ザハールの強力な砂嵐に包まれ、僕たちは完全に追い詰められていた。視界は奪われ、呼吸もままならない。次第に体力が削られ、攻撃を避けきれなくなっていく。ついに、ザハールの一撃が僕の身体に直撃し、激しい痛みと共に意識が薄れていった。
「ここで終わるのか……」
心の中でそう呟いた瞬間、すべての音が消え、視界が真っ暗になった。気がつけば、僕は現実世界へと引き戻されていた。
「……また、戻ってきてしまったのか」
僕は、エルドラの世界から現実世界へと無理やり帰還し、ベッドの上で目を覚ました。現実世界での限られた時間しかない。アリアとレオファングは並行世界に残され、僕一人だけがここに戻ってきた。
「くよくよしててもだめだ……!……この時間で、何とかするしかない」
僕は、自分の弱さを痛感しながらも、再びザハールと戦うために、この現実での修行を始めることにした。次に戻るときは、必ず勝つために。
まず最初に取り組んだのは「砂嵐に耐える訓練」だ。ザハールの砂嵐は、ただ視界を奪うだけでなく、身体にまとわりつき、攻撃の威力を削ぐ恐ろしい力だった。風が渦巻く中で戦う感覚を再現するため、僕は強風の中でのトレーニングを決意した。
向かったのは、近くの山だ。山の上は風が強いと聞いたことがある。そこでは、常に強風が吹き荒れていて、風速が20メートルを超えることもあるらしいのだ。僕はリュックに重りを入れ、山を駆け登った。ただ登るだけでは意味がない。全てが修行にならないと……!!上に近づけば近づくほど強風が身体を押し戻す。重りのせいで何度も転びそうになるが、これが砂嵐を乗り越えるための練習だ。
「砂嵐の中でも、足を止めない……!どんな風にも耐えられる強さを……!」
息が切れ、足が震える。しかし、僕は耐えて、山頂までたどり着いた。風の勢いをまともに受けながら、バランスを保つために足を踏ん張り、筋力と持久力を鍛える。
次に取り組んだのは「砂の攻撃に対抗するための技術」。砂は滑らかで、剣を通り抜けて再生する。そこで、僕は現実世界での砂や土に対抗する方法を模索した。僕が取り組んだのは、「剣技の精度を上げる訓練」だった。
僕は砂地の公園に足を運び、重りをつけた木刀を握りしめて、砂を切り裂くように剣を振るった。砂地は足場が不安定で、踏ん張りが効かない。だが、だからこそ、砂に足を取られずに動けるスキルが必要だった。何度も剣を振り、足の動きを調整しながら、砂の上でも安定して攻撃を繰り出す技術を磨いた。
「この不安定さに慣れれば……ザハールの砂も怖くないはずだ……!」
さらに、「反射神経の向上」にも取り組んだ。砂兵士たちは一度倒してもすぐに再生し、見えないところから何度も攻撃を仕掛けてくる。そこで僕は、ボールを使ったトレーニングを行った。バッティングセンターに行き、飛んでくるボールを素早く受け止めたり打ち返したりする。見えないくらいの速度で飛んでくるボールに集中し、瞬時に反応する訓練だ。
「どんな攻撃が来ても、反応できるように……体を覚えさせるんだ……!」
最初はボールにうまく対応できなかったが、次第に反射速度が上がり、何度も飛んでくるボールを確実にキャッチできるようになった。ザハールの攻撃がどこから襲ってきても、今度は即座に反応できるはずだ。
この一連のトレーニングを終える頃には、僕の体は砂嵐の中で動けるような強さと、砂兵士に対抗できる技術を備え始めていた。全身の筋肉が痛み、疲労が蓄積しているが、精神的な充実感が勝っていた。
「これで……次こそはザハールに勝てる……!」
現実世界での24時間を使い切った僕は、再びエルドラの世界へ戻る準備を整えた。アリアとレオファングが待つ、あの砂漠の世界へ――今度こそ、勝つために……。