツみたいでもある。

 ショップと言ってもまだ何も決まっていない。

 最近はイノシシ狩りもしていないのでオム子ローファーの量産とかも困難だ。

 鉄製の武器、防具なども生産できるようになったけど、ライバルも多い。

 なにか個性がないとお店としては厳しいだろう。


 うちの女の子たちを順番に、ちょっとエッチな格好とかさせて店番にしたら、いけるかもしれないと思ったが、オムイさんに白い眼で見られそうなので言わないでおく。

 美少女ばかりのクラブはちょっとだけ有名なので、お店を出しましたって告知すれば男たちが集まること必至だ。

 まぁ放っておいても、可愛い制服作りたいとか自分たちで言いだして地雷を踏むかもしれないから、そっとしておこう。


「何売ろっか?」

「アクセサリーショップとか?」

「服とか防具のほうがいいんじゃない?」

「実用目的? 趣味系にする?」

「実用を兼ねる趣味系がいいんじゃない?」

「それってドレスアーマーとかだよね」

「そそ」

「あとは宝石系とか補正のあるアクセとかね」

「それいー」


 なにやら女の子たちが相談している。

 どれが誰か分からないけど、しょうがない。


 あれからメンバーは結局増やしていない。オムイさんマジックでいつでも増やせるようだが、彼女は今のメンバーでやっていくほうを選んだようだ。

 人が増えすぎると、会社みたいになってくる。

 ほとんど他人みたいな付き合いの人も出てくるし、ドライな関係ならいいけど、敵対関係とか内部派閥みたいのができてくると、管理する側としてキツくなってくる。

 オムイさんの判断は正しいと思う。



 こうして、俺たちのお店が開店した。

 結局NPCの店員も数名追加して、誰かが適当に作ったものとかを卸して、お店に並べている。

 このゲームでは、商品は棚とかにちゃんと並べるのが基本になっている。

 もちろんお品書きを書いて、カウンターで受け付けることもできるけど、この店ではそういうのは超高いようなものぐらいだ。

 あるのかないのか俺は把握していない。


 俺は、普通の雑貨屋みたいのを想像していたけど、なんでもありの女の子ショップになってしまった。

 ちょっと俺みたいな男はソロでは入りにくい。

 そういう時は、すかさずネカマの知り合いとかと来ればいいのに、それでも入りにくい。


 なんかそういう、変なファンシーなショップになっていた。


 みんな楽しそうなので、いいということにしよう。


 前にも書いたけど生産品は、イメージによる作成があるので、ある程度の自由が利く。

 だから女の子たちのそれっぽい、センスのある商品は、知る人ぞ知る、女性向け商品として、一目置かれているらしい。


 まあ、俺にはあんまり関係ないけどね。



 部屋は俺はクラブマスターなので個室がある。

 他の子たちは、女の子同士ということになってるけど、狭くても一人一部屋あるらしい。

 さすがクラブハウスになる豪邸だけはある。

 お金は、主にショップの売り上げとかから出ているらしい。何気に大金が飛び交ってるらしいので、結構怖い。

 俺は本来は知ってるべき立場だけど、あまり手を出さないほうがよさそうなので、放っている。


 金額の帳簿の画面くらいは一応見ている。赤字じゃなければなんでもいいや。


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