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6 ポーションの効果だよ


 なんとか午前中の実演販売を終わらせて、客がさばけたところで、お昼休憩にする。

 朝は買い物のあと、お昼を買うのもぎりぎりだったから、全く自転車操業もいいところだ。


 露店で食べ物を探して、購入した。

 今日はレタスとトマトのサンドイッチだ。二つ、買って一つをポムに分ける。


「ポム美味しい?」

「きゅっ」

「そう、よかったね」


 トマトの塩気やレタスの葉っぱが美味しい。これは当たりだった。

 ちょっと奮発したけど、よかったわ。


「トマト美味しい、これなら毎日でも食べたいね」


 自転車操業はまだまだ続く。宿代は今日の分は確保したけど、もし明日雨で露店が開けないと、宿代も足りなくなる。困る。


 貧乏暇なし。あくせく働くぞっと。


 残っている薬草をまた錬金釜でポーションに錬成する。

 またまたお客さんが集まってきて見てくれる。


 その中の一人に左手を怪我している人がいた。

 傷があり、周りが赤くれていた。


「ポーション一つください」

「はい、どうぞ」


 受け取った人は、早速目の前でポーションを使い始める。

 まず少量を飲み、残りを傷がある左手に掛けていく。


「うっ、ちょっと染みるな」


 そしてじっと見ていると、ぎりぎり分かるくらいの早さで腫れが引いてきて傷もふさがりだした。


「なんだこのポーション、めっちゃ効く。おいみんな俺の左手見てくれよ」

「あの傷がもう引いていくなんて……」

「すごい効き目じゃあないか。市販品と全く違う、もっとゆっくり効くものだろ」

「たった一本のポーションでこんだけ効けば、お得だよ、まる儲けさあ。この効き目でこの値段。信じられない。超お買得だあ」


 あわわわわ。製作の実演販売はしてたけど、効き目を確かめる実演販売はしてなかったのに、勝手にしてくれた。


 さすがに売れまくり、というわけにはいかないけど、必要な人は買っていってくれた。

 十日しか持たないから、常備薬みたいに買うのはかなりもったいない。


 これだけ効果が実証されたら売れるだろう、と思うんだけど、今見ていた人とその人から話を聞いた人は分かってくれる。

 でも他のその他大勢は、すぐに噂が広まるっていうほど狭い世界ではないので、ものすごく有名になって、みたいなことは起こらないのだった。


 まあそうだよね。ここはハシユリ村じゃないし。


 でも話を聞いた限り、このフリマで売られている質の悪いポーションだけでなく、お店とかで売っている正規品でも、あまり回復効果が高くないっぽいという感じだったのは、とても気になるところだ。


 もしかして王都ではポーション作成の技術がひょっとして高くないのでは?


 疑惑は深まるばかりだ。


 安いって言っても、村の安いポーションと違い、周りの露店に合わせた王都価格だから、私からしたらやや高いくらいに思う。


 村の気分のまま、売っていたら、めちゃくちゃ安くて効きまくる怪しすぎるポーションになるところだった。セーフ。


 人も入れ替わり、私のポーションの効果を知る人がいなくなったし、在庫も残り数個になったので、午後二回目をやろうと思う。


「午後二回目の、ポーション作成の実演販売をいたします」


 誰が聞いているでもないのに、一応開始のアナウンスをしてみる。

 なんだろうと思ってこっちを見る人に赤面しつつ、周りのことは気にしちゃだめだ、と自分に言い聞かせて作業に集中する。


 まずは薬草をナイフで細かく切るところからだ。

 後の作業は前回と一緒なので、ぱぱっと混ぜて煮てミルルの実を入れて、ひと煮立ちさせて、癒やしの魔力を浸透させて発光したら、魔力を止めて完成。

 完成したらもちろん発光は止まってしまう。

 ずっと発光していたら、面白いし、ポーションだと一発で分かるんだけど、そこまで便利にはできていない模様。


「すごいすごい」

「なるほど、こうやって作るんだな」

「錬金術師様だ。なんでこんな露店でやってるんだろう」


 感想はさまざまだけど、全体的には好意的だ。かなりうれしい。

 こう、なんというかみんなに認められているみたいで。


 まあ、後はずっと一緒なので、以下略。


 本日は三回目もやって、そこそこの売り上げになりましたとさ。


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