朝、普通くらいの時間に朝ご飯を食べて、メホリック商業ギルドに向かう。
同じ
ちなみにテツとは、
馬車が轍を乗り越えるとガッタンってなってお尻に響くから、私は苦手なんだ。王都に来る途中の道で酷いところがあったんだよ。
これにはポムもピョンピョン跳ねて、抗議してたっけ。
とにかく噴水前に向かい、そこにある冒険者ギルドのお隣さんのメホリック商業ギルドに到着した。
「すみませーん」
「はいはい」
「錬金術師のミレーユです」
「はい。約束は伺っています。どうぞこちらへ」
やった。すんなり通してもらえた。
受付の美少女メイドさんに連れられてギルド内へ奥の方にある一室でちょっと待たされた。
「ようこそ、ミレーユ嬢。よくおいでくださいました」
「いえいえ、そんな」
「ちゃんとワシらの商業ギルドも見てくれるんですな」
「はい。公平に、ですよね」
「そうです。ありがとうございます」
老紳士のボロラン・ロッドギンさん、そうそう確かそんな名前だった。私えらい。ちゃんと覚えてる。
それから少女が大好きな変態だという噂が、これは商売敵のメイラさん談だけど。
受付の美少女メイドさんもちょうど私と同じくらいの年中式を終えたばかりの女の子に見えた。要注意だ。しっかりとこの目で見て判断しよう。
メイドさんは短いスカートに長い靴下で足を強調している。メイド服はやっぱりエプロンと胸を強調するようなデザインだった。
「紅茶はいかがですかな?」
「いただきます。王都では流行っているんですか?」
「わはは。ホーランドでも出されましたか」
「は、はいっ」
「素直でよろしいですな。紅茶はここ数年、東国から入ってくるようになったのです。扱っているのはワシらの商会でしてね」
「なるほど」
「お気に入りになりましたら、一缶プレゼントしましょうか」
「い、いえ、おかまいなく。宿暮らしの身でして、お湯を沸かすのも大変なので」
「そうですか。欲しくなりましたらいつでもお声掛けください。もし向こうと契約した後でも有効ですので」
「そ、そうなんですか」
「はい」
老紳士は真剣な顔をして、見つめてくる。
うん、紅茶おいしい。
ちなみにポムも紅茶は好きみたいで、触手でミルクと砂糖を入れて、スプーンで混ぜてごくごく飲んでいる。スライムって案外器用で賢いんだね。感心しちゃう。
「それで、ワシたちと契約したら、錬金術店を無料でお貸しします」
「む、無料で、ででですか?」
思わずどもっちゃった。無料ときたか。このおじいちゃん。
「その代わり、弟子を三人ほどお願いしたいのです」
「あーなるへそ」
「その答えかたはちょっと危うくはしたないので、止めたほうがよいですな」
「こりゃ失礼しました」
「いえ、ジジイになると説教くさくて、すまんな、つい」
「あはは」
ついうっかりなるほどと思ったので、素で返してしまった。危ない危ない。レディーは言葉にも気をつけなくちゃね。
そうそうこちらでもやはり畑の話もしないとまずい。
「それで恐縮なんですけど、畑、薬草園もお借りできないかなと、あの無理でしたら、自分で、なんとかしたいとは思うんですけど、やっぱりあるのとないのでは大違いというか」
「そんなものは農民に栽培させればいいのでは? それを取り次ぐのが商会、商業ギルドの役割です」
「まぁそうなんですけど、うちで欲しい薬草栽培している農家さんなんていないと思うんです」
「ふむ、それはどういう」
私は必要な種類を説明していく。
「知らない薬草がありますね、確かにこれは無理かもしれません。担当者なら知っているかもしれませんが」
「そうですか」
「不勉強で申し訳ない」
「いえ、なんか村の薬草は外では有名ではないみたいなんですよね」
「はぁ、いやはや、さすが見込んだだけはある」
老紳士は相変わらず真剣だ。
「分かりました。できるだけ広い畑を確保しましょうギルドの威信を懸けても」
「そ、そうですか、ありがとうございます」
「契約は少し横に置いておいて。少しよろしいですか。外へ」
「は、はいっ」
どこへ連れて行かれるんだろう。ちょっと得体が知れないから怖い。
後をついていくと、裏庭に案内された。
そこまで広くはないけど、薬草を含む色々な、いわゆる四季折々の花々が植えられていた。
中でもそこそこの大きさの一本の木の前へ連れて行かれる。
あ、この木知ってる。すごい。本当にこれはすごい。ちょっと心がこちらに傾くくらいすごい。
なんか