なんとか午前中の実演販売を終わらせて、客が
朝は買い物のあと、お昼を買うのもぎりぎりだったから、全く自転車操業もいいところだ。
露店で食べ物を探して、購入した。
今日はレタスとトマトのサンドイッチだ。二つ、買って一つをポムに分ける。
「ポム美味しい?」
「きゅっ」
「そう、よかったね」
トマトの塩気やレタスの葉っぱが美味しい。これは当たりだった。
ちょっと奮発したけど、よかったわ。
「トマト美味しい、これなら毎日でも食べたいね」
自転車操業はまだまだ続く。宿代は今日の分は確保したけど、もし明日雨で露店が開けないと、宿代も足りなくなる。困る。
貧乏暇なし。あくせく働くぞっと。
残っている薬草をまた錬金釜でポーションに錬成する。
またまたお客さんが集まってきて見てくれる。
その中の一人に左手を怪我している人がいた。
傷があり、周りが赤く
「ポーション一つください」
「はい、どうぞ」
受け取った人は、早速目の前でポーションを使い始める。
まず少量を飲み、残りを傷がある左手に掛けていく。
「うっ、ちょっと染みるな」
そしてじっと見ていると、ぎりぎり分かるくらいの早さで腫れが引いてきて傷も
「なんだこのポーション、めっちゃ効く。おいみんな俺の左手見てくれよ」
「あの傷がもう引いていくなんて……」
「すごい効き目じゃあないか。市販品と全く違う、もっとゆっくり効くものだろ」
「たった一本のポーションでこんだけ効けば、お得だよ、まる儲けさあ。この効き目でこの値段。信じられない。超お買得だあ」
あわわわわ。製作の実演販売はしてたけど、効き目を確かめる実演販売はしてなかったのに、勝手にしてくれた。
さすがに売れまくり、というわけにはいかないけど、必要な人は買っていってくれた。
十日しか持たないから、常備薬みたいに買うのはかなりもったいない。
これだけ効果が実証されたら売れるだろう、と思うんだけど、今見ていた人とその人から話を聞いた人は分かってくれる。
でも他のその他大勢は、すぐに噂が広まるっていうほど狭い世界ではないので、ものすごく有名になって、みたいなことは起こらないのだった。
まあそうだよね。ここはハシユリ村じゃないし。
でも話を聞いた限り、このフリマで売られている質の悪いポーションだけでなく、お店とかで売っている正規品でも、あまり回復効果が高くないっぽいという感じだったのは、とても気になるところだ。
もしかして王都ではポーション作成の技術がひょっとして高くないのでは?
疑惑は深まるばかりだ。
安いって言っても、村の安いポーションと違い、周りの露店に合わせた王都価格だから、私からしたらやや高いくらいに思う。
村の気分のまま、売っていたら、めちゃくちゃ安くて効きまくる怪しすぎるポーションになるところだった。セーフ。
人も入れ替わり、私のポーションの効果を知る人がいなくなったし、在庫も残り数個になったので、午後二回目をやろうと思う。
「午後二回目の、ポーション作成の実演販売をいたします」
誰が聞いているでもないのに、一応開始のアナウンスをしてみる。
なんだろうと思ってこっちを見る人に赤面しつつ、周りのことは気にしちゃだめだ、と自分に言い聞かせて作業に集中する。
まずは薬草をナイフで細かく切るところからだ。
後の作業は前回と一緒なので、ぱぱっと混ぜて煮てミルルの実を入れて、ひと煮立ちさせて、癒やしの魔力を浸透させて発光したら、魔力を止めて完成。
完成したらもちろん発光は止まってしまう。
ずっと発光していたら、面白いし、ポーションだと一発で分かるんだけど、そこまで便利にはできていない模様。
「すごいすごい」
「なるほど、こうやって作るんだな」
「錬金術師様だ。なんでこんな露店でやってるんだろう」
感想はさまざまだけど、全体的には好意的だ。かなりうれしい。
こう、なんというかみんなに認められているみたいで。
まあ、後はずっと一緒なので、以下略。
本日は三回目もやって、そこそこの売り上げになりましたとさ。