無事七月を過ごして、八月になった。
まさに、夏真っ盛りでありますよ。
七月もおかげさまで、収支はそこそこの黒字だ。
子供たち全員分のナイフと、それから箱罠、鳥の餌の小麦の種とかを買い揃えたのが、ちょっと高かった。
安定したスライムは入ってくるようになったし、子供たちもお小遣いを貰えて食べられるようになったし、万々歳だけど、初期投資はやっぱりかかるね。
とりあえずうまく行っているので、今週の日曜日は遊ぼうと思います。
王都は内陸にあるんだけど、東側には湖が隣接している。
「というわけで、泳ぐっきゃない」
「ぱふぱふ、よう」
「わーい」
キャピキャピの女の子が三人も揃っていて、夏に湖があるんだから、もちろん泳ぐでしょう。
まず先週日曜日、水着を買いに行った。
服は高い。そうなのだ。特に布地が高いんだよね。
きゃいきゃい言いながら、どの水着にしようか話して決める。
でもねぇ、聞いてよ。
なに王都の水着!!
ビキニタイプとかいうのばっかりなんだよ。おっぱいとパンツしか隠せない形で、確かにこれなら布地を大幅に節約できるから、多少安い。
他のワンピースタイプとか値段が倍以上するからとても買えないや。
でもこんなに露出した水着なんて、恥ずかしいよぅ。
「他のデザインがいい……」
「いいじゃないですか。ミレーユさんだって水着似合いますって」
「そう?」
「そうです、そうです」
励まされて、渋々ビキニタイプの水着を選ぶ。
結局買ったのは、私は若草色の水着、マリーちゃんは白の水着、でもってシャロちゃんは黄色の水着だった。
「楽しみですね」
「うん」
「まあ」
シャロちゃんとマリーちゃんは行く前からわくわくしているようだ。
そして本日、今週日曜日。
いざ、まいられよ。向かうはベンジャミン湖西岸、ラッフェル浜。
「わあ、人一杯」
「すごい人気ですね」
「前より混んでますね」
順番に私、マリーちゃん、シャロちゃん。
「あれシャロちゃん来たことがあるの?」
「え、あ、はい。小さいころはよく連れてきてもらいました」
「そっか」
「えへへ。実はそうなんです。すみません」
「いえいえ」
シャロちゃんはちょっと照れながら告白してくれた。
なるほど、さすがお嬢様っぽいシャロちゃん。
こういうところも経験済みですか。なるほどね。
白い砂浜、打ち返す白波、青い空。真っ白なふわふわな雲。
すごーい。絵になるぅ。
人が多いことには目をつぶろう。
「よしせっかく来たので、遊びましょう」
「はーい」
「さんせーい」
シートを敷き、荷物を砂浜に置いて、ワンピースを脱ぎ捨てる。
それから水辺へ走っていく。
「わああああ」
「待ってくださいよぉ、ミレーユさん。早いです」
「あああ、二人とも置いてかないで……」
遅いのはシャロちゃんだ。彼女は都会っ子なのか、ちょっとどんくさい。
「お水気持ちい」
「わわ、冷たいけど、大丈夫」
「わああああ」
水辺でお水を楽しんだり、ばしゃばしゃ水を飛ばしてみたりする。
「そーれ、ほれほれ、マリーちゃん」
「ああ、ミレーユさん冷たい。やりましたね」
マリーちゃんの顔に私の飛ばした水がかかる。
「お返しです、それそれそれ」
「あ、冷た、あ、う」
反撃を食らった。
「二人ともずるいです。えいえいえいえい」
シャロちゃんからの援護射撃と思いきや、二人とも水浸しにされちゃった。
なかなかやるではないか、おぬしよ。