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044.料理


 うん。今回は『料理』ということにしよう。

 半分は未定だ。


 まず、魚釣りについて。

 魚介類は市場にいけば何でもだいたい買える。ただお値段はやや高めだ。

 自分で釣るほうがお得になる場合も多い。

 この前のロブスターなんかが典型例だ。

 地元民は、お肉もお魚もよく食べる。

 グルメだけど調理法はシンプルなものが多い。


 俺たちの状態は、調理器具をある程度は揃えた。

 七輪、鍋、フライパン、トング、まな板、そして包丁。

 みんなを代表してオムイさんが担当、保管している。

 包丁はちょっとした武器並みのお値段だった。

 モンスター肉も切れるいいやつなんだそうだ。

 味付けも、塩、コショウ、砂糖、バター、オリーブオイル、ゴマ油、ビネガー、ニンニク、バジル、唐辛子、レモン、ライム、タイム、ローズマリーとか結構揃えた。


 醤油、味噌、そしてお米はこの国では流通していない。

 ゲームが日本市場をメインで考えていないことと、異世界風だから、探検して見つけるのがそれらしくていいということだろう。

 辛みは、大根、洋ガラシ、ホースラディッシュという洋ワサビなどもある。


 俺のお気に入り料理は、アベルボアの香草焼きだ。

 最初に食べたものに近いが、マイナーチェンジしてより美味くなった。

 ウサギの淡白な肉質も、バター焼きとかにするとかなりいける。

 もちろん作るのはオムイさんだ。

 俺は食べる専門で詳しくは知らない。

 ちょっとお願いとか好みとかを言うだけ。

 楽ちんポジション。


 ゲームの料理は、現実にかなり近い。

 しかし煮込み時間などが短縮化されていて、長時間煮込み続けないといけないとかは、なくなっている。

 簡単、ご都合主義だ。

 それでも材料は揃えないと、その味に基本的にはならない。

 そして便利なのは「うま味調味料」という究極の材料もある。

 固形の「スープの元」「ブイヨン」と「コンソメ」もあるので、購入済みだ。

 中世では存在しないはずだけど、どこかの誰かが生産しているらしい。

 これがないと、洋風料理の作成は、野菜を煮込むところから始めて材料集めも面倒くさいし、値段もかなり掛かる。


 俺はリアルでの食生活はかなり適当だったのに、異世界ではグルメになっちまった。

 それの影響でリアルご飯もカップ麺からコンビニ弁当、パスタ類とかサラダとか食べるようになった。

 少しだけ健康的になったと思う。



 今日も市場で流通してないレア食材を得るために、遠征する。

 目的地は南側、沼地地帯。


「というわけで、カエル、ナマズがねらい目です」


「ゲテモノですかね?」


「まぁ文化の違いみたいなもんだな。比較的普通だと思う」


「そうですかね」


「うん」


 オムイさんの突っ込みは現代っ子の代表のようだ。

 ナマズなんてどこの国でも食べるし、カエルだって食われまくりだ。

 どちらもあっさり系で、獣肉系ではないので、女の子でもそれほど抵抗はないはずだ。


 ナマケモノとかヤマアラシとかの肉は臭いらしい。

 下ごしらえや、調理方法でも変わるとは思うけど、あんまり食べたいとは思わない。

 そういう意味ではモンスター系食材は、少し獣肉系だから、牛肉とかの独特な臭みがあるかもしれない。

 そのぶん旨味も強いと思うんだけど、ほとんど流通していないので、まだ食べたことはない。

 美味しいドラゴンステーキが将来の目標だ。


 いやー、グルメになったね、本当。


 歩いていき、沼というか泉みたいな場所に来る。

 人も住んでいないので、凄く水がきれいだ。


 今日はこの前と違い、投げ釣りにする。

 運河は足元も深いけど、天然の泉は岸辺は浅いからなんとなく、深いところを狙いたい。


「こうこう、こうやって、えいっ、て投げる」


「「おぉおお」」


 女の子たちにレクチャーをする。

 俺の株も上がって素晴らしい。


 投げるときにリールのロックを外して、糸を指で押さえる。

