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24 弟子は可愛いだよ


 桃色髪のツインテールのシャーロットちゃんが弟子になった。


「じゃあシャーロットちゃんは布団と枕を持ってきてくださいね」

「え、あ、はい」


 弟子の布団まで買うお金はないから持ってきてくんなまし。貧乏な師匠でごめんよ。

 でもご飯はちゃんと食べさせてあげるね。

 あ、誕生日は私のほうが二週間早いから、お姉さんだよ。ねー。


「では、届けさせるように手配してきます」

「はいはい」


 シャーロットちゃんが出ていく。

 自分で持ってくるのではなく、届けてもらうんだな。まあそうか布団大きいもんね。

 今は夏布団だけど、冬はどうしようかな。


 ささ、シャーロットちゃんが来る前に、料理をしないと。


 燻製くんせい肉をたっぷり入れたスープ。塩、胡椒こしょうもけちけちしないで使った。

 ちょっと高かった葉物野菜を使ったサラダも作った。

 それから普通のパン。パンはごめんね普通だよ。

 高い白パンは高級品で、値段が倍以上するから、ちょっと手が出にくい。

 これはライ麦パンだよ。これでも十分に美味しい。ちょっとだけ固いのが好みが別れるみたいで、私は固いのも食べごたえがあっていいと思う。ちなみに買い置きで普通の人はパンを自作したりはしない。


「ただいま戻りましたぁ」


 シャーロットちゃんの甘い声が聞こえる。

 後ろには大きいおじさんが布団を抱えてきていた。


 あ、なんか布団高そう。いいやつに違いない。あれ、この子ブルジョア族なのだろうか。

 底辺の売れない錬金術師の家で、貧乏で、毎日のご飯もやっとの生活が、とか思ってたのと違う。

 まあ裕福なら裕福で、別に問題そのものはない。

 ただイメージと違っただけだよ。他意はないよ。

 あ、自分の実家と重ねてたんだね。分かった。王都の錬金術師はちゃんと生活できていたんだ。よかったよかった。


 向かい合うとシャーロットちゃんのほうが小さい私よりさらにちょっと小さい。

 ほんのちょっとだけど、私のほうがお姉さんだ。

 そう思うと、とたんに可愛く思えてくる。


「はい、おかえりぃ。いいこいいこ」


 頭をなでなでする。お、触り心地も悪くない。これはいいものですぞ。

 ポムも忘れてないよ。ちょっと主張してくるから、次に撫でておいた。可愛いやつめ。うりうり。


 こうしてスキンシップをしたりして、そして。


 ミレーユ家恒例の一緒にお風呂タイム。

 私とシャーロットちゃんとそれからポムでお風呂に入る。


 むむ。胸が私より、ちょっとある。私のほうがお姉さんだと思ったのに、違ったらしい。惨敗だった。

 さらにお肌はすべすべで、さすがだった。


 二つ並んだベッドで、それぞれお布団に入る。

 一緒の部屋で誰かと寝るというのは、なんだか懐かしい気分だけど、ほとんど記憶がない。


 人がいるっていうだけで、ちょっと安心。

 これが怖い人とだったら不安なのだろうけど、シャーロットちゃんは、いい人そう。

 勝手な想像だけど、一緒にこれからやっていけそうな気がする。


 安心して寝た。



「おはようございます」

「あーおはよう、ございます」


 ちょっと朝、目が覚めたらもうシャーロットちゃんは起きていた。


「シャーロットちゃんは朝早いの?」

「いえ、ちょうど起きただけですよ」

「そうなんだ。私より早いからびっくりしちゃった」

「朝ご飯はワタシが作りますね」

「あ、うん。ありがとう」


 シャーロットちゃんが作ってくれるらしいので、せっかくだから甘えてしまおう。

 とくに苦手とかも言ってないから大丈夫だろう。


 普通にパンとスープとそれから燻製肉のベーコンと目玉焼きが出てきた。

 ういうい。料理もある程度はできると。

 優秀、優秀。逆に何にもなくて、困っちゃいそうなぐらいだね。

 別にお姑さんじゃないけど、粗探しとかしたくなったらどうしよう。


「うん、美味しい、ありがとう」

「料理は任せてください。錬金術はあんまり自信がないんですけど……」


 ちょっと悲しいような顔をするシャーロットちゃん。


「あはは。いや十分だよ。十分。そこそこできればいいから。今は」

「今はですか」

「まあね。将来は秘薬とかも作ってほしい」

「秘薬ですか、すごいですね」

「作り方は結局基礎ができてるなら一緒だから、大丈夫だよ」

「それだと助かります」


 少しは励ませたみたいで、安心した顔になった。

 そういう顔は可愛いから好きだよ。


 こんな感じで、一緒に生活することになった。

 いい子ではありそうで、助かってる。

 お姉さんも頑張んなくちゃね。


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