再びエルドラの世界に戻った僕は、すぐにアリアとレオファングの元へ駆けつけた。二人は無事だったが、僕が戻るまでずっと緊張感の中で待機していたのだろう。アリアの顔には疲れがにじんでいたが、それでも僕を見つけた瞬間、ホッとした表情を浮かべた。
「レオンくん、おかえり!」
アリアが安堵の声を漏らす。
僕は肩で息をしながら、力強く頷いた。
「心配かけた。でも、もう大丈夫だ。今度こそ……ザハールを倒す」
レオファングも僕に呼応するように、小さな咆哮を上げ、翼を広げて炎をちらつかせた。僕たちは再びザハールの前に立ち、再戦の準備を整える。
ザハールはその鋭い目で僕たちをじっと見つめ、再び口を開いた。
「戻ってきたか……。だが、この力に再び挑むというのか?」
彼の声は砂嵐の音にかき消されそうになるが、その圧倒的な威圧感は健在だ。僕は一歩前に出て、ザハールの目を真正面から捉えた。
「そうだ。今度こそ勝つために準備してきた!」
ザハールは冷たい視線を少しだけ細め、静かに手を上げると、再び砂嵐が巻き起こった。荒れ狂う砂の渦が僕たちの視界を奪い、風が肌に刺さるような痛みを伴って吹きつけてくる。しかし、僕は以前の自分とは違う。この強烈な砂嵐の中でも、動じることなく立っていられた。
「レオンくん、気をつけて……!」
アリアが叫ぶが、僕たちは冷静だ。今回こそ、勝機はある。
「アクア・サークル!」
アリアが素早く呪文を唱え、水の魔法がザハールの足元に広がる。湿った砂は重くなり、ザハールの動きがわずかに鈍る。ザハールの視線が一瞬揺らいだのを見逃さなかった。
「よし、今だ! レオファング、行け!」
僕は合図を送り、レオファングが一気に飛び上がる。炎のブレスがザハールの背後に直撃し、彼の防御を崩す。熱風が砂を焼き、視界が一瞬広がった。
「レオンくん、今しかない!」
アリアが力強く叫ぶ。
「わかってる!」
僕は全力でザハールに突進し、剣を振り下ろした。だが、ザハールは冷静さを崩さない。砂が僕の剣を受け止め、勢いを失わせる。そして、瞬時に巻き上がった砂の壁が僕を押し返す。
「くそっ……!」
歯を食いしばり、もう一度剣を構えるが、ザハールの砂は無限のように再生していく。何度切り裂いても、すぐに形を取り戻し、僕の攻撃を無力化していく。
「風と砂が……こんなにも強いなんて!」
足元の砂が滑り、身体が少し傾く。だが、現実世界での訓練がここで生きる。僕は重心を低く保ち、砂の動きに合わせてバランスを取り直した。砂嵐が吹き荒れる中、僕は踏みとどまりながら、ザハールに向かって剣を振り続けた。
「アリア、もっと強力な魔法を使って、砂を止められるか?」
僕は焦りを抑えて冷静に指示を出す。
「試してみるわ! でも、この砂の力……相当なものよ!」
アリアもその魔力を限界まで引き出そうと、必死に呪文を唱える。
しかし、その時、ザハールが笑みを浮かべた。
「まだ気づかないか? 砂は形を変える。風は止まらない。お前たちに、私の砂を止めることはできない」
ザハールの言葉が響いた瞬間、砂嵐はさらに激しさを増し、僕たちを襲った。足元の砂がまるで生き物のように動き、僕の動きを封じようとする。
「くそっ……どうすれば……!」
一瞬、心が揺らぎそうになるが、僕は必死で踏ん張った。砂兵士たちの再生も早く、ザハールは攻撃の手を緩めるどころか、ますます強大な力を発揮している。
「僕は……まだ終わらない!」
そう自分に言い聞かせ、剣を再び構える。しかし、どれだけ攻撃しても、ザハールの防御は崩れない。僕たちはまたしても圧倒的な力の前に追い詰められていた。
「レオンくん!」
アリアが叫ぶ。彼女も魔力を消耗し、動きが鈍っている。ザハールの砂が次第に僕たちを飲み込もうとしていた。
風と砂の圧力に、僕の体は限界を迎えつつある。が、それでも僕は剣を手放すことなく、必死に抵抗した。絶望的な状況の中、僕は何度も自分に言い聞かせる。何か突破口があるはずだ、と。
しかし、今はまだその突破口が見つからない。
「くそっ……! まだ終わらせるわけにはいかない……!」
気持ちを整えてなんとか再びザハールに攻撃をする。きっとなにか突破口があるはずだと。