 釣り竿を勢いよく投げる途中、向こう側75度ぐらいで指を離すと、ボール投げみたいに飛んでいく。

 離すタイミングと勢いが重要だった。

 パソコンゲームでは、ゴルフゲームみたいに勢いバーが進んでちょうどいいところでマウスを離すような操作をして、投げる要素があったりする。

 それでもマウスと実際に体を使って投げるVRでは、全然違う。


「何が釣れるでしょうか」


 底を這わせるような感じで糸を調整しながら巻いていく。

 浮き釣りなら巻かないで、そのままにするけど、今回はそういう仕掛けではない。

 ゆっくり手繰り寄せながら、餌を動かしていく。

 餌の動きに釣られて食いついてくるやつを狙うんだ。


 1回目は空振りかと思ったそのとき、糸が引っ張られて当たりを感じる。


「なんかきた!」


 竿を立てて、リールを巻きながら駆け引きをする。

 強く巻きすぎても逃げられる。


「見えた! 魚。ナマズっぽいな」


 初投はナマズだった。

 大きさは35cm。


「タカシさん凄い」


「ぐふぅ。それほどでもありませんぞ」


「兄ちゃん、しゃべりかたが、キモくなってる」


「う。嬉しくてつい掲示板のキモ男みたいになってた」


 その後は、みんなが投げるのを、手取り足取り、教える。

 まず立つときの足が反対の子がいたり、なかなかどうして、変な子もいる。

 よくそれで戦闘とかこなせるな。不思議だわ。


「おぉ、ロブスターですかね」


 リリーが赤茶の大きいカニエビを釣りあげた。

 鑑定結果は、ザリガニだった。

 淡水はザリガニ、海水はロブスターだそうだ。

 運河は水底のほうは海からの海水が入り込んでいる。

 かなりの大物だった。


 そして下手な子が明後日の方向に投げると、岸辺のカエルが釣れる。


「やだあ。カエルだ。でかいよ。キモっ」


 ユマルだ。大きいウシガエルみたいのが食いついていた。

 もちろん触れないので、針を外すのは俺の仕事だ。

 針といえば、釣りの針は普通は小さなカエシがついていて、抜けにくくなっている。

 VRのこれでも付いていて、精密に再現されていた。


 本日の釣果は、ザリガニ、ナマズ、カエル、以上。

 今回は針一本で、大きめ狙いだったので、小さいのは取れなかった。

 ナマズは最初に釣れたのと、オムイさんが釣った40cmクラスの2匹だ。


 普通なら、泥抜き、砂抜きしないととても食べられないが、ご都合主義ファンタジーなので大丈夫とWIKIにも書いてある。


 醤油がないので、ナマズの蒲焼きにできない。

 塩焼きにしてもらった。

 ダイコンオロシと、レモンを添えて、頂く。

 カエルは皮を剥いで身だけにして唐揚げにした。

 ザリガニはバターチーズ焼きと、コンソメスープだよ。


 一日掛けて釣りをしたら、かなりの量ができた。

 女の子たちがきゃあきゃあ言いながら捌いたり料理してくれた。

 ぶっちゃけ食べても余るほどあった。


 残りはアイテムボックスに詰め込んである。

 露店で売ってもいい。調理師免許とか食中毒、寄生虫とかこちらもご都合主義ファンタジーだから問題ない。


 今回は、あるあるは紹介できなかった。

 料理は材料揃えて、料理鍋でポチっとするだけのパソコンゲームが多かった。

 味覚再現とか料理再現とかまでは、あるあるになっていない。


 カエルの皮はソフトレザーとして利用できるので取ってある。

 これはVR小説あるあるだろう。

 耐水性などに優れているとされる。

 現実でもサイフとかにするようだ。


 料理あるあるとしては、バフ効果がある。

 あるあるでは、レア素材、モンスター素材の料理にはバフがつきやすいとされる。

 このゲームでは、むしろ重要なのは味だった。

 味覚再現によるグルメ道は、太らないし健康被害も食中毒もなく、安心設計だ。

 キノコ狩りと、キノコ鍋とかもいいかもしれない。


 異世界最高です。


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