目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
27 グラノーラだよ


 石鹸など匂い系のものがそこそこ売れるようになってきた。

 お店は順調だ。でももっともっと売り上げを伸ばしたい。

 というのも錬金術の上位のものを作るにはその材料費だけでもかなりの出費がかかる。

 中級ポーションの量産もまだだし、鏡とかも作りたいとなると、投資費用はかなりのものだ。

 だから売り上げはあったらあっただけいい。


 ポーションは非常時のみ。匂い系のものはたまに。練り薬草は常備薬だから一度買ったら当分は必要ない。

 お茶は毎日飲むけど、消費量はそこまでないので、たまに買えばいいだけ。

 そうなると売り上げはそこまで多くないのだ。

 そこで注目したのは食料だった。


 携帯食料を開発しよう。開発といっても元ネタはある。

 グラノーラだ。村ではそれなりに作られていた。

 グラノーラとは、穀物を蜂蜜などで固めてスティック状にしたものだ。

 作り方は別に錬金術はあまり関係ないけど、固めたりする作業をするには錬金術を応用すると、とてもいい。


 ということで村でも作っていた通りに、穀物を買い集めて、蜂蜜を使って錬金術を駆使して、固めていく。

 この作業は私はもちろん、シャロちゃんも普通にできたので、二人で量産した。


「グラノーラっていうやつください」


 お客さんはすぐに増えた。というのもポーションを買いに来た冒険者の人たちが、携帯食料としてグラノーラを愛好してくれだしたのだ。

 そして冒険者の横の繋がりで、あれよあれよと話が伝わっていき、どんどん冒険者の人が買いに来るようになった。


「携帯食料とかいうのくれ」

「グラノーラくだせい」

「グラノーラくれ」


 ちょっと雑っぽいのが冒険者の特徴だ。行儀がいい冒険者もいるけど、少数派だろう。

 中には町の中で日雇いみたいに働いている人も、手軽なお昼ご飯として、グラノーラを買っていく人までいる。

 一番ターゲットに考えていたのは、野営での携帯食だったので、町でも普段から食べるのは予想外だった。

 もう一つ予想外だったのは、蜂蜜味だったので、子供たちがおやつ、栄養補助食品として、食べたいという話があった。

 王都では食料不足から痩せている子も多い。グラノーラで栄養価の高いおやつが食べられれば、少しは足しになると思う。


「わーい。お姉ちゃん、グラノーラちょうだい」

「グラノーラください」

「グラノーラ美味しいよね。三つください」


 子供たちも、こうして頻繁に買いに来てくれるようになった。ついでに子供たちが使うポーションもうちの店で買ってくれるようになり売り上げに貢献している。


 ただ、前もいったけど、蜂蜜はやや高い。原材料のコストが高いから利益率はあんまりよくない。それから小さい乳幼児は食べちゃだめというのを徹底しないと事故が起きてしまう。

 蜂蜜が乳幼児に危険なのは経験的に知られているだけで、何故なのかは解明されていないはず。


 ポムはというと前、蜂蜜飴が好きだったからか、やっぱりグラノーラも好きみたいで、口にくわえて食べていた。

 よく常連のお姉さまが手に持って、ポムにグラノーラを食べさせているのを見るよ。

 飴はあげたら終わりだけど、手に持ったままなのが人気らしい。


「はいポムちゃん、グラノーラですよ」

「きゅっきゅっ」


 もぐもぐもぐと食べるポムは見てると可愛い。まぁお姉さまたちの気持ちも分かる。


 私はというと、グラノーラを催促するシャロちゃんに、スティック状のグラノーラを手で持ってですね。


「はい、あーん」

「あーん、んっ」


 とまあこうやって食べさせるのがわりあい楽しいです。

 ポムと一緒で手に持ったまま、ぱくぱく食べていくところがなんか楽しい。


コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?